商船三井/ボストン・コンサルティング・グループ、LGT、Swiss Re、UBSとの5社で炭素除去技術の普及・促進を目的とした NextGen CDR Facility に参加 物流全般 2023.06.17 炭素除去技術の普及・促進を目的とした NextGen CDR Facility に参加 2022 年 5 月 23 日、スイス、ダボス – 本日、商船三井、ボストン・コンサルティング・グループ、LGT、Swiss Re、および UBS の5社は、世界最大手の気候ソリューションプロバイダーであるスイスの South Pole が主催する NextGen CDR Facility(以下、NextGen)にアンカー・バイヤーとして参加することを発表しました。NextGen は、大気中の二酸化炭素除去(以下、CDR)(註 1)に関する技術(以下、技術系 CDR)の普及・促進を目指して、バイヤーとして参加する企業が第三者認証を取得した技術系 CDR 由来の CO2 削減価値(以下、技術系 CO2 削減価値)を共同購買する取り組みです。NextGen は、2025 年までに技術系 CDR に取り組む様々な事業者から合計 100 万トン以上の技術系 CO2 削減価値を購入し、2030 年までに参加企業に検証済みの技術系 CO2 削減価値を提供する予定です。NextGen が購入対象とする技術系 CO2 削減価値は、CO2 削減価値の信頼性評価を行う国際 NGO の International Carbon Reduction & Offset Alliance(ICROA)が設定した基準を満たす第三者認証機関による認証を取得した、高品質なものを対象とします。また、NextGen は、規模拡大に向けて多額の資金を要する 5 つの革新的な技術系 CDR(註 2)について、足元進行中のプロジェクトに関する情報を収集、整理しました。今後 NextGen は、最新の科学とベストプラクティスに基づいた購入の意思決定を続けていきます。気候変動による温度上昇を 1.5℃以内に収めるためには、2030 年までに年間 30 億トンの二酸化炭素を除去し(註 3)、信頼性の高い技術系 CDR を飛躍的に拡大させる必要があります(註 4)。しかし、今日技術系 CDR のコストは非常に高く、大規模な市場導入は容易ではありません。このような状況下、10 年以内に創出可能な技術系 CO2 削減価値を購入することで、技術系 CDR に取り組む事業者が事業規模を拡大することができ、中長期的にコストを引き下げることができます。NextGen は、技術系 CDR CO2 削減価値に対する企業の需要を集約し、技術系 CDR のための市場を創出することで、革新的なプロジェクトの規模拡大を進めます。「新興技術の可能性を引き出し、2050 年までにネットゼロ・エミッションを達成するためには、今まさにそうした技術への投資が必要です。我々は、NextGen の Anchor Buyer になり、恒久的な CDR 技術を大規模に支援できることを誇りに思います」Boston Consulting Group – CEO, Christoph Schweizer「私たちが掲げる気候変動目標の達成には、まだまだ長い道のりがあります。ビジネス、社会、政治がそれぞれ正しい方向に進むスピードはあまりにも遅いのです。できるだけ早くネットゼロを実現するためには、CO2 除去のための革新的な技術的ソリューションが必要です。私たちは、NextGen こそが、CDR のソリューションを見つけ、推進し、規模を拡大するための適切なモデルであると確信しています。なぜなら、NextGen は企業のコミットメントを集約し、適切なプロジェクトに資金を投入することができるからです」LGT – Chairman, H.S.H. Prince Max von und zu Liechtenstein「これからの 10 年間は、私たちの未来を住みよいものにするための決定的な 10 年となります。気候変動を抑える上で規模拡大が不可欠となる技術系 CDR を支援するために、NextGen のアンカー・バイヤーになることを嬉しく思っています。 この取り組みは、2050年までにネットゼロ・エミッションを達成するという商船三井の大きな目標の一部です。規制に先んじて責任ある行動をとることで、人と社会と地球の持続的成長に貢献し、次世代を生きるすべての生命にとって豊かな未来を約束します」株式会社商船三井 – 代表取締役社長 橋本 剛「世界経済フォーラムの Alliance of CEO Climate Leaders の目的のひとつは、参加企業が質の高い技術系 CDR の新市場へアクセスすることを支援することです。NextGen では、幅広いサプライヤー、技術、地域から検証済みの技術系 CO2 削減価値を一括して調達する理想的な実施パートナーを見つけることができました。Swiss Re は、NextGen の参加企業とともに、ネットゼロへの移行を加速させるために貢献できることを嬉しく思います」Swiss Re – Swiss Re Group Chief Executive Officer / Co-Chair of the World Economic ForumAlliance of CEO Climate Leaders, Christian Mumenthaler「世界がより低炭素な未来へとシフトする中、私たちは他のリーディング・カンパニーと協力し、革新的で拡張性のある方法を特定し、技術発展によって前進させることを約束します。この目標を支援するため、私たちは包括的な CDR イニシアチブである NextGen CDRFacility の立ち上げに参加し、2050 年ネットゼロ・エミッション達成のために世界が必要とするソリューションを開発する旅への素晴らしい一歩を踏み出すことを嬉しく思います」UBS Group – CEO, Ralph Hamers「私たちはパリ協定から 2030 年までの中間地点にいます。2030 年は、2050 年のネットゼロ・エミッションに向け、排出量を半減させる必要がある年です。しかし、現状はその目標達成にはほど遠い状況です。技術系 CDR は、この巨大な課題に取り組むための重要なツールの一つです。South Pole は、2025 年までに 100 万トン以上の技術系 CO2 削減価値を購入していく NextGen の設立に貢献できたことを誇りに思います。