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国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構/バイオジェット燃料のサプライチェーン構築を見据えた事業性評価に着手

物流全般 2023.06.17

バイオジェット燃料のサプライチェーン構築を見据えた事業性評価に着手

―バイオジェット燃料の市場形成を目指す4テーマを採択―
2019年10月31日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭

NEDOは、バイオジェット燃料の市場形成に向けたサプライチェーンの構築およびカーボンリサイクルなど脱炭素社会の形成を促進するため、事業性評価(FS)4テーマに着手しました。

本事業では、純バイオジェット燃料の一貫製造技術の確立とともに、原料の調達や製品の供給を含めたサプライチェーンの構築も視野に入れ、それらの事業化スキームや経済性を検証することで当該分野における市場形成の実現を促進します。

  • バイオジェット燃料のサプライチェーンイメージ
    図1 バイオジェット燃料のサプライチェーンイメージ
  • 微細藻類カーボンリサイクル技術イメージ
    図2 微細藻類カーボンリサイクル技術イメージ

1.概要

今後も大幅に拡大する航空需要予測を背景に、二酸化炭素排出量削減による地球温暖化抑止対策が国際民間航空機関(ICAO)をはじめとした航空業界における喫緊の課題となっています。その対策として、バイオマスから作られるバイオジェット燃料の導入が、必要不可欠な手段の一つとして位置づけられています。既に海外では木質系バイオマスや廃食用油などを原料にしたバイオジェット燃料生産の実用化、商業化が進みつつあります。また、国内では、パリ協定に基づく温室効果ガス排出削減目標を達成すべくカーボンリサイクルなど脱炭素社会の形成に向けて取り組みが進んでおり、航空分野においても、2020年にバイオジェット燃料によるフライトの実現を目指しつつ、事業化に向けた取り組みが進められています。

こうした背景から、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2017年度から「バイオジェット燃料生産技術開発事業※1/一貫製造プロセスに関するパイロットスケール試験」を実施しており、2030年頃の商用化を念頭に置いたバイオジェット燃料の一貫製造技術の確立を目指しています。

今回、その商用化に向け、バイオジェット燃料の市場形成に向けたサプライチェーンの構築およびカーボンリサイクルなど脱炭素社会の形成を促進するため、事業性評価(FS)について公募を実施し、純バイオジェット燃料製造技術別に、ガス化・FT合成技術※2、微細藻類、Alcohol to JET(ATJ)技術、HEFA技術※3の計4テーマを採択しました。

本事業では、純バイオジェット燃料の一貫製造技術の確立とともに、原料の調達や製品の供給を含めたサプライチェーンの構築も視野に入れ、それらの事業スキームや経済性を検証することで当該分野における市場形成の実現を促進します。また、各事業者が事業化する際の純バイオジェット燃料の原料種や量、製造プロセス、製造場所、使用場所などの事業内容を想定し、化石エネルギー収支および温室効果ガス削減効果の評価を含む事業性評価に取り組みます。

2.採択テーマおよび委託予定先

採択テーマ 委託予定先
バイオジェット燃料製造に最適なガス化・FT合成による一貫製造プロセス・サプライチェーン構築の事業性評価(FS) 株式会社エジソンパワー
JXTGエネルギー株式会社
国立大学法人富山大学
海洋ケイ藻によるグリーンオイルからのバイオジェット燃料の早期実現に向けた事業性評価(FS) 電源開発株式会社
ATJ技術を活用した本邦バイオジェット燃料製造事業の事業性評価(FS) 三井物産株式会社
JXTGエネルギー株式会社
全日本空輸株式会社
二機能触媒によるバイオ由来植物油脂からのバイオジェット燃料製造技術の事業性評価(FS) 日鉄エンジニアリング株式会社
国立大学法人東京農工大学
株式会社ダイキアクシス

【注釈】

※1 バイオジェット燃料生産技術開発事業
事業期間:2017~2020年度
事業予算:24億円(2019年度)
※2 ガス化・FT合成技術
原料を水素と一酸化炭素を主成分とするガスに変換し、さらに触媒により目的の燃料を製造する技術。
※3 HEFA(Hydroprocessed Esters and Fatty Acids)技術
廃食油や植物油を水素化処理および脱酸素化することで目的の燃料を製造する技術。
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