奥村組/除染土のうの輸送統合管理システム「インフォクロス」に新機能追加 物流システム 2023.06.17 除染土のうの輸送統合管理システム「インフォクロス」に新機能追加~VR技術を活用した運転手教育機能と事例データベース活用機能~ 株式会社奥村組は、膨大な数の除染土のう(除染で取り除いた土や放射性物質に汚染された廃棄物を保管した大型土のう袋)を指定の中間貯蔵施設へ安全かつ高効率に輸送するために開発した輸送統合管理システム「インフォクロス(商標登録第5889869号)」に、「VR技術を活用した運転手教育機能」および「事例データベース活用機能」を新たに追加して、試験運用を開始しました。 【背 景】当社は、広範囲に点在する膨大な量の除染土のうを中間貯蔵施設に安全に効率よく輸送する目的で、平成27年に輸送統合管理システム「インフォクロス」を開発し、その運用を開始しています。今後、中間貯蔵施設への除染土のうの輸送が本格化するに伴い、輸送車両数の大幅な増加が見込まれることから、輸送に関する安全対策の拡充が求められています。 【本システムの概要・特長】インフォクロスは、除染土のう、運搬車両、作業者等の位置や数、放射線量といった各種情報を漏れなくリアルタイムに取得・集約して情報の一元化を図り、これらの情報を迅速かつ適切に処理することにより、輸送に関する日常管理業務の効率化を実現するとともに、各運行ルートの交通状況の変化等を加味した最適な輸送順序と運行ルートを選定することができるシステム(図1)で、これに今回、「VR技術を活用した運転手教育機能」および「事例データベース活用機能」を新たに追加しました。新機能の特長は以下のとおりです。 1)VR技術を活用した運転手教育機能 インフォクロスに取り込んだ運行ルート周辺の映像情報と教育カリキュラムをベースに、運転手が仮想現実(VR:バーチャルリアリティ)空間において、未経験ルートの運行や実体験が許されない重大事故などを体験学習できます。また、運転手個々の学習効果や特性を把握・分析して教育カリキュラムに反映させることができるため、個人の特性に応じた効果的な教育が可能となります(図2、写真1)。 2)事例データベース活用機能 当社における過去のトラブル対応事例や、環境省のHPに公表されている中間貯蔵事業に関する車両運行上のトラブル対応事例※1をデータベース化し、天候や運行ルート、渋滞などの情報と連携させることで、輸送の安全管理に必要となる情報を自動的に抽出することができます。抽出した情報を、管理者や各運転手および作業員等に適切なタイミングで提示することにより、車両運行に係るトラブルの未然防止が期待できます(図3)。 今後、試験運用を通じて本システムの機能向上を図るとともに、発注者に積極的に提案し、展開していくことで被災地の復興に貢献していきます。 ※1 環境省HP 中間貯蔵施設情報サイト 中間貯蔵施設環境安全委員会 資料より 以 上 【お問い合わせ先】株式会社奥村組土木本部土木部 環境技術室大塚Tel. 03-5427-8208 図1 輸送統合管理システムの概要 図2 VR技術を活用した運転手教育機能の概要 写真1 VR技術を活用した輸送ルート確認演習の様子 図3 事例データベース活用機能の概要