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ヤマトホールディングス/93億2300万円の経常損失を計上(2020年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結))

決算短信 2023.06.17

2020年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
単位・百万円  

           営業収益  営業利益  経常利益  当期純利益

2020年3月期第1四半期 381,726 0.3  △6,100 ―  △9,323 ―  △9,747 ―

2019年3月期第1四半期 380,690 7.1  9,578 ―   9,429 ―   2,638 ―

(注)包括利益 2020年3月期第1四半期  △10,534百万円 (―%) 2019年3月期第1四半期  2,486百万円 (―%)

(略)

(1)経営成績に関する説明

当第1四半期における経済環境は、企業業績が底堅さを維持し緩やかな回復基調が続いているものの、海外政治情 勢による影響など、引き続き、先行き不透明な状況にあります。また、消費スタイルの急速な変化に伴うEC市場の 拡大などによる小口貨物の増加基調に加え、国内労働需給の逼迫など、物流業界は厳しい経営環境が継続してい ます。 このような状況下、ヤマトグループは高品質なサービスを提供し続けるため、「働き方改革」を経営の中心に据 え、「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長してい くためのグループ経営構造改革」の3つの改革を柱とする中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」に基づき、ヤ マトグループが持続的に成長していくための経営基盤の強化に取り組んでいます。 デリバリー事業においては、収益力の回復と集配キャパシティの拡大を両立させるべく、プライシングの適正化や お客様からの信頼と期待に応えるための集配体制の強化など、ラストワンマイルネットワークの再構築を推進しま した。 ノンデリバリー事業においては、グループ各社の強みを活かした既存サービスの拡充に取り組むとともに、グルー プ全体でアカウントマネジメントを強化し、お客様の課題解決に当たるソリューション営業を積極的に推進しま した。 当第1四半期の連結業績は以下のとおりとなりました。

(略)

上記のとおり、営業収益は3,817億26百万円となり、前年同期に比べ10億36百万円の増収となりました。これは主 に、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことによるものです。営業費用は3,878億27 百万円となり、前年同期に比べ167億15百万円増加しました。これは主に、集配体制の構築に向けて増員などを進め たことで、委託費は減少したものの人件費が増加したことなどによるものです。 この結果、営業損失は61億円となり、前年同期に比べ156億79百万円の減益となりました。 経常損失は、海外関連会社に係るのれんの減損などにより持分法による投資損失が29億24百万円増加し、前年同期 に比べ187億53百万円減益の93億23百万円となりました。 この結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は97億47百万円となり、前年同期に比べ123億86百万円の減益とな りました。

<ヤマトグループ全体としての取組み>

① ヤマトグループは、グループの原点である「全員経営」を実践するため、「働き方改革」を最優先課題とし、 ヤマト運輸株式会社の「働き方改革室」、グループ各社の「働き方創造委員会」を中心に、社員がより「働き やすさ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備に全社一丸で取り組んでいます。また、各 事業が一体となって付加価値の高い事業モデルを創出し、日本経済の成長戦略と、国際競争力の強化に貢献す る「バリュー・ネットワーキング」構想を推進するとともに、事業の創出・成長の基盤となる健全な企業風土 の醸成に取り組んでいます。

② 健全な企業風土の醸成に向けて、引き続き輸送体制の整備やデジタルテクノロジーの活用による業務量の見え る化など、業務の効率性・信頼性を向上させる施策を推進するとともに、安全施策や環境施策、地域活性化に 向けた取組み、グループガバナンスの抜本的かつ包括的な再構築など、持続的成長に向けたESGの取組みを 積極的に推進しています。

③ 「バリュー・ネットワーキング」構想の更なる進化に向け、ヤマトグループのネットワークを活かした高付加 価値モデルの創出に取り組んでいます。国内外のお客様の様々なニーズに対応するために、既存のラストワン マイルネットワークに加え、「羽田クロノゲート」、「沖縄国際物流ハブ」、関東・中部・関西の主要都市を 繋ぐ各ゲートウェイなどの革新的なネットワーク基盤を効果的に活用するとともに、グループ全体でアカウン トマネジメントを強化していきます。

④ グローバル市場に対しては、クロスボーダー物流の拡大に対応するため、日本・東アジア・東南アジア・欧 州・米州の5極間の連携と各地域の機能強化を推進するとともに、グローバル関連事業のマネジメント強化に 取り組んでいます。また、既にヤマトグループ8社が取得した小口保冷配送サービスに関する国際規格の認証 を活用し、高付加価値なクロスボーダー・ネットワークの構築を積極的に推進しています。

