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ヤマトホールディングス/経常利益は前年比127・5%増(2019年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結))

決算短信 2023.06.17

2019年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
単位・百万円  

            売上高    営業利益   経常利益   当期純利益

2019年3月期第3四半期 1,257,610 7.3  74,343 131.4   73,644 127.5  43,194 147.8

2018年3月期第3四半期 1,171,775 4.8  32,131 △44.7  32,378 △44.4  17,429 △51.2

(注)包括利益 2019年3月期第3四半期  41,264百万円 (68.1%) 2018年3月期第3四半期  24,549百万円 (△31.2%)

(略)

(1)経営成績に関する説明  

当第3四半期における経済環境は、企業業績は底堅さを維持し緩やかな回復基調が続いているものの、海外政治情 勢による影響など、引き続き、先行きは不透明な状況にあります。また、消費スタイルの急速な変化に伴うEC市場 の拡大等による小口貨物の増加基調に加え、国内労働需給の逼迫など、物流業界は厳しい経営環境が継続していま す。  このような状況下、ヤマトグループは高品質なサービスを提供し続けるため、「働き方改革」を経営の中心に据 え、「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長してい くためのグループ経営構造改革」の3つの改革を柱とする中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」に基づき、ヤ マトグループが持続的に成長していくための経営基盤の強化に取り組んでいます。  デリバリー事業においては、収益力の回復と集配キャパシティの拡大を両立させるべく、プライシングの適正化や お客様の信頼と期待に応えるための集配体制の強化など、ラストワンマイルネットワークの再構築を推進しました。 その結果、改革に係る費用が増加する中で、宅急便単価が上昇したことなどにより、業績は堅調に推移しました。  ノンデリバリー事業においては、引き続きグループ各社の強みを活かした既存サービスの拡充に取り組むととも に、グループ横断的に連携してお客様の課題解決に当たるソリューション営業を積極的に推進しました。

(略)

上記のとおり、営業収益は1兆2,576億10百万円となり、前年同期に比べ858億35百万円の増収となりました。これ は主に、デリバリー事業の構造改革を推進したことにより、当第3四半期(累計)での宅急便取扱数量は減少してい るものの、宅急便単価が引き続き上昇したことによるものです。営業費用は1兆1,832億67百万円となり、前年同期 に比べ436億23百万円増加しました。これは主に、集配体制の構築に向けて増員などを進めたことで、委託費は減少 したものの人件費が増加したことなどによるものであります。  この結果、営業利益は743億43百万円となり、前年同期に比べ422億11百万円の増益となりました。  

なお、ヤマトホームコンビニエンス株式会社が法人のお客様の社員向けに提供している引越サービスにおいて不適 切な請求があったため、調査結果を踏まえた見積り影響額31億4百万円を、上記の連結業績に織り込んでいます。

<ヤマトグループ全体としての取組み>

① ヤマトグループは、グループの原点である「全員経営」を実践するため、「働き方改革」を最優先課題とし、 ヤマト運輸株式会社の「働き方改革室」、グループ各社の「働き方創造委員会」を中心に、社員がより「働き やすさ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備に全社一丸で取り組んでいます。また、各 事業が一体となって付加価値の高い事業モデルを創出し、日本経済の成長戦略と、国際競争力の強化に貢献す る「バリュー・ネットワーキング」構想を推進するとともに、事業の創出・成長の基盤となる健全な企業風土 の醸成に取り組んでいます。

② 健全な企業風土の醸成に向けて、引き続き輸送体制の整備やITによる業務量の見える化など、業務の効率 性・信頼性を向上させる施策を推進するとともに、安全施策や環境施策、地域活性化に向けた取組みなど、ヤ マトグループの事業活動に結びついたCSR活動を積極的に推進しています。

