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ヤマトホールディングス/売上高は前年比4・8%増、経常利益は前年比44・4%減(平成30年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結))

決算短信 2023.06.17

平成30年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

単位・百万円  

           売上高   営業利益    経常利益   当期純利益

30年3月期第3四半期 1,171,775 4.8  32,131 △44.7  32,378 △44.4  17,429 △51.2

29年3月期第3四半期 1,118,143 3.1  58,063 △6.5   58,263 △7.7  35,719 △6.3

(注)包括利益 30年3月期第3四半期  24,549百万円 (△31.2%) 29年3月期第3四半期  35,676百万円 (△4.8%)

(略)

(1)経営成績に関する説明  

当第3四半期における経済環境は、企業業績は底堅さを維持し緩やかな回復基調が続いているものの、海外政治情 勢による影響など、引き続き、先行きは不透明な状況にあります。また、消費スタイルの急速な変化に伴うEC市場 の拡大等による小口貨物の増加基調に加え、国内労働需給の逼迫など、物流業界は厳しい経営環境が継続していま す。  このような状況下、ヤマトグループは高品質なサービスを提供し続けるため、「働き方改革」を経営の中心に据 え、「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長してい くためのグループ経営構造改革」の3つの改革を柱とした中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」を策定し、ヤ マトグループが持続的に成長していくための経営基盤の強化に注力しました。  デリバリー事業においては、「社員の労働環境の改善と整備」、「宅急便の総量コントロール」、「宅急便ネット ワーク全体の最適化」、「ラストワンマイルネットワークの強化による効率向上」、「宅急便の基本運賃と各サービ ス規格の改定」を内容とする「デリバリー事業の構造改革」を推進しました。大口の法人のお客様に対し、出荷調整 や再配達削減などを要請するとともに、法人のお客様に対し、運賃の見直し交渉を進め、既に多くのお客様にご理解 とご協力をいただいております。なお、交渉途上にある法人のお客様とは交渉を継続しています。その結果、当第3 四半期は、宅急便取扱数量が減少に転じ、プライシングの適正化により宅急便単価が上昇し始めるなど、「働き方改 革」の推進などにより費用が増加する中で、業績は回復基調となりました。  ノンデリバリー事業においては、グループ各社の強みを活かした既存サービスの拡充に取り組むとともに、グルー プ横断的に連携してお客様の課題解決に当たるソリューション営業を積極的に推進し、業績は堅調に推移しました。

(略)

<ヤマトグループ全体としての取組み>

① ヤマトグループは、グループの原点である「全員経営」を実践するため、「働き方改革」を最優先課題とし、 ヤマト運輸株式会社の「働き方改革室」、グループ各社の「働き方創造委員会」を中心に、社員がより「働き やすさ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備に全社一丸で取り組んでいます。また、各 事業が一体となって付加価値の高い事業モデルを創出し、日本経済の成長戦略と、国際競争力の強化に貢献す る「バリュー・ネットワーキング」構想を推進するとともに、事業の創出・成長の基盤となる健全な企業風土 の醸成に取り組んでいます。

② 健全な企業風土の醸成に向けて、引き続き輸送体制の整備やITによる業務量の見える化など、業務の効率 性・信頼性を向上させる施策を推進するとともに、環境施策や安全施策、地域社会の活性化に向けた取組みな ど、ヤマトグループの事業活動に結びついたCSR活動を積極的に推進しています。

③ 「バリュー・ネットワーキング」構想の更なる進化に向け、ヤマトグループのネットワークを活かした高付加 価値モデルの創出に取り組んでいます。国内外のお客様の様々なニーズに対応するために、既存のラストワン マイルネットワークに加え、「羽田クロノゲート」、「厚木ゲートウェイ」、「中部ゲートウェイ」、「沖縄 国際物流ハブ」、11月に稼働を開始した「関西ゲートウェイ」といった革新的なネットワーク基盤を、より効 果的に活用していきます。

