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川崎汽船/19億6200万円の経常黒字化(平成30年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))

決算短信 2023.06.17

平成30年3月期  決算短信〔日本基準〕(連結)

単位・百万円  

       売上高    営業利益   経常利益  当期純利益

30年3月期 1,162,025 12.8   7,219 -    1,962 -   10,384 -

29年3月期 1,030,191 △17.2  △46,037 -  △52,388 -  △139,47

(略)

イ.当期の経営成績

(略)

当期(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)における世界経済は、一部地域における 地政学的緊張の高まりなどがあったものの、全体として堅調に推移しました。平成30年に入り米 国による鉄鋼・アルミニウム関連品への輸入制限、中国製品への追加関税賦課、また、それを受 けた中国による米国からの輸入品目に対する高率関税を課す対抗措置の発表など、世界経済への 影響懸念を残す形となりました。 米国経済は、良好な雇用・所得環境による堅調な個人消費、労働供給の増加による良好な企業 業況により景気の拡大が継続しました。一方、欧州では輸出入は堅調に推移し、堅調な景気拡大 が継続したものの、平成30年に入りユーロ高により拡大傾向に鈍化が見られる結果となりまし た。 中国経済は、輸出は世界経済の回復を背景に拡大し、良好な雇用・所得環境のもと、個人消費 も若干減速気味ながらも安定的に拡大するなど、1年を通して堅調な成長傾向を維持しました。 新興国では、資源価格の上昇を背景とした資源国経済の回復、インド経済の持ち直し、ASEAN諸 国の内需回復などにより、総じて好調に展開しました。 国内では、生産活動が緩やかに回復しており、輸出も堅調に推移しました。また、雇用・所得 環境の改善から国内経済も総じて緩やかな回復を見せました。 一方で海運業を取りまく事業環境は、コンテナ船では1年を通して東西航路での荷況が堅調に 推移し、運賃市況も回復基調にありましたが、需給バランスの本格改善には至りませんでした。 ドライバルク船においては、大型船は中国向け鉄鉱石・原料炭の荷動きの伸長により歴史的低水 準からの回復基調を維持し、中・小型船においても穀物や石炭などの堅調な荷動きを背景に市況 は緩やかな回復を継続しました。当社グループでは、前々期及び前期の2期にわたり競争力強化 への取組みとして行った構造改革の効果に加えて、継続したコスト削減の実施、配船効率化など の収支改善策に取り組んでまいりました。燃料油価格の上昇や円高の進行などマイナス影響もあ りましたが、前期比で業績は改善し、3期振りに営業、経常及び当期の全段階での黒字化を達成 しました。 以上の結果、当期の連結売上高は1兆1,620億25百万円(前期比1,318億33百万円の増加)、営 業利益は72億19百万円(前期は460億37百万円の営業損失)、経常利益は19億62百万円(前期は 523億88百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は103億84百万円(前期は1,394億 78百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

セグメントごとの業績概況は次のとおりです。

(略)

① コンテナ船セグメント

[コンテナ船事業]

当社の当期積高(往航)は、北米航路においては前期比2%の減少、欧州航路は同10%の増加 となりました。アジア航路では前期比3%増加しましたが、南北航路では同8%減少し、往航全 体及び復航も含めた年間総積高は前期並みとなりました。平成29年度通期の運賃市況は、需給バ ランスの本格改善とはならなかったものの、回復基調にあり、当初の想定は下回ったものの前期 実績を上回りました。その結果、前期比で増収となり、また邦船3社によるコンテナ船統合会社 の設立費用を計上したものの、前期比で損失は縮小しました。

[物流事業]

国内における物流需要は、陸送と倉庫・通関事業を中心に堅調に推移し、増収増益となりまし た。国際物流においては、航空機部品及び半導体等を中心とした日本発着航空貨物の取扱量増 加、地域に根差したサービスや、バイヤーズコンソリデーションの拡大により、前期比で収益は 拡大しました。その結果、物流事業全体では前期比で大幅に増収増益となりました。 以上の結果、コンテナ船セグメント全体では、前期比で増収となり黒字に転換しました。

② 不定期専用船セグメント

[ドライバルク事業]

大型船市況は、既発注の新造船供給圧力が残るなか、中国向け鉄鉱石・原料炭の荷動きの伸長 に伴い、季節的要因も相まって主要5航路平均レートが日額3万ドル台と高騰する場面も見られ るなど、振れ幅はあったものの総じて改善基調で推移しました。中・小型船市況についても、旺 盛な石炭・穀物需要に加え、それ以外のマイナーバルクの荷動きもあり、緩やかな上昇基調を維 持しました。解撤量が前年比で大きく減少したことで船腹調整の動きは鈍化し、輸送需要が供給の伸びを上回った結果、需給ギャップは縮小方向に向かいました。当社グループでは、運航コス トの削減や効率的配船に努めた結果、前期比で増収となり黒字に転換しました。

[自動車船事業]

当期の完成車荷動きは、アジア出し中近東・中南米・アフリカなどの資源国向け貨物が引き続 き低調に推移したものの、欧州出し北米向けや欧州域内貨物の積み取りが好調に推移した結果、 当社グループの総輸送台数は前期比で約14.6%の増加となりました。当社グループでは輸送台数 の増加を図る一方で配船及び運航効率の改善に継続的に取り組み、前期比で増収増益となりまし た。

