国際協力機構/インドネシア向け円借款貸付契約に調印、物流機能強化のための港湾整備と産学連携施設の整備を支援 物流全般 2023.06.17 インドネシア向け円借款貸付契約の調印:物流機能強化のための港湾整備と産学連携施設の整備を支援 2017年11月15日 署名式の様子 国際協力機構(JICA)は、11月15日、インドネシア共和国の首都ジャカルタにて、同国政府との間で、2事業、総額1,272億1,500万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印しました。 近年のインドネシア経済は、国内消費及び民間投資が牽引し、安定的な成長を維持してきました。主要輸出品の天然資源価格の低下や国際経済環境の悪化等により2013年以降減速した実質GDP成長率もここにきて回復してきましたが、今後インドネシアが更なる経済成長を実現するにあたっては、企業による投資の妨げとなっているインフラ整備の遅れ、非効率な物流、産業人材の不足といった課題を解消し、投資環境を改善していくことが不可欠となっています。 このような状況のもと、今回調印した円借款契約が対象とする事業は、インドネシア政府「国家中期開発計画(RPJMN)2015-2019」でも重要視している物流機能の拡充と連結性強化に資する国際港湾の整備、高等教育機関の強化を支援する以下の2件です。 (1)パティンバン港開発事業(第一期)(借款金額:1,189億600万円)(2)ガジャマダ大学産学連携施設整備事業(借款金額:83億900万円) 上記のうち、(1)パティンバン港開発事業はインドネシアの「国家戦略プロジェクト」の一つに指定され、2016年5月の伊勢志摩サミットアウトリーチ会合での日本・インドネシア首脳懇談において両国の象徴的事業として協力することが合意されました。 詳細は以下の通りです。 (1)パティンバン港開発事業(第一期)Patimban Port Development Project (I) (a)事業の目的及び概要本事業は、ジャカルタ首都圏東部パティンバンに新港(コンテナターミナル、カーターミナル等)を建設することにより、首都圏の物流機能強化を図り、もってインドネシアの投資環境改善を通じた更なる経済成長に寄与するものです。 (b)事業の背景と必要性1万7千を超える島から構成されるインドネシアでは、国際・国内輸送双方において海運が主要な輸送手段ですが、経済成長に伴い、2000年代半ばより国全体の取扱い貨物量が急増しています。今後、港湾の絶対的な容量不足のため、港湾の混雑による物流の停滞が懸念されており、とりわけジャカルタ首都圏においては、既存港(タンジュンプリオク港)のみでは2025年にはコンテナ需要に対応できなくなると予想されています。 本事業を通じて首都圏東部(郊外)に新港を建設することで、同地域に製造拠点を有する日本企業のビジネス環境の改善に寄与します。また、現状では既存港に一極集中している貨物物流の分散が図られることで、既存港までのアクセス道路の渋滞が緩和され、首都圏全体の物流の効率化に寄与することが期待されています。 なお、本事業に対する円借款には本邦技術活用条件(STEP)(注)が適用され、本事業で整備される港湾には日本の軟弱地盤改良技術や急速施工技術等が活用される予定です。 (c)事業実施機関運輸省・海運総局(Directorate General of Sea Transportation, Ministry of Transportation)住所:Ministry of Transportation, Karya Building 15th Floor, Jl. Merdeka Barat No.8, Jakarta 10110TEL: +62-21-3811308 FAX: +62-21-384963 公共事業・国民住宅省・道路総局(Directorate General of Highways, Ministry of Public Works and Housing)住所:Ministry of Public Works and Housing, Building Bina Marga, 5th Floor, Jl. Pattimura No.20, Kebayoran Baru, Jakarta Selatan 12110TEL:+62-21-7200281 FAX:+62-21-7201760 (d)今後の事業実施スケジュール(予定)1.事業の完成予定時期:2022年12月(施設の供用開始時をもって事業完成)2.コンサルティング・サービス(詳細設計、施工監理等)にかかる招請状送付時期:2017年11月3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示:土木パッケージ(Construction Works)予定時期:選定中 4.JICA情報提供窓口本事業の調達スケジュールに関する情報は、下記窓口にお問合せください。国際協力機構インドネシア事務所 港湾セクター情報窓口(Contact Point for Port Sector, JICA Indonesia Office,)住所:Sentral Senayan, 14th Floor, Jl. Asia Africa No.8, Jakarta 10270, INDONESIATEL:+62-21-5795-2112、FAX:+62-21-5795-2116 (2)ガジャマダ大学産学連携施設整備事業Development of World Class University with Socio Entrepreneurial Spirit at Universitas Gadjah Mada (a)事業の目的及び概要本事業は、ガジャマダ大学の教育・研究・産学連携活動に必要な施設を更新・整備することにより、教育の質の改善、研究及び製品開発の推進を図り、もって産業人材レベルの向上と産業振興に寄与するものです。 (b)事業の背景と必要性インドネシアは、近年堅調な経済成長を遂げているものの、一次産品が輸出品の約4割を占めており、更なる成長のためには高付加価値産業の育成が課題となっています。インドネシア政府は産業界における研究開発を振興していますが、十分な知識と能力を持った人材が不足していることから、産業発展に資する高度な人材輩出のために高等教育の充実が必要不可欠となっています。 本事業の実施により、同国トップレベルのガジャマダ大学の教育・研究・産学連携の機能が向上し、受入可能な学生数も増加することで、より多くの優秀な人材が産業界にも輩出され、その発展に貢献することが期待されています。 (c)事業実施機関研究・技術・高等教育省(Ministry of Research and Technology and Higher Education)住所:D Building, 10th Floor JI. Jendral Sudirman Pintu 1, Senayan Jakarta 10270TEL: +62-21-5794-6100 FAX: +62-21-5794-6092 ガジャマダ大学(University of Gadjah Mada)住所:Bulaksumur, Yogyakarta, 55281, IndonesiaTEL: +62-274-588774 FAX: +62-274-6491900 (d)今後の事業実施スケジュール(予定)1.事業の完成予定時期:2022年1月(施設の供用開始時をもって事業完成)2.コンサルティング・サービス(詳細設計、施工監理等)にかかる招請状送付時期: 2018年1月3.本体工事に係る国際競争入札による最初の調達パッケージ入札公示:機材調達パッケージ(Animal Science Learning Center, Advance Pharmaceutical Science Learning Center)予定時期:2019年10月 借款金額及び条件 案件名 借款金額(百万円) 金利(%/年) 償還期間(年) 据置期間(年) 調達条件 本体 コンサルティング・サービス パティンバン港開発事業(第一期)(Patimban Port Development Project (I)) 118,906 0.1 0.01 40 12 日本タイド ガジャマダ大学産学連携施設整備事業(Development of World Class University with Socio Entrepreneurial Spirit at Universitas Gadjah Mada) 8,309 円LIBOR+10bp 0.01 25 7 一般アンタイド (注)Special Terms for Economic Partnershipの略。わが国の優れた技術やノウハウを活用した途上国への技術移転を通じて、わが国の「顔の見える援助」を促進するために創設された円借款の供与条件。主契約は日本タイド、下請けは一般アンタイド。なお、主契約者については、本邦企業と海外に存する本邦企業の子会社に加えて、借入国との共同企業体(JV)を認めるが、本邦企業が当該JVのリーディング・パートナーとなることが必要。