④ 海外市場に対しては、クロスボーダー物流の拡大に対応すべく、日本・東アジア・東南アジア・欧州・米州の 5極間の連携と各地域の機能強化に取り組んでいます。当期はフランス国内最大手のエクスプレス事業者と日 仏間のクロスボーダー小口保冷輸送ビジネスの拡大と両社が持つ小口保冷輸送に関するノウハウを共有するク ロスライセンスを含む包括的なパートナーシップ契約を締結したほか、9月にクール宅急便の取扱いを開始し たベトナムを含め、ヤマトグループ7社が小口保冷配送サービスに関する国際規格の認証を取得するなど、 コールドチェーンを核として、高付加価値なクロスボーダー・ネットワークの構築を推進しています。

⑤ EC市場を中心としたお客様の利便性向上を図るべく、駅やコンビニエンスストアなどを中心にオープン型宅 配便ロッカーネットワークの構築を積極的に推進するなど、手軽に荷物を受け取れる環境の整備に取り組むと ともに、自動運転技術を活用したオンデマンド配送サービス等を提供する「ロボネコヤマト」プロジェクトの 実用実験を引き続き実施するなど、次世代物流サービスの開発に取り組むとともに、大量輸送が可能な日本初 の新規格の長大連結トレーラを導入するなど、輸送効率化に向けた先端技術の活用も加速させています。ま た、当第3四半期においては、日本初の三辺自動梱包機を厚木ゲートウェイに導入するなど、今後深刻化する 労働力不足などの社会的課題や、益々拡大するEC市場に対応するため、物流全体におけるデジタル化、自動 化に取り組んでいます。

<事業フォーメーション別の概況>

○デリバリー事業

(略)

① デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便 を中心とした事業の展開に取り組んでいます。

② 消費スタイルの急速な変化に伴うEC市場の拡大等による小口貨物の増加基調に加え、国内労働需給の逼迫な ど厳しい事業環境が継続している中、「社員の労働環境の改善と整備」、「宅急便の総量コントロール」、 「宅急便ネットワーク全体の最適化」、「ラストワンマイルネットワークの強化による効率向上」、「宅急便 の基本運賃と各サービス規格の改定」を内容とする「デリバリー事業の構造改革」を推進しました。「社員の 労働環境の改善と整備」においては、社員の昼休憩の確保や長時間労働防止に向け、宅急便受付締切り時間を 繰り上げ、宅急便の配達時間帯の指定区分を従来の6区分から5区分に変更しました。当第3四半期において は、10月に宅急便の基本運賃を改定しました。また、大口の法人のお客様に対し、出荷調整や再配達削減など を要請するとともに、法人のお客様に対する運賃の見直し交渉を進め、既に多くのお客様にご理解とご協力を いただいております。なお、交渉途上にある法人のお客様とは交渉を継続しています。

③ 成長が見込まれるEC市場に対しては、小さな荷物をリーズナブルな料金で手軽に送ることができる「宅急便 コンパクト」、「ネコポス」の拡販を進めるとともに、複数のフリマサイトと連携し、発送窓口拡大を推進し ています。当第3四半期においては、EC事業者様向けにオープンプラットフォームを提供する事業者と連携 し、お客様が商品を購入した場合に、受け取り場所としてヤマト運輸株式会社の営業所やコンビニエンススト ア、オープン型宅配便ロッカー(PUDO)を指定できる環境を提供するなど、お客様の利便性向上に取り組 みました。

④ 法人のお客様については、お客様の経営課題を的確に把握し、その課題に沿ったソリューション提案を積極的 に推進しています。また、グループの経営資源を活用した付加価値の高い提案を行い、収益性の向上に取り組 んでいます。当第3四半期においては、クラウド上でご利用いただける新たな送り状発行サービス「B2クラ ウド」のご利用を推進しました。また、EC事業者様のビジネスを支援するため、法人向け会員制サービス 「ヤマトビジネスメンバーズ」を通じて、荷物の発送や受け取りを便利にするAPIを公開するなど、新たな サービスの提供に取り組みました。

⑤ 地域活性化に向けた事業としては、複数の自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者見守りなど、 住民へのサービス向上に取り組みました。また、農水産物をはじめとする生鮮品の鮮度を保ったままスピー ディーにアジア圏へ配送することで、地域産品の販売拡大を支援するなど、地元産業の活性化につながる取組 みを推進しました。