③ 「バリュー・ネットワーキング」構想の更なる進化に向け、ヤマトグループのネットワークを活かした高付加 価値モデルの創出に取り組んでいます。国内外のお客様の様々なニーズに対応するために、既存のラストワン マイルネットワークに加え、「羽田クロノゲート」、「沖縄国際物流ハブ」、関東・中部・関西の主要都市を 繋ぐ各ゲートウェイなどの革新的なネットワーク基盤を、より効果的に活用していきます。

④ グローバル市場に対しては、クロスボーダー物流の拡大に対応すべく、日本・東アジア・東南アジア・欧州・ 米州の5極間の連携と各地域の機能強化に取り組んでいます。当第3四半期においても、既にヤマトグループ 8社が取得した小口保冷配送サービスに関する国際規格の認証を梃とし、高付加価値なクロスボーダー・ネッ トワークの構築を積極的に推進しています。

⑤ EC市場を中心としたお客様の利便性向上を図るべく、引き続き駅やコンビニエンスストアなどを中心にオー プン型宅配便ロッカーネットワークの構築を積極的に推進するなど、手軽に荷物を受け取れる環境の整備に取 り組むとともに、自動運転技術の活用など、次世代物流サービスの開発に取り組んでいます。また、深刻化す る労働力不足などの社会的課題や、益々拡大するEC市場に対応するため、物流全体におけるデジタル化、自 動化にも取り組んでいます。

<事業フォーメーション別の概況>

○デリバリー事業(略)

① デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便 を中心とした事業の展開に取り組んでいます。

② 消費スタイルの急速な変化に伴うEC市場の拡大等による小口貨物の増加基調に加え、国内労働需給の逼迫な ど厳しい事業環境が継続している中、当第3四半期においては、前期に引き続き、収益力の回復と集配キャパ シティの拡大を両立させるべく、プライシングの適正化やお客様の信頼と期待に応えるための集配体制の強化 など、ラストワンマイルネットワークの再構築を推進しました。また、輸送効率を高め、ネットワーク全体を 最適化するために幹線ネットワークの構造改革にも取り組みました。

③ 成長が続くEC市場に対しては、小さな荷物を手軽に送ることができる「宅急便コンパクト」、「ネコポス」 の拡販を進めるとともに、複数のフリマサイトと連携し、発送窓口拡大を推進しています。当第3四半期にお いては、引き続きEC事業者様と連携し、お客様が商品を購入した場合に、受け取り場所としてヤマト運輸株 式会社の営業所やコンビニエンスストア、オープン型宅配便ロッカー(PUDOステーション)を指定できる 環境を提供するとともに、個人のお客様向け会員制サービス「クロネコメンバーズ」の利用促進に取り組みま した。また、フリマサイトやEC事業者様と連携し、個人のお客様が商品をオープン型宅配便ロッカー(PU DOステーション)から簡単に発送できる環境を整備し、更なる利便性の向上を図りました。

④ 法人のお客様については、お客様の経営課題を的確に把握し、その課題に沿ったソリューション提案を積極的 に推進しています。また、グループの経営資源を活用した付加価値の高い提案を行い、収益性の向上に取り組 んでいます。当第3四半期においては、利便性を高める機能を拡充した法人のお客様向け会員制サービス「ヤ マトビジネスメンバーズ」の加入を促進するなど、引き続きお客様のビジネスの支援に取り組みました。

⑤ 地域の課題解決に向けて、複数の自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者の見守り支援など、住 民へのサービス向上に取り組みました。また、観光支援や地域産品の販路拡大支援など、地元産業の活性化に つながる取組みを推進しました。

⑥ 営業収益は、「デリバリー事業の構造改革」を推進したことにより、当第3四半期(累計)の宅急便取扱数量 は減少したものの、宅急便単価が上昇した結果1兆67億62百万円となり、前年同期に比べ9.2%増加しまし た。営業利益は、改革に係る費用が増加する中で594億27百万円となり、前年同期に比べ497億30百万円改善し ました。

○BIZ-ロジ事業

① BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・ リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物 流システムを提供しています。

