商船三井/473億8000万円の純損失を計上(平成30年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)) 決算短信 2023.06.17 平成30年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 単位・百万円 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 30年3月期 1,652,393 9.8 22,684 786.7 31,473 23.8 △47,380 - 29年3月期 1,504,373 △12.1 2,558 10.1 25,426 △29.9 5,257 - (注)包括利益 30年3月期 △52,268百万円 (-%) 29年3月期 41,952百万円 (-%) (略) ①当期の経営成績 (略) 当期における世界経済は、昨年から引き続き世界全体で安定的に拡大する傾向となりました。米国経済は、良好な 雇用・所得環境を背景に個人消費は回復が継続し、企業部門でも生産や輸出の回復が続き、拡大傾向を維持しまし た。欧州経済は、雇用環境の改善を背景に個人消費は底堅く、緩やかな回復が持続しました。中国経済は、良好な雇 用・所得環境を受けて個人消費は安定的に拡大し、輸出も世界経済の回復を背景に拡大し、堅調に推移しました。わ が国では、良好な雇用・所得環境が継続し個人消費は緩やかな回復を続け、企業部門では国内外の需要回復により、 景気回復が継続しました。 海運市況のうち、ドライバルク船市況は、鉱石の荷動きが旺盛になり、南米東岸積穀物貨や、主要貨物である石炭 の荷動きも概して好調だったため、全体的に前年度より大幅に上昇した水準で堅調に推移しました。原油船市況は、 船腹供給が増加する中、老齢船撤退の進捗が遅かったことよる船腹過剰感や、OPEC加盟国減産の浸透等を背景に、冬 場の需要期に市況が盛り上がらず、通期全体でも前年度の水準を下回りました。コンテナ船については、北米、欧 州、南米の各航路において需給環境の改善を背景にスポット運賃市況の回復が見られました。特に南米東岸航路は、 ブラジル経済の底打ちにより荷動きが急回復し、スポット運賃が春先から急上昇するなど年度を通じて好調に推移し ました。 当期の対ドル平均為替レートは、前期比2.51/US$円安の111.08/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格 平均は、前期比US$70/MT上昇しUS$354/MTとなりました。 尚、コンテナ船事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)設立に伴い、次年度以降に同社への貸船に関 わる損失や当社代理店の整理損失等の発生が見込まれるため、これらの損失の引当を大宗として事業再編関連損失を 計上しました。 以上の結果、当期の業績につきましては、売上高1兆6,523億円、営業損益226億円、経常損益314億円といずれも 前期を上回ったものの、親会社株主に帰属する当期純損益は△473億円となりました。 セグメント毎の売上高及びセグメント損益(経常損益)、それらの対前期比較及び概況は以下の通りです。 (略) (A) ドライバルク船事業 ケープサイズ市況は、上半期については東豪州で発生したサイクロンの影響長期化等により下落が続きましたが、 夏場からブラジル積レート反発に伴い上昇し、11月以降は鉱石の荷動きが旺盛となり更に上昇、12月半ばに約4年ぶ りに30千ドル/日を記録する等、堅調に推移しました。パナマックス市況は、4月中旬に12千ドル台/日まで上昇して 以降6月中旬にかけて低迷し、6月中旬以降は上昇と下落を繰り返していましたが、7月下旬以降は南米東岸積穀物 貨や主要貨物である石炭の荷動きが概して好調であったため、需給が締まり堅調に推移しました。ハンディマックス 船型以下も、ドライバルク市況の全体的な底上げを受けトレードの荷動きも活性化・需給改善し、滞船・天候事由に よる船腹緊急手配も多く、堅調に推移しました。 このような市況環境の中、従前に取り組んだ構造改革の継続的な効果、コスト削減により前年度を上回る利益を確 保しました。 (B) エネルギー輸送事業 <油送船> 原油船市況は、新造船が着々と竣工する一方で老齢船撤退の進捗が遅かったことによる船腹過剰感やOPEC加盟国減 産の浸透等を背景に、冬場の需要期に市況が盛り上がらず、通期全体でも前年度の水準を下回りました。石油製品船 市況は、夏場に米国を直撃したハリケーンの影響による一時的な高騰はあったものの、東西の荷動きの低迷や新造船 の供給圧力増により低調に推移し、また冬場には米国・欧州が寒波に見舞われたものの市況高騰の影響は限定的であ り、前年度に比べ全体的に低調に推移しました。LPG船市況も、上半期はLPG価格の地域差の縮小により、米国からア ジア向けの裁定取引が縮小して下落傾向となりました。一方、秋口から冬場にかけては、需給バランスの変動により 一時的な上下を繰り返しつつも、主に米国からの堅調なLPG出荷を背景に上昇基調となり、通期全体では前年度と概 ね同水準で推移しました。 このような事業環境下において油送船部門は、定期傭船契約等の長期契約の安定的な履行や確実な契約延長の実 施、更にはプール運航による運航効率の改善やコスト削減にも継続して努めた結果、前期比で減益となったものの、 通期黒字を計上しました。 <LNG船・海洋事業> LNG船部門は、長期契約からの安定的な収益を享受し黒字を確保しました。