⑥ 営業収益は、当第3四半期においては、宅急便取扱数量が伸率△4.5%と減少したものの、プライシングの適 正化により宅急便単価が上昇し増収となりました。その結果、当第3四半期連結累計期間では9,217億92百万 円となり、前年同期に比べ3.9%増加しました。」

⑦ 営業利益は、当第3四半期においては、「働き方改革」の推進などにより費用が増加する中で、回復基調とな りました。その結果、当第3四半期連結累計期間では96億96百万円となりましたが、前年同期に比べ73.2%減 少しました。

○BIZ-ロジ事業

① BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・ リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物 流システムを提供しています。

② EC業界等に向けたサービスとしては、お客様のご要望に応じて、受発注処理から在庫の可視化、スピード出 荷などの多様な物流支援サービスをワンストップで提供しています。当第3四半期においては、既存サービス の取扱いが増加したことなどにより、収益が好調に推移しました。

③ メディカル事業者様に向けたサービスとしては、医療機器のローナー支援(保管・洗浄・配送)をはじめとす る、物流改革の支援サービスを展開しています。当第3四半期においては、新たに獲得したお客様のご利用が 拡大するなど、収益は堅調に推移しました。

④ 営業収益は、EC事業者様向けの既存サービスが好調であったことなどにより894億79百万円となり、前年同 期に比べ13.6%増加しました。利益面では、海外引越しなどの一部サービスで委託コストが増加したことなど により30億57百万円となり、前年同期に比べ6.5%減少しました。

○ホームコンビニエンス事業

① ホームコンビニエンス事業は、お客様の便利で快適な生活の実現に向けて、ヤマトグループの全国ネットワー クを活用し、生涯生活支援事業や法人活動支援事業に取り組んでいます。

② 個人のお客様に向けては、大型家具・家電の配送サービス「らくらく家財宅急便」や引越関連サービス、「イ エナカ」での日常のお困りごとを解消する「快適生活サポートサービス」など、日々の生活を支援するサービ スを展開しています。当第3四半期においては、引き続き、フリマアプリと連携し、大型荷物を簡単に送れる 新たな配送サービスを提供する「らくらく家財宅急便」の取扱い拡大に取り組むとともに、年末の需要期に向 け「快適生活サポートサービス」の拡販を積極的に推進しました。

③ 法人のお客様に向けては、ヤマトグループと工事会社のネットワークを融合し、住宅設備などの配送・設置か ら工事・保守までをワンストップで提供する「テクニカルネットワーク事業」をはじめとする事業支援サービ スを展開しています。当第3四半期においては、オフィス移転案件などの獲得に着実に取り組みました。

④ 営業収益は、「らくらく家財宅急便」や、「快適生活サポートサービス」の取扱いが好調に推移したことに加 え、スポット案件の獲得などにより353億44百万円となり、前年同期に比べ2.4%増加しました。利益面では、 前年同期に比べ1億63百万円改善しましたが、3億円の営業損失となりました。

○e-ビジネス事業

① e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、 決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に行っています。また、グループの 事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進してい ます。

② 商品の受注・出荷業務を支援するサービスとしては、出荷情報の処理や伝票印字、荷物追跡などの業務を包括 的にサポートする「Web出荷コントロールサービス」を提供しています。当第3四半期においては、EC市場 の成長などを背景に、既存大口のお客様を中心にサービスのご利用が拡大しました。

③ 営業活動で主にパンフレット・カタログ等の販促品を使用するお客様に向けては、販促品の受発注システムや 倉庫保管・管理・配送等の物流、印刷をトータルで提供する「e-オンデマンドソリューション事業」を展開 しています。当第3四半期においては、新たに獲得したお客様や既存のお客様のご利用が拡大しました。

④ 営業収益は、「Web出荷コントロールサービス」の取扱い拡大や、「e-オンデマンドソリューション事業」 において、お客様のご利用が拡大したことなどにより351億68百万円となり、前年同期に比べ4.1%増加しまし た。営業利益は83億82百万円となり、前年同期に比べ15.1%増加しました。