② EC業界等に向けたサービスとしては、お客様のご要望に応じて、受発注処理から在庫の可視化、スピード出 荷などの多様な物流支援サービスをワンストップで提供しています。当第3四半期においては、引き続き既存 のお客様を中心にサービスの拡販を推進しました。

③ メディカル事業者様に向けたサービスとしては、医療機器のローナー支援(保管・洗浄・配送)をはじめとす る、物流改革の支援サービスを展開しています。当第3四半期においては、既存の大口のお客様を中心にサー ビスのご利用が拡大しました。

④ 営業収益は、貿易物流サービスやメンテナンス・リコールサービスの拡販が進んだことや業界別のソリュー ション提供が進展したことなどにより1,140億37百万円となり、前年同期に比べ6.5%増加しました。営業利益 は、事業成長に向けた費用が先行したことなどにより31億19百万円となり、前年同期に比べ41.9%減少しまし た。

○ホームコンビニエンス事業

① ホームコンビニエンス事業は、お客様の便利で快適な生活の実現に向けて、ヤマトグループの全国ネットワー クを活用し、生涯生活支援サービスや法人活動支援サービスなどを提供しています。

② 個人のお客様に向けては、大型家具・家電の配送サービス「らくらく家財宅急便」や家屋内での日常のお困り ごとを解消する「快適生活サポートサービス」など、日々の生活を支援するサービスを提供しています。

③ 法人のお客様に向けては、オフィス移転における機材輸送やイベント関連輸送などのサービスを提供していま す。

④ 営業収益は、法人のお客様の社員向けに提供している引越サービスにおいて不適切な請求があったため、調査 結果を踏まえた見積り影響額31億4百万円を織り込んだことに加え、個人のお客様向けを含むすべての引越 サービスの新規受注を休止したことなどにより256億38百万円となり、前年同期に比べ20.1%減少しました。 利益面においても、上記の見積り影響額に加え、すべての引越サービスの新規受注を休止したことなどによ り、営業損失は66億9百万円となりました。

○e-ビジネス事業

① e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、 決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に展開しています。また、グループ の事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進して います。

② お客様の業務効率化に向けたサービスとしては、金融業界向けに、お手続き時の本人確認書類や必要書類を、 スマホやパソコン等Web上でアップロードすることで、ご契約者様が安全・簡単に書類提出できる「証明書類 Web取得サービス」を提供しています。当第3四半期においては、引き続き銀行、保険業界に対して積極的に サービスの拡販に取り組みました。

③ 営業収益は、「証明書類Web取得サービス」の拡販や、既存のお客様に対する営業強化によりシステム構築案 件の獲得が進展したものの、宅急便取扱数量減少に伴う、お客様のシステム処理件数減少の影響などにより 200億37百万円となり、前年同期に比べ4.0%減少しました。営業利益は、利益率が高い既存サービスの取扱い が堅調に推移したことなどにより70億26百万円となり、前年同期に比べ10.9%増加しました。

○フィナンシャル事業

① フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済、および車両のリースなど、お客様の様々なニー ズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。

② 決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス「ク ロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進していま す。当第3四半期においては、引き続き今後も拡大が見込まれるEC市場に対して、事業者様が新規参入する ために必要なショッピングカート機能、決済、配送をワンストップで支援できる「らくうるカート」の拡販に 取り組みました。また、「クロネコメンバーズ」の会員情報との連携により、ネットショップを利用する購入 者様の利便性向上と、EC事業者様の売上拡大に貢献するID決済サービス「クロネコペイ」の拡販を推進す るなど、サービスの向上に注力しました。

③ リース事業では、トラックを中心としたファイナンス・リースや割賦販売の拡販に取り組むとともに、車両の 紹介や売却サポートなどの周辺業務を展開し、車両に関するトータルソリューション提案を推進しました。

