国土交通省/パナマ運河の新料金体系やスエズ運河の通航料値上げについて問題提起を行い海運先進国間の連携を呼びかけ(海運先進国当局間会議及び米国海運関係当局との政策対話を開催) 物流全般 2023.06.17 海運先進国当局間会議及び米国海運関係当局との政策対話を開催~パナマ運河の新料金体系やスエズ運河の通航料値上げについて問題提起を行い、海運先進国間の連携を呼びかけました~ 令和4年9月29日 9月19日(月)及び20日(火)に海運先進国当局間会議が、9月21日(水)に米国と海運先進国間の会議が米国ワシントンで開催され、我が国もオンライン参加しました。 最近の国際海運の現状、グリーンシッピング、海上サプライチェーンの確保など、海運に関する幅広いテーマについて活発な議論が行われました。 我が国からは、主にパナマ運河の新料金体系、スエズ運河の通航料改訂、グリーンシッピング等について意見表明を行いました。 海運先進国当局間会議(Consultative Shipping Group: CSG)は、国際海運市場への自由アクセスを確保するため18の海運国の担当部局の協調行動に向けた検討を行う会議で、国際海運における自由で公正な競争条件の確立に向けた取組を行っている他、航行安全及び海洋環境保護等幅広いテーマに関する意見交換の会議を毎年1回開催しています。 また、2年に1度、米国関係当局とCSGメンバー国との間での政策対話(US-CSG会議)を開催しています。前回の会合は2018年でしたが、COVID-19のために2020年は開催されず、本年4年ぶりに開催されました。 日 時:【CSG】 令和4年9月19日(月)~20日(火) 【US-CSG】令和4年9月21日(水) 参加者:海運先進国当局間会議メンバー国※及び欧州委員会(EC)の海運政策担当者 ※デンマーク(議長、事務局)、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、 オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、英国、日本、韓国、シンガポール、 カナダ 米国(連邦海事局、連邦海事委員会、沿岸警備隊、国務省、環境保護庁、エネルギー省) ≪主要議題の概要≫ 〇パナマ運河の新料金体系、スエズ運河の通航料改訂 今年7月にパナマ運河の2023年からの新料金体系が発表され、現行体系と比較して大幅な値上げが予定されています。また、スエズ運河の通航料及びサーチャージは、今年2月、3月、5月に値上げが行われたほか、今月には来年からの値上げが発表されています。 我が国より、パナマ運河の新料金体系での大幅な値上げは、我が国関係業界が大きな懸念を有しており、パナマ運河庁はこうした懸念に丁寧に対応していく必要があること、また、スエズ運河については、度重なる値上げに加え、新料金の周知期間が極めて短く、関係業界の調整が困難となっていること、周知期間は最低でも6ヶ月は必要であるとの認識を伝え、CSGメンバー国へ問題提起を行いました。 〇グリーンシッピング ノルウェーより、2050年国際海運のゼロエミッション化に向けた取組の一つとして、「グリーン海運チャレンジ」※を立ち上げた旨紹介がありました。 ※2022年5月、米国ジョン・ケリー気候変動問題担当大統領特使がノルウェー首相等と会談し、米国・ノルウェー共同でグリーン海運チャレンジの立ち上げを 表明。国際海運の脱炭素化に向けて、参加国・港湾等の関係者が今後の取組みの公表を促すことを目的とする。 我が国より、海運の脱炭素化に向けた取組として、アンモニア、水素を燃料とするゼロエミッション船の開発支援に取り組んでおり、2028年までのできるだけ早期の商業運航の実現を目指している旨発表を行いました。 〇コンテナ船の大型化による影響 近年、コンテナ船が大型化しており、それが海上安全、サプライチェーンに与える影響や、EU競争法の一括除外規定(EU Block Exemption Regulation)の見直し時に当該大型化の影響を考慮する必要があるかについて議論を行いました。 我が国からは、コンテナ船各社のコンソーシアム組成により配船及び物流の効率化がなされており、競争法の適用除外規定を見直す際には、こうした効果を念頭におく必要がある旨指摘を行いました。 〇COVID-19の影響等によるサプライチェーンの混乱の影響 COVID-19のパンデミック以後、コンテナ輸送を始めとして世界的な海上サプライチェーンの混乱が生じ、現在も回復途上にある状況です。 こうした混乱を回避し、安定した世界的な海上サプライチェーンを構築するためには、関係者、関係国が密接に連携し、対処していく必要がある旨、CSGメンバーから米国に対し申し入れました。 CSG会合の様子 発言する中村海事局外航課海運渉外室長 添付資料 報道発表資料(PDF形式:328KB)