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パナソニック/マイナス70℃の保冷を実現する真空断熱保冷ボックスを発売

物流システム 2023.06.17

堅牢な一体成型ボックスで安定輸送が可能

マイナス70℃の保冷を実現する真空断熱保冷ボックス
「VIXELL(ビクセル)™」を開発

2020年度末よりサンプル提供を開始

真空断熱ボックス「VIXELL(TM)」(右:120リットルタイプ、左:57リットルタイプ)

パナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、ドライアイスなどの保冷剤を用いてマイナス70℃の環境を最長18日間保持※1できる真空断熱保冷ボックス「VIXELL(ビクセル)™」を開発しました。
ワクチンなど医薬品の輸送には、厳格な温度維持が求められます。一般的な断熱ボックスは、板状の真空断熱パネル(VIP)を貼り合わせて断熱層を形成しているため、パネルの継ぎ目からの冷気漏れが課題でした。パナソニックでは、断熱性能を高めるキーデバイスとして、長年、VIPの研究開発を進め、冷蔵庫などの省エネ化を実現してきました。「VIXELL™」は、これまで培ってきた技術やノウハウを生かして、VIPでは実現できなかった、箱型の立体形状に一体成型する独自加工で継ぎ目を無くし、冷気漏れの課題を解決。また、57リットルタイプでは断熱材に発泡ウレタンとグラスウールを使用することで、当社従来開発品と比較して保冷能力を約30%※2向上させました。

「VIXELL™」は、ボックス内に蓄熱ユニットを設置し、蓄熱ユニットの内外に保冷剤を充填することで、温度を維持します。蓄熱ユニットや保冷剤を変えることで、マイナス70℃以下のドライアイス温度帯※3やマイナス20℃以下、2℃~8℃温度帯など、多様な温度設定にも対応します。

断熱材の表面を被うプラスチック製シートは、ドライアイスなどを保冷剤として使用すると、脆化温度※4を下回り、輸送中の落下や振動によりシートが破損するおそれがありました。今回開発した「VIXELL™」では、衝撃吸収構造を採用することにより、ボックス内のシートの破損を軽減。ドライアイス温度帯においても、安定した輸送が可能となります。

当社は、2020年度末より製薬会社や流通業者などへのサンプル提供を開始し、早期の商品化を目指します。

  • ※1 真空断熱保冷ボックス(120リットルタイプ)に、ドライアイス温度帯蓄熱ユニット(収納箱容積23リットル)を収納し、保冷ボックス内および収納箱内へドライアイス34 kgを充填。外気温30℃にてマイナス70℃以下の温度維持時間を計測。
    57リットルタイプでは、ドライアイス温度帯蓄熱ユニット(収納箱容積9リットル)を収納し、保冷ボックス内および収納箱内へドライアイス14 kgを充填。外気温30℃にてマイナス70℃以下を最長9日間保持。
  • ※2 真空断熱保冷ボックス(57リットルタイプ)と2℃~8℃帯蓄熱ユニット(収納容積8リットル)を使用し、外気温35℃にて2℃~8℃の温度維持時間を当社従来開発品と今回の開発品と比較した結果。
  • ※3 ドライアイスの昇華温度であるマイナス79℃付近。
  • ※4 JIS K7216に定める試験において、試験片の50%が破壊する温度。
    プラスチックの材質やグレードにより脆化温度は異なります。

■開発品の特長

(1)一体成型による高断熱構造

箱型の一体成型により、真空断熱パネル
(VIP)の継ぎ目からの冷気漏れを改善。
57リットルタイプでは、断熱材に発泡ウレタンと
グラスウールを併用することで、当社従来開発比
約30%保冷能力が向上※2

VIPの継ぎ目からの
冷気漏れの様子
VIXELLは継ぎ目のない
一体成型のため
冷気漏れが少ない

(2)マイナス70℃以下での冷凍輸送に対応する保冷能力

真空断熱ボックスにドライアイス温度帯用蓄熱ユニットを収納し、ドライアイスを充填した状態で最長18日間マイナス70℃以下を保持※1

保冷日数グラフ(模擬製品温度、上限温度(70℃)、外気温(35℃))
ドライアイス温度帯用蓄熱ユニット、真空断熱ボックス、ドライアイス イメージ

(3)衝撃吸収構造の採用

ドライアイスによって冷えきった真空断熱ボックスを誤って床に落下させるなどすると、真空断熱材を被うプラスチック製シートが脆化により破損しやすくなります。
今回緩衝構造を見直すことで衝撃を緩和し、落下時の破損リスクを軽減しました。

当社従来品:真空断熱パネル(VIP)を採用した保冷ボックス

当社新開発:「VIXELL™」の場合

  • ※5 立体形状に成型した断熱材をガスバリア性の高い外被材で覆い、真空状態にした真空断熱材。
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