ボッシュ/トラック、乗用車向け燃料電池の大規模生産で協業 SCM・製造拠点 2023.06.17 ボッシュ、トラック、乗用車向け燃料電池の大規模生産で協業スタックの生産を手掛けるPowercellと協業に合意 シュテファン・ハルトゥング:「ボッシュは協業により車載燃料電池市場に参入し、商用化を目指します。」 ボッシュとPowercellはスタック開発の協業を継続 ライセンスのもと、ボッシュは自動車市場向けのスタックを共同で開発 2030年には電気自動車のうち燃料電池車のシェアが最大で20%に シュトゥットガルト、ドイツ – ボッシュは、車載燃料電池市場へ参入し、トラック、乗用車向けの燃料電池技術の飛躍的な進化への道を切り開きます。そのための重要なコンポーネントの1つが燃料電池スタックです。スタックは燃料電池のコアであり、水素を電気エネルギーに変換するものです。スタックをさらに改善し、生産するために、燃料電池スタックを生産するスウェーデンのPowercell Sweden ABと提携を結びました。提携のもと、2社は生産可能な固体高分子形燃料電池(Polymer-electrolyte membrane (PME) fuel cell)を共同で開発します。ボッシュは、これにより開発された燃料電池をライセンスのもと、世界の自動車市場へ向けて生産することになります。スタックが加わることで、ボッシュの燃料電池のポートフォリオが揃うことになり、遅くとも2022年には燃料電池を市場投入する予定です。「ボッシュはすでに燃料電池の分野に精通しており、Powercellとの提携により燃料電池の分野をさらに強化することができます。こうした技術の商用化はボッシュが長けていることの1つです。私達は燃料電池の商用化に取り組み、市場を形成していきます」とボッシュの取締役会メンバーでモビリティ ソリューション事業チェアマンのシュテファン・ハルトゥングは述べています。長期的には、車載燃料電池の事業はボッシュにとって数十億ユーロ規模の売上を生み出す可能性があります。2030年には電気自動車のうち最大で20%が燃料電池車になると試算しています。”専門知識とノウハウの融合により、ボッシュは燃料電池技術が自動車市場に参入する機会を提供します。燃料電池技術の協業において、ボッシュ以上のパートナーはいないと考えています」とPowercell CEOのPer Wassénは述べています。 トラック、乗用車向けの燃料電池技術ボッシュは、燃料電池技術をより広範に使用するには商用車市場に最もチャンスがあると考えています。EUの規制では、2030年までにトラックに平均で15%の排出二酸化炭素量削減を求めています。これを達成するには、さらに多くのパワートレインの電動化が必要だとボッシュは考えています。燃料電池は重要な役割を担います。燃料電池がトラック向けに商用化されれば、乗用車向けに商用化できる可能性も大いに高まります。しかし、そのためには燃料電池システムにかかるコストを徐々に低くしていく必要があります。システムで最も高額なのがスタックです。スタックは、システム全体のコストのほぼ2/3を占めます。「燃料電池の商品化と広範なマーケティングを通じて、ボッシュは規模の経済を達成し、コストを削減します」とハルトゥングは述べています。水素のコストも下がらなければなりません。現在、水素は主に産業用途向けに製造されており、1キログラムあたりの価格は5ユーロを超えることもあります。生産が増えるにつれて、価格は下がるはずです。1キログラムの水素は、約3リットルのディーゼルと同程度のエネルギーを含みます。 100キロメートルの場合、最新の40トントラックは7〜8キログラムの水素を必要とします。 幅広いポートフォリオを持つシステムサプライヤーとしてのボッシュ水素の生産は、気候に依存せず、グリーン電力を使用することができます。さまざまな企業がグリーン電力による水素生産のプロセスに取り組んでいます。さらに、ドイツには60を超える水素ステーションの小規模ネットワークがあり、この数はさらに増加すると見込まれています。水素タンクは、ほんの数分で圧縮されたガスで補充することができます。燃料電池(またはそのような電池の集合体と呼ばれる燃料電池スタック)において、水素は酸素と反応し、副産物としての水と電気エネルギーが生まれます。これは、車両のバッテリーを充電するためにも、電気モーターに直接電力を供給するためにも使用できます。 2台以上のスタックを柔軟に組み合わせることで、乗用車から大型トラックまで、あらゆる種類の車両の電力要件を満たすことができます。 60人の従業員を擁するPowercellは、燃料電池スタックの手動生産から半自動生産の立ち上げに徐々に移行しています。パワーセルは最先端の燃料電池技術を開発し、そのスタックは最大125キロワット出力します。スウェーデンのイェーテボリに本社を置く同社は、2008年にボルボ・グループから分社しました。すでにトラックや自動車のプロトタイプとして使用するための燃料電池を供給しています。ボッシュはまた、燃料電池技術に関する多くの専門知識を持っています。ボッシュは、燃料電池をシステムで供給することができ、トラックや自動車の燃料電池用部品の幅広いポートフォリオをすでに持っています。これらには、パワーエレクトロニクスを備えたエアーコンプレッサーとセンサーを備えたコントロールユニットが含まれます。 