日本郵船/船舶の鋼材腐食対策で共同事業を検討 SCM・製造拠点 2023.06.17 船舶の鋼材腐食対策で共同事業を検討 ―レーザー技術でさび問題を解決― 2018年8月21日 当社は、株式会社トヨコー(以下トヨコー)と同社の持つレーザー施工技術「CoolLaser(クーレーザー)」の海事分野における共同事業展開の検討について覚書を締結しました。画期的なレーザー技術の活用により、甲板上での乗組員によるメンテナンス作業の負担低減や修繕ドックのコスト削減を実現し、さらに効率的で環境に配慮したメンテナンスを可能とする事業の展開を目指します。1. 鋼材腐食に対するメンテナンスが抱える課題 甲板上の鋼材は、塩分、温度、湿度、紫外線や荷役作業時の傷などの要因によりさびやすい環境に常にさられており、日々乗組員が航海中に甲板上で工具を用いてさび落としと塗装の作業を行っています。しかしながら、その効果は長く持続せず、繰り返しの作業に多大な労力を要しているのが現状です。 また、船底など甲板以外のさび落としは、主として修繕ドック時にサンドブラスト(注1)と呼ばれる施工方法により実施されていますが、粉塵・廃棄物の大量排出が伴います。 2. CoolLaserの海事分野での活用 トヨコーは、2008年以降、陸上構造物での塗装作業を通じたノウハウを元に、レーザーによるクリーニング工法の開発に取り組んできました。 「CoolLaserによるレーザークリーニング工法(注2)」は、鉄骨構造物に付着したさびをレーザーで除去するという技術で、①短時間でさびを落とせる、②塩分を一緒に除去できる、③狭い箇所のさびも除去できる、④粉塵・廃棄物の排出が格段に少ないなどの利点があり、陸上構造物に留まらず、幅広い鋼材腐食のメンテナンスへの応用が期待されています。 CoolLaserの活用により、乗組員の作業効率改善の他、修繕ドック時のコスト削減と環境負荷軽減が期待できます。 3. 今後の展開 CoolLaserの海事分野における事業展開を目指し、レーザー照射が鋼材に与える影響や塗膜の付着試験、安全な施工方法の検証を通して、現場に適した装置、システム、施工方法の開発・改良に取り組み、修繕ドックで実船に対してトライアルを実施する予定です。 当社は、本年3月に発表した新中期経営計画”Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”に基づき、海事業界における安全で効率的なメンテナンスを通じ、企業と社会の持続的な発展と成長を目指します。 (注1)サンドブラスト表面に砂などの研磨材を吹き付ける加工法。 (注2)CoolLaserによるレーザークリーニング工法(特許取得済み)。http://toyokoh.com/coollaser/ <株式会社トヨコー>本社:静岡県富士市代表取締役社長:豊澤 一晃ウェブサイト:http://toyokoh.com/CoolLaserによるレーザークリーニング効果(甲板の鋼材使用)左:クリーニング前 右:クリーニング後乗組員による甲板上のさび落とし作業(現在の様子) 以上 掲載されている情報は、発表日現在のものです。その後、予告なしに変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。