④ 営業収益は、「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加しているものの、決 済ニーズの変化による代引き市場の縮小などに伴い、「宅急便コレクト」の取扱いが減少したことなどにより 606億9百万円となり、前年同期に比べ3.1%減少しました。営業利益は56億34百万円となり、前年同期に比べ 10.9%減少しました。

○オートワークス事業

① オートワークス事業は、物流事業者様へ「車両整備における利便性の向上」、「整備費用の削減」という価値 を提供するため、会員制で定期メンテナンスを実施し、お客様の稼働を止めないサービスを24時間365日営業 体制で展開しています。さらに、「物流施設、設備機器の維持保全・職場環境改善」やこれらの資産を対象に 「お客様のリスクマネジメントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の資産稼働率 を高めるサービスを展開しています。

② 車両整備サービスでは、セールスドライバーの作業負担軽減や安全運転の支援、排気ガス削減を実現する小型 EVトラックや、観光地に導入された大型EVバスの点検・整備を担うとともに、運送事業者様に向けてIo Tの活用により人と車両の状態をデータ化して運行管理の質を高める「スマート点呼」を開発するなど、新た な領域への対応にも着手しています。

③ 営業収益は、車両取扱台数の増加などにより194億51百万円となり、前年同期に比べ5.3%増加しました。営業 利益は、モノづくりメーカーの生産方式を取り入れた業務の標準化や見える化などの業務プロセス効率化が進 展したことなどにより36億18百万円となり、前年同期に比べ2.8%増加しました。

○その他

① 「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客 様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当第3四半期においては、既存の サービスが好調であったことにより、ご利用が着実に拡大しました。

② 営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて17億57百万円 となり、前年同期に比べ4.0%減少しました。

<CSRの取組み>

① ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、海外を含めたグループ全体で「交通事故ゼロ運動」を実施する など、安全に対する様々な取組みを実施しています。当第3四半期においては、ヤマト運輸株式会社が「第8 回全国安全大会」を開催し、プロドライバーとしての安全運転のレベルアップと全社の安全意識や運転技術の 向上に取り組みました。また、子どもたちに交通安全の大切さを伝える「こども交通安全教室」を1998年より 継続して全国の保育所・幼稚園・小学校などで開催しており、累計参加人数は約320万人となりました。

② ヤマトグループは、環境保護活動を「ネコロジー」と総称し、環境に優しい物流の仕組みづくりに取り組んで います。また、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を2005年よ り継続して全国各地で開催しており、累計参加人数は約24万人となりました。

③ ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障 がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パンの 製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提 供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に 行っています。当第3四半期においては、スワンベーカリーを運営する当社特例子会社の株式会社スワンが、 ベトナムのパートナー会社と加盟店契約を締結し、海外初のフランチャイズ店となるスワンカフェ&ベーカ リーのホーチミン市内への出店に向けて準備を進めました。

④ ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティン グ・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当第3四半期 においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域等のバス・鉄道路線網の維持と物流の効率化による地域住民の 生活サービス向上を目的とする「客貨混載」を、新たに群馬県で開始しました。また、兵庫県では、訪日外国 人に向けて「客貨混載」を活用した手ぶら観光サービスを開始するなど、全国13道県で推進しました。また、 ライフステージの変化が進む都市郊外部の団地内において、拠点を活用した地域コミュニティの活性化や、買 い物・家事代行などくらしのサポートサービスを提供することで、地域住民が快適に生活できる町づくりを支 援する取組みを推進しています。さらに、全国各地で高齢者の見守り支援や観光支援、地域産品の販路拡大支 援など、ヤマトグループの経営資源を活用した地域活性化や課題解決に行政と連携して取り組み、現在取組み を実施中、または検討段階の案件数は953件となりました。

⑤ ヤマトグループは、社会的インフラとしてお客様をはじめ社会の信頼に応えていくために、コンプライアンス 経営を推進し、労働時間管理ルールの見直しや社員の新しい働き方を創造するなど、社員が「働きやすさ」と 「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備を進め、「働き方改革」に全社を挙げて取り組んでい ます。

(略)

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