国際協力機構（JICA）は、10月9日、マナグアにて、ニカラグア共和国政府との間で、「リオ・ブランコ－シウナ間橋梁・国道整備事業」を対象として49億4,000万円を限度とする円借款貸付契約（Loan Agreement: L/A）に調印しました。

本事業は、同国の首都マナグアと北カリブ海自治地域（Región Autónoma de la Costa Caribe Norte：RACCN）を結ぶ国道21B号線のうち、リオ・ブランコ-シウナ間の4橋梁（注1）の架け替えとアクセス道路整備を行うものです。これにより同道路区間の輸送能力向上を図り、RACCNの農畜産業の発展に寄与することを目的としています。本件にかかる貸付資金は4橋梁及び既存道路へのアクセス道路にかかる土木工事、コンサルティング・サービス（入札補助、事業全体管理、施工監理）等に充当されます。

同国では経済発展に必要不可欠な社会インフラは未だ不十分であり、近年着実に経済発展を遂げているものの、依然として中南米・カリブ地域においてハイチに次ぐ貧困国です。特に都市部と農村部の経済格差は顕著で、本事業の対象となるRACCNは貧困率（注2）が71％に達する最貧困地域です。インフラ開発では、首都マナグアが位置する太平洋側に比べ、RACCNが位置するカリブ海側は大きく遅れをとっています。RACCNは穀物生産量全国2位、農産物生産面積全国4位、畜産農家数全国2位（注3）など農畜産業が活発な地域であるものの、農畜産品の輸送に必要なインフラ整備の立ち遅れが、経済発展の大きな阻害要因となっています。また本事業の対象4橋梁は、近年、老朽化及び腐食が著しく、落橋の危険性が指摘されていることから、早急な架け替えが必要となっています。

本事業により4橋が整備された後には、旅客量・貨物量は1.5倍以上の増加が見込まれ、農畜産品の流通・輸出促進により農業・畜産業開発も期待されます。

また、本事業に対する円借款には中南米地域で初めて本邦技術活用条件（STEP）（注4）が適用され、ニカラグア側からの要請を受け、日本が蓄積してきた災害に強い質の高いインフラ技術が、自然災害への脆弱性を抱える同国に導入される予定です。

JICAは同国において20年以上に亘り、運輸インフラ分野において、無償資金協力を通じて24の橋梁建設を支援しており、橋梁建設事業は象徴的な協力事業として知られています。JICAは、本事業を通じ、首都とRACCNを結ぶ国道の輸送能力向上、及び農畜産業の発展、並びに同国の地域格差是正に貢献していきます。

（注1） ムルクク橋、リサウェ橋、ラブー橋、プリンサポルカ橋
（注2） 一日当り1USD以下で生活する国民の割合
（注3） 2011年農業センサス
（注4） Special Terms for Economic Partnershipの略。わが国の優れた技術やノウハウを活用した途上国への技術移転を通じて、わが国の「顔の見える援助」を促進するために創設された円借款の供与条件。主契約は日本タイド、下請けは一般アンタイド。なお、主契約については借入国との共同企業体（JV）を認めるが、本邦企業が当該JVのリーディング・パートナーとなることが必要。

1．借款金額及び条件

2．事業実施機関
運輸・インフラ省（Ministry of Transport and Infrastructure）
住所：Frente al Estadio Nacional Denis Martínez, Managua, Nicaragua 
TEL：+505-2222-5109/5111/5112

3. 今後の事業実施スケジュール（予定）
（1）事業の完成予定時期：　2022年6月（全ての施設供用開始時をもって事業完成とする。）
（2）コンサルティング・サービス（詳細設計等）にかかる招請状送付予定時期：2017年11月
（3）本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージの入札公示：
調達パッケージ名： 土木工事パッケージ（civil works）　
予定時期：2018年10月

4．JICA情報提供窓口
本事業の調達スケジュールに関する情報は、下記窓口にお問い合わせください。
国際協力機構ニカラグア事務所　情報窓口　(JICA Nicaragua Office)
住所：Centro Financiero Invercasa, Torre III, 5to Piso, Módulo 5-E2, Managua, Nicaragua
TEL：+505-2264-7600、FAX：+505-2264-7604