⑤ EC市場を中心としたお客様の利便性向上を図るため、オープン型宅配便ロッカーネットワークの構築を積極 的に推進するなど、手軽に荷物の受け取りと発送ができる環境の整備に取り組むとともに、自動運転技術の活 用など、次世代物流サービスの開発に取り組んでいます。また、深刻化する労働力不足などの社会的課題や、 益々拡大するEC市場に対応するため、物流全体におけるデジタル化の推進による集配、作業、事務の効率化 や、輸送効率を高めネットワーク全体を最適化するための幹線ネットワークの構造改革にも取り組んでい ます。

<事業フォーメーション別の概況>

○デリバリー事業

宅急便、クロネコDM便の取扱数量は以下のとおりです。

(略)

① デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便 を中心とした事業の展開に取り組んでいます。

② 消費スタイルの急速な変化に伴うEC市場の拡大などによる小口貨物の増加基調に加え、国内労働需給の逼迫 など厳しい事業環境が継続している中、当第1四半期においては、引き続き、収益力の回復と集配キャパシテ ィの拡大を両立させるべく、プライシングの適正化やお客様の信頼と期待に応えるための集配体制の強化な ど、ラストワンマイルネットワークの再構築を推進しました。また、物流全体におけるデジタル化の推進によ る集配、作業、事務の効率化や、輸送効率を高めネットワーク全体を最適化するための幹線ネットワークの構 造改革にも取り組みました。

③ 成長が続くEC市場に対しては、お客様のライフスタイルの変化により多様化するニーズに合わせて、小さな 荷物を手軽に送ることができる「宅急便コンパクト」、「ネコポス」の拡販を進めるとともに、複数のフリマ サイトと連携し、発送窓口の拡大を推進しています。当第1四半期においては、フリマサイトやEC事業者様 と連携し、個人のお客様が商品をコンビニエンスストアやオープン型宅配便ロッカー(PUDOステーショ ン)から簡単に発送できる環境を整備し、利便性の向上を図りました。また、お客様が商品を購入した場合 に、受け取り場所としてヤマト運輸株式会社の営業所やコンビニエンスストア、PUDOステーションを指定 できる環境を提供するとともに、24時間365日、お客様がいつでも好きな時に荷物の受け取りや発送ができる セルフ型店舗「クロネコスタンド」をオープンしました。

④ 法人のお客様については、お客様の経営課題を的確に把握し、その課題に沿ったソリューション提案を積極的 に推進しています。また、グループ全体のアカウントマネジメントを強化し、グループの経営資源を活用した 付加価値の高い提案を行い、収益性の向上に取り組みました。

⑤ 地域の課題解決に向けて、複数の自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者の見守り支援など、住 民へのサービス向上に取り組みました。また、観光支援や地域産品の販路拡大支援など、地元産業の活性化に つながる取組みを推進しました。

⑥ 営業収益は、デリバリー事業の構造改革を推進した中で、宅急便単価が上昇したことなどにより3,039億46百 万円となり、前年同期に比べ1.6%増加しました。利益面においては、改革に係る費用が増加したことなどに より、営業損失は98億17百万円となり、前年同期に比べ160億4百万円の減益となりました。

○BIZ-ロジ事業

① BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・ リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物 流システムを提供しています。

② EC向けサービスとしては、受発注対応から在庫の可視化、スピード出荷などの多様なサービスをワンストッ プで提供しています。また、医療機器関連事業者様に向けたサービスとしては、配送だけでなく、病院から返 却された手術用工具の洗浄、メンテナンス、再貸出までトータルにサポートし、お客様の物流改革を支援して います。当第1四半期においては、既存のお客様を中心にサービスの拡販を推進しました。

③ 営業収益は、メンテナンス・リコールサービスにおける前期の反動減などにより347億3百万円となり、前年 同期に比べ6.4%減少しました。営業利益は事業成長に向けた費用が先行したことなどにより7億92百万円と なり、前年同期に比べ29.1%減少しました。

○ホームコンビニエンス事業

① ホームコンビニエンス事業は、法人のお客様の社員向けに提供している引越サービスに不適切な請求があった 事態を受けて、組織体制の整備、引越に係わる全サービスの総点検、引越事業の抜本的な見直し、商品設計の 見直しなど再発防止に取り組んでいます。

② 営業収益は、個人のお客様向けを含むすべての引越サービスを休止していることなどにより67億83百万円とな り、前年同期に比べ25.6%減少しました。利益面においては、営業損失が29億91百万円となりました。

○e-ビジネス事業

① e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、 決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に展開しています。また、グループ の事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進して います。

② お客様の業務効率化に向けたサービスとしては、金融業界向けに、お手続き時の本人確認書類や必要書類を、 スマホやパソコンなどWeb上にアップロードすることで、契約者様が安全・簡単に書類提出できる「証明書 類Web取得サービス」を提供しています。当第1四半期においては、銀行、保険業界に対して積極的にサービ スの拡販に取り組み、ご利用が拡大しました。