また、信頼性の高い認証基準を策定し、多額の資金を動員して、数十臆トン規模の技術系 CDR の拡大に寄与できることを嬉しくに思います」South Pole – CEO Renat Heauberger「CDR による CO2 削減価値の質は、信頼性の高い CDR の CO2 削減価値市場を構築する上で中心となるものです。この Facility が行っていることは、そのような強固な炭素除去市場の創設に役立つものです。科学的根拠に基づく目標には、企業の気候変動に関する主張の完全な検証と保証が必要であり、CO2 削減価値の利用も例外ではありません。投資の種類やタイムラインにかかわらず、企業の気候変動対策には明確なベンチマークと検証が必要です」Voluntary Carbon Markets Integrity initiative (VCMi) – Executive Director, Mark Kenber「炭素除去は、単なるアイデアから現実のプロジェクトに発展しつつあります。このようなソリューションの拡大や展開をサポートすべく市場が成熟するにつれ、本 Facility のような取り組みは、CDR による CO2 削減価値を売買するための透明性と信頼性のある場を作り出すことになります」XPrize – Chief Scientists and EVP of Energy and Climate, Marcius Extavour, 【商船三井について】商船三井は、鉄鉱石、石炭、木材チップなどを運ぶばら積み船、原油など液状貨物を運ぶタンカー、液化天然ガスを運ぶ LNG 船、自動車船、さまざまな製品を運ぶコンテナ船などによる海上輸送事業、洋上での石油・天然ガス開発等に携わる海洋事業、風エネルギーを用いた風力発電やその周辺事業に加え、海と陸を結ぶターミナル・ロジスティクス事業など、多彩な分野で時代の要請に応えるグローバル企業グループです。海運業を中心に様々な社会インフラ事業を展開し、環境保全を始めとした変化する社会のニーズに技術とサービスの進化で挑んでいます。世界最大級の船隊と、130 年余の歴史、経験、技術をもって展開する活動に、国境はありません。 私たちは、強くしなやかな企業グループを目指し、青い海から人々の毎日を支え、豊かな未来をひらき、全てのステークホルダーに新たな価値を届けてまいります。www.mol.co.jp【Swiss Re について】Swiss Re Group は、再保険、保険、その他の保険ベースのリスク移転を提供する世界有数の企業であり、世界をより強靭なものにするために活動しています。自然災害から気候変動、高齢化社会からサイバー犯罪に至るまで、様々なリスクを予測し、管理しています。SwissRe Group の使命は、社会の繁栄と発展を可能にし、お客様のために新たな機会と解決策を生み出すことです。Swiss Re Group は、1863 年に設立されたスイスのチューリッヒに本社を置き、世界約 80 カ所の拠点を通じて事業を展開しています。www.swissre.com【UBS について】UBS は、人々とアイデアがつながり、機会を実現する、投資のためのグローバル・エコシステムを構築し、世界中の富裕層、機関投資家、法人顧客、およびスイスの個人顧客に財務アドバイスとソリューションを提供しています。UBS は、投資ソリューション、商品、インパクトのあるソートリーダーシップを提供し、世界有数の資産運用会社として、大規模かつ多様な資産運用、集中投資銀行機能、スイスにおける個人および法人向け銀行サービスを提供しています。当社は、ターゲット市場において強い競争力を持ち、資本効率が高く、魅力的な長期的構造成長または収益性の見通しを持つ事業に重点を置いています。UBS は、世界のすべての主要な金融中心地に拠点を置いています。50 以上の地域および所在地に拠点を有し、従業員の約 30%がアメリカ大陸、30%がスイス、19%がその他のヨーロッパ、中東およびアフリカ、21%がアジア太平洋地域で勤務しています。UBS グループ AG は、全世界で 72,000 人以上の従業員を擁しています。同社の株式は、スイス証券取引所およびニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場されています。www.ubs.com(註 1)炭素除去は Carbon Dioxide Removal(CDR)、またはネガティブ・エミッションと呼ばれ、大気中の CO2 を除去し、貯留することを指します。森林やブルーカーボン等自然界の CO2 吸収を増やす自然ベースのものと、化学工学的技術を使って大気中から CO2 を除去する技術ベースのものに二分されます。(註2) NextGen では以下の技術系 CO2 削減価値の購入を検討しています。 Biomass Carbon Removal and Storage (BiCRS): バイオマスエネルギーの燃焼等により発生した CO2を回収・貯留する技術 Direct Air Capture and Storage (DACS):大気中の CO2 を直接回収し貯留する技術 風化促進:玄武岩などの岩石を粉砕・散布し、風化を人工的に促進する技術。風化の過程(炭酸塩化)で CO2 を吸収する バイオ炭:高温でバイオマスを炭化し炭素を固定する技術 プロダクト・ミネライゼーション:コンクリート等のマテリアルとして炭素を固定する技術(註3)国際環境 NGO の Energy Transition Commission によると、世界の気温上昇を 1.5℃以下に抑えるためには、2030 年までに毎年 36 億トンの炭素を除去する必要があるとされています。https://www.energy-transitions.org/publications/mind-the-gap-cdr(註 4)IPCC 特別報告書「1.5℃の地球温暖化」(SR15)によると、地球温暖化を 1.5℃以内に抑えるために必要な 2050 年までの炭素除去量 1000 億-1 兆トンを達成するために、大気中の炭素を除去する努力を拡大することが急務となっています。2050 年までに温室効果ガスの排出を正味ゼロにするためには、急速な脱炭素化や森林保全等の排出回避努力に加え、自然を利用した解決策と技術的な解決策の両方が必要だとされています