○フィナンシャル事業

① フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済、および車両のリースなど、お客様の様々なニー ズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。

② 決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス「ク ロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進していま す。当第3四半期においては、「クロネコwebコレクト」、「クロネコ代金後払いサービス」のご利用を促進 し、お客様に幅広い決済サービスを提供するとともに、収益性の向上に取り組みました。また、お客様のコス ト削減や業務効率化、利便性向上を目的に、各種決済サービスの精算業務の一本化を推進しました。

③ リース事業では、トラックを中心としたファイナンス・リースや割賦販売が順調に推移するとともに、車両の 紹介や売却サポートなどの周辺業務を展開し、車両に関するトータルソリューション提案を推進しました。

④ 営業収益は、代引き市場の縮小などにより、主力である「宅急便コレクト」の取扱いが減少したものの、リー ス事業などが好調に推移したことにより625億46百万円となり、前年同期に比べ7.8%増加しました。営業利益 は63億26百万円となり、前年同期に比べ1.4%増加しました。

○オートワークス事業

① オートワークス事業は、物流・流通事業者様へ「車両整備における利便性の向上」、「整備費用の削減」とい う価値を提供するため、「24時間365日営業・お客様の稼働を止めないサービス」を展開しています。さら に、「物流施設、設備機器の維持保全や職場環境改善」や、これらの資産を対象に「お客様のリスクマネジメ ントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の事業運営に係るワンストップサービス を実現しています。

② 当第3四半期においては、定期的にお客様のもとへ訪問する「リペアワークス」の営業を積極的に行うなど、 取扱いの拡大に向け取り組みました。

③ 営業収益は、車両機器の販売などが伸び悩んだことにより184億72百万円となり、前年同期に比べ0.5%減少し ました。営業利益は35億18百万円となり、前年同期に比べ24.6%増加しました。

○その他

① 「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客 様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当第3四半期においては、既存の サービスが好調であったことにより、ご利用が着実に拡大しました。

② 営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて18億30百万円 となり、前年同期に比べ6.0%増加しました。

<CSRの取組み>

① ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しています。当第3四半期に おいては、ヤマト運輸株式会社が「第7回全国安全大会」を開催し、プロドライバーとしての安全運転のレベ ルアップと全社の安全意識や運転技術の向上に取り組みました。また、子どもたちに交通安全の大切さを伝え る「こども交通安全教室」を1998年より継続して全国の保育所・幼稚園・小学校などで開催しており、累計参 加人数は約300万人となりました。

② ヤマトグループは、環境保護活動を「ネコロジー」と総称し、環境に優しい物流の仕組みづくりに取り組んで います。また、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を2005年よ り継続して全国各地で開催しており、累計参加人数は約24万人となりました。

③ ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主 的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パンの製造・販売を 営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必 要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っていま す。

④ ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティン グ・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当第3四半期 においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域におけるバス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生 活サービス向上を目的とする「客貨混載」を、岩手県、宮崎県、北海道、熊本県、兵庫県、長野県、和歌山 県、徳島県で推進するとともに、岐阜県の鉄道会社と連携して鉄道を活用した実証実験も開始しました。ま た、神奈川県藤沢市のFujisawa SST(Fujisawa サスティナブル・スマートタウン)内に開業した、一括配送 など街の物流インフラを担う「Next Delivery SQUARE(ネクストデリバリースクエア)」においては、引き続 き物流効率化や次世代物流サービスの実現に向けた取組みを推進しています。さらに、全国各地で高齢者の見 守り支援や観光支援、産物の販路拡大支援など、ヤマトグループの経営資源を活用した地域活性化や課題解決 に取り組み、行政と連携した案件数の累計は2,041件となりました。

⑤ ヤマトグループは、社会的インフラとしてお客様をはじめ社会の信頼に応えていくために、コンプライアンス 経営を推進し、労働時間管理ルールの見直しや社員の新しい働き方を創造するなど、社員が「働きやすさ」と 「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備を進め、「働き方改革」に全社を挙げて取り組んでい ます。

(略)

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