愛知県/無人飛行ロボット社会実装推進事業を実施 物流システム 2023.06.17 無人飛行ロボット社会実装推進事業の実施について 愛知県では、内閣府の未来技術社会実装事業である「『産業首都あいち』が生み出す近未来技術集積・社会実装プロジェクト」の一つとして、昨年度から「無人飛行ロボット社会実装推進事業」を行っています。 本事業は、無人飛行ロボット(ドローン)の山間部等における荷物輸送の社会実装を目指し、実証実験を通して社会実装モデルを作成するものです。 今年度は、昨年度の実証実験を通じた課題を踏まえた飛行レベル3(無人地域での目視外飛行)での実証実験の実施や、地域医療機関等との連携を通じて、社会実装モデルを作成します。 1 事業実施体制 ○ 実施事業者(事業委託先) 名鉄グループドローン共同事業体 (代表者:名古屋鉄道株式会社、構成員:中日本航空株式会社) ○ 共同事業者 株式会社プロドローン(機体管理)、KDDI株式会社(通信監理) ○ 協力自治体等 新城市、美浜町、南知多町、豊田市 新城市民病院、知多厚生病院 2 実証実験実施予定 以下の3地域において次のとおり実施を予定しています。 (1)山間部過疎地域への配送(新城市) 実証地域 新城市(布里小松~布里小松ケ根)約2.1km 実証テーマ 山間部における無人飛行ロボットを活用した医療物資輸送 実験内容 災害時、道路遮断等により孤立してしまった集落への医療提供を無人飛行ロボットが支援する運用モデルを想定し、当地域の災害拠点病院である新城市民病院と連携しながら、実際に現場で必要とされる常備薬や通信医療器具の輸送を行うことで、孤立集落へ遠隔からの医療提供・健康管理における無人飛行ロボットの有用性を検証する実験を行います。 約2.1kmの河川上を、LTE通信を使用した飛行レベル3(無人地域での目視外飛行)で実施します。 また、非常時であっても安全な飛行ができるよう、事前に航空レーザ測量による3Dマップの作成を行い、その活用効果を検証します。 検証課題 ・無人飛行ロボット輸送による自動化・省人化を実現した際の運用コスト算出や既存サービスとの比較検証・災害時輸送における迅速性や安全性の検証 (2)離島への配送(美浜町、南知多町) 実証地域 美浜町、南知多町(美浜町河和港~南知多町篠島北部)約13.0km 実証テーマ 離島における無人飛行ロボットを活用した医薬品輸送 実験内容 知多厚生病院等が篠島で取り組んでいるオンライン診療・オンライン服薬指導の課題の一つである医薬品配送に対して、無人飛行ロボットが直接かつ迅速に患者の元へ輸送する運用モデルを想定し、当病院と連携しながら、医薬品等を輸送することで、島民への医療環境向上における無人飛行ロボットの有用性を検証する実験を行います。 美浜町の港から篠島までの約13.0kmの洋上を、LTE通信を使用した飛行レベル3(無人地域での目視外飛行)で実施します。 検証課題 ・無人飛行ロボット輸送による自動化・省人化を実現した際の運用コスト算出や既存サービスとの比較検証・医薬品輸送における温度管理等の安全性、配達の確実性、配送スピードの検証 (3)廃線跡を利用した配送(豊田市) 実証地域 豊田市(中金町~東広瀬町)約2.1km 実証テーマ 過疎地域における無人飛行ロボットを活用した日用雑貨配送 実験内容 インターネット等で購入した日用雑貨品などを無人飛行ロボットが配送する運用モデルを想定し、過疎地域の買い物弱者支援における無人飛行ロボットの有用性を検証する実験を行います。 約2.1kmの名鉄三河線廃線跡(豊田市所有)の一部区間を無人飛行ロボットの専用空路に見立て、LTE通信を使用した飛行レベル3(無人地域での目視外飛行)で実施します。 また、交通系ICカード(manaca)などを活用した宅配ボックスの施錠・開錠等を検証します。 検証課題 ・無人飛行ロボット輸送による自動化・省人化を実現した際の運用コスト算出や既存サービスとの比較検証・無人飛行ロボットの専用空路の設定に要する初期費用の検証・ICカードを活用した配送ボックスの施錠・開錠システムの検証 3 今後のスケジュール 2020年8月上旬 地元調整、技術面でのルート検証後に飛行ルート確定2020年8月~9月 各ルートでのテストフライト実施2020年9月~11月 実証実験本番 ※実証実験の日程は地元との調整により決定 ※荒天の場合は中止となるため予備日を設定 ※詳細が決まり次第改めてお知らせします 4 参考 【未来技術社会実装事業】 2018年8月に内閣府から、愛知県として「産業首都あいち」が生み出す近未来技術集積・社会実装プロジェクトが、選定されました。具体的な取組として、「自動運転社会実装プロジェクト推進事業」、「無人飛行ロボット実証推進事業」、「サービスロボット社会実装推進事業」、「介護・リハビリ支援ロボット社会実装支援体制構築事業」の4つの事業を推進しています。※2020年度より事業名が「近未来技術等社会実装事業」から「未来技術社会実装事業」に変更になりました。 【2019年度の実施事業概要】 3か所での実証実験を通じて、社会実装に向けた課題を整理しました。 整理した課題は以下の3つです。 ・地元住民の理解等の社会受容性の向上 ・飛行ルートの設定における所有者の許可取得 ・電波環境や標高差、地上の障害物等に対する技術的な障害