富士フイルム富山化学/国内初の商業生産に対応したリポソーム製剤工場が竣工 SCM・製造拠点 2023.06.17 国内初の商業生産に対応したリポソーム製剤工場が竣工 薬剤を患部に選択的に送達し薬効を高めるリポソーム製剤の生産体制を構築 富士フイルム富山化学株式会社(社長:岡田 淳二)は、富山第二工場内に、薬剤を選択的に送達し薬効を高めるリポソーム製剤の新工場(701工場)が本日竣工したことをお知らせします。701工場は、国内で初めて(※1)商業生産に対応したリポソーム製剤工場で、2020年2月の稼働を予定しています。 今後、富士フイルム富山化学は、701工場にてリポソーム製剤の治験薬製造や商業生産を行っていきます。 リポソーム製剤は、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子(リポソーム)の中に薬剤を内包した製剤で、有効成分を効率的に患部に届け薬効を高めることができると期待されています。 現在、富士フイルムは、写真フィルムなどで培った、高度なナノ分散技術や解析技術、プロセス技術を活かして既存の抗がん剤を均一なサイズのリポソームに安定的に内包したリポソーム製剤「FF-10832(※2)」と「FF-10850(※3)」の米国臨床第I相試験を実施しています。また、「FF-10832」「FF-10850」の非臨床試験で免疫チェックポイント阻害剤(※4)との併用投与による生存期間延長を確認し、リポソームを用いた新規がん免疫療法の研究を開始するとともに、次世代医薬品である核酸医薬品や遺伝子治療薬へのリポソームの応用展開を推進しています。 今回竣工した701工場は、富士フイルムグループのリポソーム製剤の中核生産拠点で、日・米・欧のGMP(※5)基準に対応しているため、グローバルにリポソーム製剤を供給することが可能です。 701工場は、富士フイルム富山化学が注射剤の無菌製造で蓄積してきた生産ノウハウ、富士フイルムが幅広い製品開発で培ってきた高度な生産技術などを活用して設計・開発した製造設備や封じ込め設備を導入。均一なサイズに設計したリポソームに目的の薬剤を安定的に内包した、高品質なリポソーム製剤を生産することができます。 今後、富士フイルム富山化学は、701工場にて、富士フイルムが研究開発を進めている、抗がん剤「FF-10832」「FF-10850」、さらには核酸医薬品や遺伝子治療薬などの治験薬製造や商業生産を展開していきます。また、701工場を活用して、他社からリポソーム製剤の生産プロセス開発・製造受託を行い、ビジネス拡大を図っていきます。 富士フイルム富山化学は、高付加価値な医薬品の開発・製造・販売を通じて、医療のさらなる発展に貢献していきます。 ※1 リポソーム製剤の専用工場として国内初。当社調べ。 ※2 抗がん剤「ゲムシタビン」をリポソームに内包したリポソーム製剤。「ゲムシタビン」は、膵臓がんの第一選択薬として用いられ、そのほかにも幅広いがん(肺がんや卵巣がんなど)に用いられている。 ※3 抗がん剤「トポテカン」をリポソームに内包したリポソーム製剤。「トポテカン」は、卵巣がん、小細胞肺がん、子宮頚がんなどに用いられている。 ※4 免疫細胞の働きを弱める機構(免疫チェックポイント)を阻害することで、活性化された免疫細胞が、がん細胞を攻撃して効果を示す薬剤の総称。悪性黒色腫、肺がん、胃がん、腎がんなどに幅広く用いられる。 ※5 Good Manufacturing Practice。品質の良い医薬品、医療用具などを供給するための製造管理および品質管理を定めたもの。 【701 工場の概要】 1. 工場名 701 工場 2. 建設場所 富山県富山市千原崎一丁目 8 番 70 号(富山第二工場内) 3. 投資金額 約 50 億円 4. 生産内容 リポソーム製剤の治験薬製造および商業生産 5. 延床面積 約 3,400 ㎡(地上 2 階建) 6. 稼働時期 2020 年 2 月