定置型燃料電池のさらなる提携PEM燃料電池と同様に、ボッシュはすでに固体酸化物形燃料電池(SOFC)にも積極的に取り組んでいます。昨年の半ばから、ボッシュはイギリスのCeres Powerと協力して、工場やコンピューティングセンターへの分散型電源などのアプリケーション向けSOFC技術に取り組んでいます。この技術の背後にある考え方は、都市全体、そして工業地域に小さな発電所を設置することです。これらの標準化された発電所は非常に柔軟性があるので、従来の発電所よりもピーク需要をカバーすることができます。協業の目的は、1つのSOFCモジュールが10キロワットの電力を生成できるようにすることです。より多くの電力が必要な場合は、同じ出力のモジュールをいくつでも簡単に相互接続できます。 報道対応窓口:Jörn Ebberg,Phone: +49 711 811-26223Twitter: @joernebberg 日本のボッシュ・グループ概要日本のボッシュはボッシュ㈱、ボッシュ・レックスロス㈱、ボッシュ パッケージングテクノロジー㈱その他の関係会社から構成されます。ボッシュ㈱は自動車用パーツの開発、製造、販売そしてサービスの業務を展開し、また自動車用補修パーツや電動工具も取り扱っています。ボッシュ・レックスロスは油圧機器事業、FAモジュールコンポーネントやその他のシステムの開発と生産を行い、日本の産業機器技術に貢献しています。ボッシュ パッケージングテクノロジーは包装機械メーカーおよびインスペクション・テクノロジーの開発を行う会社です。さらにボッシュセキュリティシステムズ株式会社は、人命や建築物、財産などを守る製品とソリューションの提供を主要な事業としています。2017年の日本のボッシュ・グループの第三者連結売上高は約2,950億円で、従業員数は約6,600人です。 世界のボッシュ・グループ概要モビリティ ソリューションズは、ボッシュ・グループ最大の事業セクターです。2018年の暫定決算では、売上高470億ユーロ(約6兆1500億円*)で、総売上高の60%を占めています。モビリティ ソリューションズの売上により、ボッシュ・グループはリーディングサプライヤーの地位を確立しています。モビリティ ソリューションズ事業は、Accident-free(交通事故のない)、Emmision-free(排出ガスのない)、Stress-free(ストレスのない)をビジョンに、自動化、電動化、ネットワーク化の領域においてグループ全域にわたる知見を結集させ、お客様にモビリティのためのトータルソリューションを提供します。その事業領域は主に、内燃機関の燃料噴射テクノロジー/パワートレイン周辺機器、パワートレイン電動化のさまざまなソリューション、車載向け安全システム、ドライバー アシスタンス システム/自動化機能、ユーザーフレンドリーなインフォテインメントやVehicle-to-Vehicle(車車間)およびVehicle-to-Infrastructure(路車間)通信、オートモーティブ アフターマーケット向けのリペアショップコンセプト/テクノロジー/サービスなどです。さらにボッシュは、電気駆動マネジメントや横滑り防止装置ESC(エレクトロニック スタビリティ コントロール)、ディーゼル用コモンテールシステムなどの自動車の重要な革新技術を生み出してきました。 ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーです。2018年の従業員数は約41万人(2018年12月31日現在)、暫定決算報告での売上高は779億ユーロ(約10兆円*)を計上しています。現在、事業はモビリティ ソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジーの4事業セクター体制で運営しています。ボッシュはIoTテクノロジーのリーディングカンパニーとして、スマートホーム、スマートシティ、コネクテッドモビリティ、さらにコネクテッドインダストリーに関する革新的なソリューションを提供しています。ボッシュはセンサー技術、ソフトウェア、サービスに関する豊富な専門知識と「Bosch IoT cloud」を活かし、さまざまな分野にまたがるネットワークソリューションをワンストップでお客様に提供することができます。ボッシュ・グループはコネクテッドライフに向けたイノベーションの提供を戦略的な目標に定め、革新的で人々を魅了する全製品とサービスを通じて生活の質の向上に貢献します。つまり、ボッシュはコーポレートスローガンである「Invented for life」-人と社会に役立つ革新のテクノロジーを生み出していきます。ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHとその子会社440社、世界約60カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されており、販売/サービスパートナーを含むグローバルな製造・エンジニアリング・販売ネットワークは世界中のほぼすべての国々を網羅しています。ボッシュの未来の成長のための基盤は技術革新力であり、世界125の拠点で約6万9,500人の従業員が研究開発に携わっています。 *2018年の為替平均レート、1ユーロ=130.92534円で計算