[エネルギー資源輸送事業(液化天然ガス輸送船事業・油槽船事業・電力炭船事業)]

LNG船、大型原油船、LPG船、電力炭船ともに、中長期の期間傭船契約のもとで順調に稼働しま したが、一部市況の影響を受ける契約については軟化したマーケットの影響を受け、エネルギー 資源輸送事業全体では、前期比で減収減益となりました。

[近海・内航事業]

近海・内航事業では、近海部門においては、貨物量の落ち込みが見られたものの運賃は回復傾 向にあり、内航部門については、貨物量が堅調に推移し、それぞれ収支は改善しました。その結 果、近海・内航事業全体では、前期比で増収増益となりました。 以上の結果、不定期専用船セグメント全体では、前期比で増収となり黒字に転換しました。

(略)

③ 海洋資源開発及び重量物船セグメント

[海洋資源開発事業(エネルギー関連開発事業・オフショア支援船事業]

ドリルシップ(海洋掘削船)は順調に稼働し、長期安定収益の確保に貢献しましたが、オフシ ョア支援船事業においては、海洋資源開発の停滞により軟調な市況が継続しました。海洋資源開 発事業全体では、前期比で減収となりましたが、為替の影響もあり損失は縮小しました。

[重量物船事業]

当社は平成29年7月に公表しました「連結子会社の異動を伴う出資持分譲渡に関するお知ら せ」に記載のとおり、当該事業を担うSAL Heavy Lift GmbHの全出資持分につきましてSALTO Holding GmbH & Co. KGに譲渡いたしました。 以上の結果、海洋資源開発及び重量物船セグメント全体では、前期比で減収となりましたが、 損失は大幅に縮小しました。

④ その他

その他には、船舶管理業、旅行代理店業、不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期の業績 は前期比で減収増益となりました。

ロ.今後の見通し

次期の業績につきましては、売上高7,545億円、営業利益50億円、経常利益50億円、親会社株主 に帰属する当期純利益70億円を見込んでいます。

(略)

邦船3社によるコンテナ船統合会社OCEAN NETWORK EXPRESSは、当初の予定通り平成30年4月か らサービスを開始しました。船社間の統合が進むなか、事業環境の推移には注意が必要と考えま すが、統合に伴う規模を背景としたシナジー効果による競争力強化、3社のベストプラクティス 採用によるサービス品質向上により、収支改善を計画しています。 物流事業においては、国内における物流需要は、陸送と倉庫事業等を中心に引き続き堅調に推 移し、安定的な収益を確保する見込みです。国際物流においては、航空機部品及び半導体等を中 心とした航空貨物の取扱量は堅調に推移すると見込んでいます。各国地域に根差した物流事業の 展開と共に、当社が長年築き上げてきたコンテナ船事業のネットワークを継承することでグルー プとしての総合的な物流サービスへの取組みを強化し、利益の最大化を図ります。 ドライバルク事業では、海上輸送需要の伸びは前年度並みの水準を維持すると見込まれるな か、新造船竣工量は限定的となり船腹供給圧力が弱まることから、需給バランスは緩やかに回復 の方向に向かう見通しです。しかしながら、中国の環境規制強化による鉄鋼減産の影響、米国の 鉄鋼輸入制限に端を発する貿易摩擦懸念等の不安定要素も存在し、市況の変動が大きくなる場面 も予想されます。当社グループでは引き続き運航効率の改善とコスト削減等の収支改善策に取り 組むと共に、強みを生かした中長期契約の拡充を図る事で、安定収益拡充に努めます。 自動車船事業では、資源国、新興国及び中東を主とした産油国経済の先行きに不透明感は依然 としてあるものの、完成車の全世界海上輸送需要は世界の自動車販売の増加と歩調を合わせる形 で中長期的には堅調に推移するものと予想します。他方、自動車メーカー各社の生産拠点が、 「地産地消」「適地量産」「適地適産」の流れにEV化の動きが加わる中で商流は多様化しつつあ り、トレード構造の変化や複雑化に今後タイムリーかつ柔軟に対応して船隊整備を適切に進める ことが重要であり、平成30年度も新規にメキシコ-中南米サービスを開始するなど航路ネットワー クを拡充し、事業基盤の強化に取り組んでいます。重建機類・鉄道車両などの積載能力が高く省 燃費性能を備えた次世代大型船を最大限に活用して、収益基盤の拡充に努めます。運航効率の更 なる改善と共に船舶経費・運航経費の低減にも引き続き鋭意取り組んでまいります。 エネルギー資源輸送事業においては、LNG船、大型原油船、LPG船、電力炭船ともに、中長期の 傭船契約のもとで安定収益の確保に努めます。 近海・内航事業のうち、近海事業では営業活動範囲拡大による新規貨物の取込みや、効率的配 船などにより更なる収支改善を図ってまいります。内航事業では、新規貨物獲得や貨客輸送量の 増加を図り事業の拡大に努めます。 海洋資源開発事業の市況回復には今しばらく時間を要する見込みですが、引き続きコスト削減 等により収支の改善に努めます。 当社の経営方針については、本日発表の決算説明会資料または平成30年6月21日提出予定の有 価証券報告書をご参照ください。

(略)

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