国際協力機構/ナイル架橋建設事業が完工 物流全般 2023.06.17 ナイル架橋建設事業完工式:ナイル川に架かる新橋の建設を通じて国際回廊の整備を支援 2018年10月23日 完成した新橋 2018年10月17日、ウガンダ共和国・ジンジャ市において、ヨウェリ・カグタ・ムセベニ大統領、佐藤正久外務副大臣、亀田和明駐ウガンダ特命全権大使、深瀬豊JICAウガンダ事務所長など約3,000人が参加し、国際協力機構(JICA)が円借款で支援する「ナイル架橋建設事業」の完工式が盛大に開催されました。また、本橋梁は、ムセベニ大統領によって「the Source of the Nile Bridge 」と名付けられ、夜にはイルミネーション点灯式も実施されました。 本事業は、ウガンダの首都カンパラから約80km東のジンジャ県に位置し、ケニアのモンバサ港からカンパラへと続く東アフリカ北部回廊上を流れるナイル川に、新しい橋梁及びアクセス道路等を建設するものです。ウガンダにおける東アフリカ北部回廊の輸送能力を増強し、安全な交通を確保することを目的としており、同国内でも経済成長の象徴的構造物として注目されています。 これまでジンジャ県におけるナイル川の通行には、1954年に建設された橋梁(ナルバレ橋)が利用されてきました。ナルバレ橋は水力発電所のダムも兼ねており、ウガンダにとって交通、物流及び電力供給の生命線でしたが、片側1車線の狭幅員であることに加え、老朽化が進むなど、近年、円滑で安全な交通の障害となっていました。また、モンバサ港とカンパラ間の交通量は今後も増加すると予測されており、新しい橋の建設が急務でした。このような状況の下、同国政府からの要望を受け、JICAはウガンダ初の単独借款案件として、2010年11月に円借款貸付契約に調印(注1)し、新橋及びアクセス道路等の建設を支援してきました。なお、本事業の施工管理は株式会社オリエンタルコンサルタンツ、株式会社エイト日本技術開発、Pyunghwa Engineering Consultants Ltd.による共同企業体が行い、施工は株式会社銭高組・現代建設株式会社による共同企業体が2014年4月から建設事業を開始し、この度、4年半の歳月をかけて完工となりました。 完工式の様子 完工式においててムセベニ大統領より、同橋の建設では死亡者を一人も出さず完工式を迎えられたことや、従業員の約9割がウガンダ人となっており、地元の雇用に大きく寄与するとともに、現地建築・土木関係者への技術移転効果があったことに感謝が述べられました。 また佐藤正久外務副大臣は、同橋の完成により、ウガンダ及び南スーダン、コンゴ民主共和国、ルワンダといった東アフリカ地域の物流が安定かつ円滑化し、これら諸国の経済が大きく発展することを期待していると述べました。 さらに深瀬JICAウガンダ事務所長は、JICAが本事業に係るフィージビリティ・スタディ、資金協力、ウガンダ政府関係者への技術協力に貢献してきたこと、ならびに日本の建築哲学の反映として、安全面や環境社会配慮面にも十分配慮し、日本の高い品質の事業を実施できたことついて触れました。 JICAウガンダ事務所は、同橋梁の完工を祝し、「夢の橋」をテーマとした児童画コンテストを開催しました。一般公募のほか、青年海外協力隊が派遣されている小学校3校の児童から約130点が提出され、ナイル架橋をさまざまな色彩で描いた作品や、空想上の橋を描いた作品など、子ども達の豊かな発想から生まれた作品が多数集まりました。今後、JICAウガンダ事務所などで作品を展示する予定です。 (注1)2010年11月に91億9,800万円を限度とする円借款貸付契約に調印、さらに2018年4月に49億1,800万円(追加供与)を限度とする円借款貸付契約に調印しています。(供与総額141億1600万円)