期中には、世界初の砕氷LNG船プロジェ クト向け第1船を含む5隻が竣工しました。海洋事業部門においても、既存プロジェクトに加えFPSO 1隻、FSRU 1 隻の期中稼働があり、前年度に続き安定的に黒字を計上しました。 (C) 製品輸送事業 <コンテナ船> 北米航路のスポット運賃は、第1四半期は伸び悩んだものの、今年度も荷動きが過去最高のペースで推移し、夏場 に上昇しました。冬場は供給圧力が目立ち弱含みましたが2月の旧正月前の繁忙時に再び上向きました。欧州航路 は、荷動き量の大幅な回復があったにもかかわらず各社大型船就航により上昇を抑えられ、スポット運賃は1年を通 じて比較的安定して推移しました。また、アジア向け復航の貨物量増加が目立ちました。南米東岸航路はブラジル経 済の底打ちにより荷動きが急回復し、スポット運賃が春先から急上昇、時に大きく跳ね上がり損益改善に大きく貢献 しました。大型船投入によるスペース増加を生かすべく、春先に精力的に年間契約貨物を確保したことから、夏場以 降の上昇したスポット運賃による利益享受は限定されました。尚、昨年7月に設立しましたコンテナ船事業統合会社 (OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)の設立関連費用を持分法投資損失として計上しておりますが、コンテナ船事 業全体では、大型船投入によるスロットコスト低減と、従来からのコスト削減の効果もあり、前期比で損失は縮小し ました。 <自動車船> 完成車の荷動きは、北米・アジア・オセアニア向けが引き続き堅調に推移しましたが、資源国向けは資源価格の低 迷を背景に本格的な回復の兆しは見られませんでした。減船やトレードパターンの変化に対応した運航効率改善の取 り組みを継続し、前年度を上回る黒字を計上しました。 <フェリー・内航RORO船> フェリー・内航RORO船については、トラックドライバーの不足や高齢化、労務管理の強化を背景としたモーダルシ フトの流れは更に加速し、荷動きは堅調に推移しました。当社グループは堅調な荷動きなどビジネスの流れを堅実に 掴んだだけではなく、旅客においてもカジュアルクルーズをコンセプトとしたプロモーション活動が奏功し、瀬戸内 海航路・南九州航路を中心に堅調に推移しました。しかしながら、新造船の竣工遅延や燃料油価格の上昇等により、 フェリー・内航RORO船事業全体では前期比で減益となりました。 (D) 関連事業 客船事業は、にっぽん丸は好調な集客を続けたものの、台風によるクルーズ催行中止等の影響により、前期比で減 益となりました。不動産事業は、首都圏を中心に堅調な賃貸オフィスマーケットに支えられ、当社グループの不動産 事業の中核であるダイビル(株)の売上が増加したこと等により、前期比で増益となりました。その他の曳船や商社等 の業績も総じて堅調に推移し、関連事業セグメント全体は前期比で増益となりました。 (E) その他 主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業、造船業などがあります が、前期比では増益となりました。 ②今後の見通し (略) 次期における世界経済は、拡大傾向が持続し堅調に推移すると予想しておりますが、米国や欧州の金融政策や、 米国を中心とした貿易摩擦の動向、東アジアにおける地政学的リスクにも注視していく必要があると認識しており ます。先進国では、税制改革と財政刺激策により経済成長する米国を中心として、堅調に景気回復が継続すると想 定しております。新興国経済は、中国の経済成長のペースが徐々に緩やかになることを想定しておりますが、イン ドとASEANが引き続き堅調な成長を維持し、経済は安定的に拡大すると見込んでおります。ドライバルク船市況は、 船腹供給が比較的少なく、中国の堅調な鉄鉱石需要による荷動きの増加と、南米出し穀物の増加等を背景とする一 定の船腹需要に支えられ、当期を上回る水準で推移すると見込んでおります。原油船市況は、OPECによる原油減産 延長に伴い中東からの原油出荷量は横ばいが見込まれるものの、北米産シェールオイル等の大西洋産原油の輸出増 が原油需要の伸びを賄うと見込まれることから、海上原油荷動き全体では小幅ながら増加することが予想され、ま た、船腹供給サイドでは、昨年度と同程度の高水準の新造船竣工数が見込まれると同時に、堅調な解撤価格を背景 とした高齢船の解撤数が高い水準で推移していることを勘案すると、原油船市況は中期的には調整局面が続くと予 想しております。石油製品船市況は、インドや中国等における石油製品の輸出増加傾向は続き、新興国における石 油製品の需要増加によるトレードの活発化が期待できるものの、新造船の竣工は継続し、解撤隻数の急激な伸びは 見込めないため、弱含みとなる局面もあると想定しております。尚、コンテナ船については、川崎汽船株式会社及 び日本郵船株式会社とのコンテナ船事業統合会社(OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)に事業を継承します。同社 は本年4月よりサービスを開始しました。当社ならびに川崎汽船・日本郵船の各社コンテナ船事業でこれまで培わ れてきたベストプラクティスを融合させ、また統合による事業のスケールメリットを活かし、収益力強化に取り組 んでおります。 かかる見通しのもと、通期の連結業績見通しにつきましては、売上高1兆1,300億円、営業損益230億円、経常損 益400億円、親会社株主に帰属する当期純損益300億円を予想しております。 (略)