③ 営業収益は、「証明書類Web取得サービス」や、PCなどIT資産の機器調達から資産管理までトータルでサ ポートする「IT資産運用管理サービス」の拡販が進んだことなどにより67億82百万円となり、前年同期に比べ 9.0%増加しました。営業利益は19億58百万円となり、前年同期に比べ0.4%増加しました。

○フィナンシャル事業

① フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済、および車両のリースなど、お客様の様々なニー ズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。

② 決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス「ク ロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進していま す。当第1四半期においては、今後も拡大が見込まれるEC市場に対して、事業者様が新規参入するために必 要なショッピングカート機能、決済、配送をワンストップで支援できる「らくうるカート」の拡販に取り組み ました。また、「クロネコ代金後払いサービス」の機能を拡充し、購入者様に払込票を郵送する従来の「払込 票タイプ」に加え、商品受け取り後にスマートフォンの画面上で多様な決済方法を選択できる「スマホタイ プ」の提供を開始しました。

③ 営業収益は、「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加しているものの、決 済ニーズの変化による代引き市場の縮小などに伴い、「宅急便コレクト」の取扱いが減少したことなどにより 193億58百万円となり、前年同期に比べ2.3%減少しました。営業利益は16億97百万円となり、前年同期に比べ 0.7%減少しました。

○オートワークス事業

① オートワークス事業は、物流事業者様へ「車両整備における利便性の向上」、「整備費用の削減」という価値 を提供するとともに、「物流施設、設備機器の維持保全・職場環境改善」やこれらの資産を対象に「お客様の リスクマネジメントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の資産稼働率を高めるサ ービスを展開しています。

② 当第1四半期においては、お客様との定期的なコミュニケーションによるメンテナンスサービスの拡販に取り 組み、ご利用が拡大しました。

③ 営業収益は、車両取扱台数の増加などにより63億79百万円となり、前年同期に比べ5.4%増加しました。営業 利益は、モノづくりメーカーの生産方式を取り入れた業務の標準化や見える化などの業務プロセス効率化が進 展したことなどにより14億33百万円となり、前年同期に比べ14.8%増加しました。

○その他

① 「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客 様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当第1四半期においては、既存の サービスが好調であったことにより、ご利用が着実に拡大しました。

② 営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて4億6百万円 となり、前年同期に比べ60.8%増加しました。

<ESGの取組み>

① ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業と するグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネ ジメントに取り組んでいます。当第1四半期においては、グループ全体で安全意識の向上を図るため、海外を 含めたグループ全体で「交通事故ゼロ運動」を実施しました。また、子どもたちに交通安全の大切さを伝える 「こども交通安全教室」を1998年より継続して全国の保育所・幼稚園・小学校などで開催しており、累計参加 人数は約334万人となりました。

② ヤマトグループは、社会的インフラとしてお客様をはじめ社会の信頼に応えていくために、コンプライアンス 経営を推進し、労働時間管理ルールの見直しや社員の新しい働き方を創造するなど、社員が「働きやすさ」と 「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備を進め、「働き方改革」に全社を挙げて取り組んでい ます。

③ ヤマトグループは、グループ経営の健全性を高めるため、当社に設置した「グループガバナンス改革室」が中 心となり、グループガバナンスの抜本的かつ包括的な再構築に取り組んでいます。当第1四半期においては、 グループ全体の倫理観の醸成、更なる理念の浸透および業務での実践を促進するため、企業理念を構成する企 業姿勢、社員行動指針などの一部改訂を行い、前期より継続して実施している全社員への倫理教育などに取り 組みました。

④ ヤマトグループは、気候変動や大気汚染、資源枯渇、生物多様性の損失などが、持続可能な社会の実現にとっ て重要な課題であることを認識しています。気候変動への対策としては、CO2の排出がより少ない車両への シフトや小型商用EVトラックの導入、自動車を使わない集配などに取り組んでいます。また、次世代を担う 子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を2005年より継続して全国各地で開催し ており、累計参加人数は約24万人となりました。

⑤ ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティン グ・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当第1四半期 においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域等のバス・鉄道路線網の維持と物流の効率化による地域住民の 生活サービス向上を目的とする「客貨混載」を推進しました。また、訪日外国人など増加する観光客の利便性 向上と地域経済の活性化に向けて、手荷物預かりや宿泊施設への手荷物当日配送などを拡大し、手ぶら観光サ ービスの取組みを推進しました。ライフステージの変化が進む都市郊外部の団地内においては、拠点を活用し た地域コミュニティの活性化や、買い物・家事代行などくらしのサポートサービスを提供することで、地域住 民が快適に生活できる町づくりを支援する取組みを推進しました。全国各地で高齢者の見守り支援や観光支 援、地域産品の販路拡大支援など、ヤマトグループの経営資源を活用した地域活性化や課題解決に行政と連携 して取り組み、現在実施中または検討段階の案件数は1,023件となりました。

⑥ ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障 がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パンの 製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提 供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に 行っています。

(略)

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