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物流ニュース

日本船主協会/2019 年海運界重大ニュースを発表

物流全般 2023.06.17

2019 年海運界重大ニュース

○ 中東海域における航行の安全に懸念

本年 5 月にフジャイラ沖にて 4 隻の商船が攻撃され、6 月には当協会会員会社運航船 への攻撃事案が発生するなど、中東海域における安全な航行に重大な懸念が生じた。 当協会は、当該海域における会員会社の航行情報を政府と共有するなど、政府および 関係者と連携して航行安全確保に向けた対応を行った。

○ 環境規制への対応が進む

国際海運からの温室効果ガス(GHG)排出削減について、その目標と対策候補を盛り 込んだ「GHG 削減戦略」が 2018 年 4 月に国際海事機関(IMO)で採択されたことを 受け、目標達成に向けた具体的な対策に関する議論が国内外で行われた。 また、2020 年 1 月からの燃料油硫黄分 0.5%規制について、不正対策や燃料油サンプ ル分析手法統一化等を盛り込んだ「統一的実施のためのガイドライン」が IMO におい て採択されるなど、確実かつ円滑な実施に向けた議論が行われた。 当協会は、これら環境規制に関する国内外の議論に積極的に参加・貢献するとともに、 海運業界の環境保全への取組について社会的な認知度を高めるための活動を行った。

○ シップリサイクル条約が発効に向け大きく前進

採択から 10 周年を迎えた「2009 年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための 香港国際条約(シップリサイクル条約)」は、本年わが国および主要リサイクル国であ るインドを含め 9 カ国が批准し、締約国が 15 カ国に達するなど、発効に向けて大きく 前進した。安全で環境に配慮した船舶の再資源化が更に国際的に拡がるよう、当協会 は政府および関係者と連携し、国内外で早期発効に向けた活動に積極的に取り組んだ。

○ 外国人船員に伴う承認制度の合理化について大きく前進

承認試験・民間審査に代えて船長が行う船舶職員実務能力確認の対象船員が船長・機 関長まで拡充され、承認試験制度の合理化が図られた。また、2011 年より開始された 機関承認制度に関して、認証開始から 5 年を経過したフィリピン、インドの機関承認 校について、継続審査が問題なく終了し、機関承認校としての認定が継続された。さ らに、業界要望として長年にわたり提案してきたロシアとの承認約束が締結され、承 認約束締結国が 17 カ国となった。これにより、ロシア人船員の承認証取得および日本 籍船への船舶職員としての乗船が可能となった。

○ 圧縮記帳・登録免許税特例措置の延長が認められる

令和 2(2020)年度与党税制改正大綱において、当協会が要望した 2020 年 3 月末に 適用期限を迎える「船舶の圧縮記帳(買換特例)」および「国際船舶に係る登録免許税 の特例措置」について、それぞれ 3 年、2 年の延長が認められた。また、内航関係の 「地球温暖化対策税の還付措置」についても 3 年の延長が認められた。

○ 交通政策審議会において、内航海運業の今後のあり方や船員の働き方改革 について検討を開始

少子高齢化による人口減少等の外部環境変化に加え、内航海運暫定措置事業の終了が 数年後に見込まれるなか、国土交通省は、社会に必要とされる輸送サービスを持続的 に提供できる内航海運のあり方について、本年 6 月から交通政策審議会海事分科会の 基本政策部会で検討を開始した。一方、同分科会の船員部会では、内航船員の働き方 改革に関する議論が進められている。

○ 新しい教科書に「海運」の記述が随所に、「海運の重要性」の理解促進へ 大きな一歩

新学習指導要領に基づく小学校の新しい教科書が本年 5 月 28 日に公表され、5 年生社 会科の「食料生産」や「工業生産」の単元などで、海運に触れる記述が増加した。当 協会は、海運の役割を取り上げる授業が広く行われるよう、海事団体や荷主団体とも 連携し、見学会や資料提供を行うとともに、授業シナリオ作成や研究授業等にも協力 した。また各地の公的な教員研修および小学校課外授業の中で海事施設見学が行われ るよう、積極的に対応した。 ○ パナマ運河が 2 年半ぶりに通航料金改定、業界意見を受け改定日は 3 カ月 延期 パナマ運河庁は 2020 年 1 月からの通航料改定案を本年 6 月に発表した。コンテナ船 を除くほぼすべての船種で通航料の 5~15%の値上げが提案された。当協会は改定実 施日の延期を含む新料金案の再考を求め、意見書を提出した他、公聴会にも出席した。 その後、本年 10 月に発表された新通航料(確定版)では当協会の意見の一部が反映さ れ、一部自動車船の値上げ幅が圧縮された他、改定日も 3 カ月延期(2020 年 4 月実施) されることとなった。

○ 米国トランプ政権の外交・通商政策による海運業界への影響広がる

米国第一主義を掲げるトランプ政権の外交・通商政策によって、海運業界にとっての 支えである自由貿易体制は試練の時を迎え各方面で影響が広がった。 米中貿易摩擦の影響により、コンテナ荷動きは中国発北米向けの落ち込みが拡大傾向 にあり、また、中東関連では、イラン制裁の強化に伴うわが国への同国産原油輸入の 停止(5 月以降)などが海運業界のみならず産業界全体に影響を与えた。

○ 第 7 次 NACCS 更改に向けた検討がスタート

第 7 次 NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム、2025 年 10 月稼働予定)更改 に向けた検討が本年 8 月にスタートした。税関および関係行政機関に対する手続きや 関連する民間業務の処理についての更なる利便性向上が期待される。

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