NTTデータ/35社とCO2排出量データの交換を検証しサプライチェーン全体の見える化へ グリーン物流(環境) 2023.06.17 35社とCO2排出量データの交換を検証し、サプライチェーン全体の見える化へ~Green x Digital コンソーシアムの実証実験に参加し、ルールやデータ形式の課題を検証~ 株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は2022年12月9日、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が事務局を務める「Green x Digital コンソーシアム注1」(以下、同コンソーシアム)の実証実験に参加します。実証実験にはグリーン関連ソリューションの提供企業やユーザー企業35社注2が参加し、CO2排出量データを異なるアプリケーション間で交換して、交換ルールやデータフォーマットの課題を検討します。サプライチェーン全体でCO2排出量を見える化するためのルール作りを目指す取り組みです。NTTデータは、CO2排出量データを管理するアプリケーションを提供し、ソリューション提供側の立場でデータ交換を検証するほか、ユーザー側の立場でルールの実効性や課題などを検証します。NTTデータはこれまで、CO2排出量の見える化注3、データ主権を保護できるグローバルデータ連携基盤の検討注4、非営利団体「ESTAINIUM」の設立注5、EVバッテリーに関する業界横断エコシステムの構築注6といったさまざまな活動を通して、脱炭素に向けたデータ活用に取り組んできました。本実証実験への参加を通じて、国内のルール作成や標準化に一層取り組み、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。 背景 企業は昨今CO2排出量の削減を自社だけでなくサプライチェーン全体で求められていますが、サプライチェーン全体にわたるCO2排出量の算定には課題があります。本来は実際の取引に基づく各社固有のデータ(以下:一次データ)を用いて算定することが望ましいものの、現在は排出量データの交換ルールが定まっていないため、業界平均値を用いて概算することが多くなっています。業界平均値による概算では、例えば従来製品からグリーン製品・サービスに切り替えたとしても、その削減効果が算定結果に反映されないため、製品・サービスの購入自体を減らすことだけが求められる構造になってしまいます。事業成長と脱炭素を両立させるには、各社固有の一次データを用いてCO2排出量を把握することが必要ですが、そのためにはCO2排出量の算定ルールからCO2排出量データの交換に関する技術的仕様まで、さまざまな観点で標準化が必要です。そこでNTTデータは今回、同コンソーシアムの実証実験に参加し、企業の垣根を越えてサプライチェーン全体でCO2排出量を見える化するためのルール作成や標準化を目指します。 図:データ交換が必要となる背景 Green x Digital コンソーシアムについて 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が事務局を務める同コンソーシアムは、環境関連分野のデジタル化や新たなビジネスモデルの創出などを通じて2050年カーボンニュートラルの実現に寄与するべく、2021年に設立されました。今回の実証実験は、同コンソーシアム内の「見える化WG(ワーキンググループ)」(以下、同WG)で実施します。同WGはNTTデータをはじめとして、IT業界にとどまらず132の企業が参加しており、以下2点を目的としています。 (1)グローバルでのサプライチェーン全体の脱炭素化を求める取引慣行や、欧州を中心とした新たなルールメイキングに対し、デジタル技術を活用し、サプライチェーン全体のCO2データを見える化(=共有)するプラットフォーム(データ連携基盤)構築に向けた活動を行う (2)企業間の協働(エンゲージメント)を促進するよう、削減努力がデータとして適切に反映される仕組みを目指す 同WGではこれまで、サプライチェーンの企業間でCO2排出量データを交換し、スコープ3を含むサプライチェーンCO2排出量を見える化するための仕組みを検討し、「CO2可視化フレームワーク」と「データ連携のための技術仕様」注7を策定しました。サプライチェーンはグローバルに展開されていることを踏まえ、国際的な枠組みであるWBCSD Partnership for Carbon Transparency(PACT)注8と連携して進めています。NTTデータは、同WG配下の「ルール化検討SWG(サブワーキンググループ)」と「データフォーマット・連携検討SWG」の両方にサブリーダーとして参加し、これらの検討を推進してきました。 実証実験について 「CO2可視化フレームワーク」と「データ連携のための技術仕様」に基づき、多様な業界の企業が共通的な方法で算定した排出量データを、異なるソリューション間でデータ連携し、サプライチェーン全体のCO2排出量を正確かつ効率的に把握できることを確認します。