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国際石油開発帝石/上部ザクム油田の生産能力100万バレル/日へ引き上げ

SCM・製造拠点 2023.06.17

アラブ首長国連邦アブダビ 上部ザクム油田の

生産能力100万バレル/日への引き上げについて

 

 アブダビ国営石油会社(以下、ADNOC)、エクソンモービル社(以下、EM)及び国際石油開発帝石株式会社(以下、INPEX)は、アラブ首長国連邦アブダビ海上鉱区の上部ザクム油田(以下、本油田)において開発・生産作業を行っておりますが、このたび、本油田の生産能力を2024年までに日量100万バレルまで引き上げる計画に合意しましたのでお知らせいたします。

 この合意に関連してADNOCのジャーベルCEO、EMのダレン・ウッズ会長兼最高経営責任者(CEO)、INPEXの北村俊昭代表取締役社長が出席するセレモニーがアブダビ国際石油展示会議(ADIPEC)の期間中に開催されました。今回の合意により、同油田の権益期限は現状の2041年12月31日から2051年12月31日まで10年延長されました。

 今回の合意は、INPEXが子会社のジャパン石油開発株式会社を通じて1978年より本油田の開発に参画していることに加え、INPEXとアブダビとの間で長年に渡り培われた良好なパートナーシップを背景に実現されたものです。

 本油田は、アブダビ市の沖合に位置し、1963年に原油が発見された後、ADNOCが1977年より開発を始めました。INPEXは1978年より、EMは2006年よりそれぞれ本油田の開発に参画しています。ADNOC、EM及びINPEXは、本油田の原油回収率を最大化し、設備投資を最小限とするべく、本油田上の人工島をベースとした革新的な開発方式と大偏距掘削技術(1)を用いて、本油田の生産能力を日量50万バレルから日量75万バレルまで引き上げるための検討を2006年より開始しております。

 この取り組みでは、浅海に四つの人工島を建設し、沖合に実質的な陸上環境を構築することで、450坑の海底井戸及び90以上の海上施設からなる当初の開発方式に代わり、人工島に12基の掘削リグ及び掘削・生産機材並びにオフィス・住宅施設をより低コストで備え、従業員の安全性や快適さを向上することが可能となります。また、生産プラットフォームの補修に関連する費用も不要となります。

 生産量を100万バレルへと引き上げる開発作業には、生産量の増加に効果的と証明されている人工島からの大偏距掘削技術を引き続き使用します。同技術は、井戸を垂直に掘削した後、水平方向の複数の延長井を通じて、遠く離れたターゲットに向かって掘削することにより油層への最大限のアクセスと原油の回収量増加を目的とします。同技術を用いることで、追加生産プラットフォームを利用する高額な沖合掘削作業をコスト効率性がより優れた陸上掘削作業に転換することが可能となり、更には高額な海底機材やパイプラインの利用を減らすことにもつながります。

 今回の合意による開発では、モジュール工法による人工島上の既存インフラ及び施設の拡張と共に、資本効率及びコスト削減を図るべく、更に最先端の油層キャラクタリゼーション(2)及びモデリング技術(3)を採用いたします。これまでの開発においても、ADNOC、EM及びINPEXは、長期的に油田開発を最適化し、プロジェクトの価値を最大化すべく、難易度の高い本油田の炭酸塩岩地質の開発に不確実性モデリング(4)を用いています。

 近年、本油田の開発において、アラブ首長国連邦での地下掘削記録を数回に渡り更新しており、現在、本油田の最長坑井は掘削距離35,800フィート(約10,900メートル)まで達しています。

 (1)水平方向に遠くはなれたターゲットに向かって掘削することを目的とした坑井の掘削。

 (2)油ガス田の原始埋蔵量の推定、将来の油ガスの生産量予測のため、油ガス層の形状、貯留岩の物理的性状、油層内流体の圧力・温度特性、油・ガス・水の性状などの諸パラメータの油ガス層内の空間分布の推定・把握。

 (3)貯留層内の流動メカニズムを解明し、予測精度を向上させる技術。

 (4)貯留層モデリングに付随する諸パラメータに対し、決定論・確率論的な多面評価を行い、確実性が最も高い解を導くと共に不確実性を定量化するモデリング手法。

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