データ連携の技術的な検証を行うフェーズ1を2023年1月末までに、ユーザー企業も交えてのCO2算定も含めた実務的な検証を行うフェーズ2を2023年6月末までに、それぞれ完了させる予定です。実証実験にはグリーン関連ソリューションの提供企業やユーザー企業35社注2(2022年12月9日時点)が参加予定です。NTTデータは実証実験のフェーズ1にオブザーバーとして参加し、フェーズ2からは正式メンバとして実証実験に参加します。CO2排出量データを管理するアプリケーションを提供し、ソリューション提供側の立場でデータ交換を検証するほか、ユーザー側の立場でルールの実効性や課題などを検証します。 今後について NTTデータはこれまで、CO2排出量の見える化、データ主権を保護できるグローバルデータ連携基盤の検討、非営利団体「ESTAINIUM」の設立、EVバッテリーに関する業界横断エコシステムの構築といったさまざまな活動を通して、脱炭素に向けたデータ活用に携わってきました。本実証実験への参加を通じて国内のルール作成や標準化に一層取り組み、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。 NTT DATA Carbon-neutral Vision 2050 NTTデータでは環境方針、環境目標に基づき、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた新たなビジョンNTT DATA Carbon-neutral Vision 2050を策定し、取り組みを行っています。NTTデータは2050年の社会のカーボンニュートラルに向け、Green Innovationを通じ、自社のサプライチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減のみならず、お客さまや社会のグリーン化へ貢献をしていきます。2040年にScope1、2のカーボンニュートラル、2050年にScope1~3のネットゼロ実現を図ります。 注釈 注1Green x Digital コンソーシアムの概要 https://www.gxdc.jp/about/ 注235社の内訳についてはJEITAのニュースリリースをご覧ください。https://www.jeita.or.jp/japanese/topics/2022/1209.pdf 注3CO2排出量の見える化 (1)国内初、国際NGO CDP保有のデータを活用した温室効果ガス排出量可視化サービスを開始https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/083001/ (2)旭化成とScope1,2,3を網羅した製品別CFP管理基盤を共同開発https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/042000/ 注4グローバルデータ連携基盤のアーキテクチャ構想に関するホワイトペーパーを公開https://www.nttdata.com/jp/ja/news/information/2022/053100/ 注5非営利団体「ESTAINIUM協会」を設立し、産業界の脱炭素を推進https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/060701/ 注6電動車向けバッテリーの業界横断エコシステムの構築開始https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/101300/ 注7「CO2可視化フレームワーク」と「データ連携のための技術仕様」についてサプライヤー企業の削減努力を反映した一次データに基づくCO2データの流通の実現を目的に、デジタル技術を活用してサプライチェーン内で交換されるCO2データについて、算定ならびに共有方法(データ品質の開示方法)を提示する方法論文書「CO2可視化フレームワーク」と、共通データフォーマットと連携仕様を提示する技術文書「データ連携のための技術仕様」。双方、国際的な枠組みであるWBCSD PACTによるPathfinder FrameworkならびにPathfinder Networkのアプローチを取り入れながら、参加企業のニーズや国内制度等を踏まえた独自の要素も含む。現在、一般公開に向け準備中。 注8WBCSD Partnership for Carbon Transparency(PACT)について持続可能な開発を目指す企業約200社のCEO連合体。GHGプロトコルの主催団体。Partnership for Carbon Transparency(PACT)は、WBCSDの下、バリューチェーンにおける排出量の透明性を高めて脱炭素化を加速することを目的として活動。2022年12月現在、排出量データ交換に必要な方法論的・技術的基礎を定義し、Pathfinder FrameworkならびにPathfinder Networkとして公表中。Green x Digitalコンソーシアムは、PACTのエコシステムに参加している。 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。