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富士フイルム/米国・英国拠点に抗体医薬品のプロセス開発・生産設備を増強

SCM・製造拠点 2023.06.17

バイオ医薬品の開発・製造受託事業をさらに拡大

米国・英国拠点に抗体医薬品のプロセス開発・生産設備を増強

受託能力のさらなる拡大に向けて投資を加速 総額約32億円

2017年11月6日

富士フイルム株式会社

富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、バイオ医薬品(*1)の開発・製造受託の事業拡大を加速させるため、米国・英国のバイオ医薬品のCDMO(*2)拠点に総額約32億円の設備投資を行います。

FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下FDB)の米国テキサス拠点に約22億円を投じて抗体医薬品の生産に必要な設備を追加導入するとともに、英国拠点には約10億円をかけて同医薬品の生産プロセスの開発拠点を拡張して設備増強を図ります。2018年秋より新設備を順次稼働させ、抗体医薬品のプロセス開発・製造の受託能力を拡大していきます。

富士フイルムは、2017年3月に新設したバイオCDMO事業部の下、FDBを中核に、開発・製造受託事業の拡大を進めています。現在FDBでは、生産プロセスの開発から、治験薬さらには医薬品の商業生産までの一連のワークフローを一体的・効率的に進めることができる、抗体医薬品向けの開発・生産プラットフォーム「Saturn mAb(サターンマブ)プラットフォーム™」(*3)を活用した開発・製造受託サービスに注力しています。その一環として、米国テキサス拠点では新たに完成させたcGMP(*4)対応の生産棟に、2018年初めの稼働を目指してシングルユース仕様(*5)の2,000リットル動物細胞培養タンク3基を導入するとともに、英国拠点では本年9月に生産プロセスの開発新拠点を開設するなど、受託体制を強化しています。

今回、益々増大している顧客からの受託ニーズにこたえるため、当初の計画より前倒しして追加設備投資を決定しました。米国テキサス拠点では新生産棟に導入中の3基に加え、同様のシングルユース仕様の2,000リットル動物細胞培養タンクをさらに3基導入し、計6基の生産体制を整備します。また、英国拠点では生産プロセスの開発拠点を約930平方メートルから倍増させ、医薬品の成分などを高速で自動分析できる最先端機器や培養・精製の小スケール実験が全自動で行える最新鋭設備などを拡充します。これにより、「Saturn mAbプラットフォーム™」を活用した抗体医薬品のプロセス開発・製造の受託能力を増強します。なお、本プラットフォームへの累計設備投資額は約172億円となります。

また、テキサス拠点の新生産棟には培養タンクを最大12基まで導入できる拡張スペースを有しているため、顧客からの増産要請や今後のさらなる需要拡大にも迅速にこたえることができます。

[写真]導入予定の2,000リットル動物細胞培養タンク/生産プロセス開発拠点の最新鋭設備(英国)

今後、富士フイルムは、バイオ医薬品のさらなる生産能力の増強を行うとともに、グループの技術を結集して高効率・高生産性の技術開発を進め、2023年度にはバイオCDMO事業で1,000億円の売上を目指します。

バイオ医薬品は、副作用が非常に少なく高い効能が期待できることから、医薬品市場に占めるバイオ医薬品の割合は高まっており、なかでも抗体医薬品の市場は大きく伸長しています。バイオ医薬品の生産には、タンパク質などの培養・抽出・精製といった高度な生産技術と設備が必要であるため、製薬企業やバイオベンチャーなどが優れた技術と設備を有するCDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが世界的に急増しています。これに伴い、バイオ医薬品の開発・製造受託市場は年率8%(*6)の成長が見込まれています。

富士フイルムは、バイオ医薬品の開発・製造受託ビジネスの成長戦略をさらに推進し、事業拡大を加速させるとともに、高品質な医薬品の安定供給を通じて、医薬品産業のさらなる発展に貢献していきます。

*1 低分子医薬品では実現できない作用を持つ、たんぱく質などの生体分子を活用した医薬品。ワクチンのほかに、インスリン、成長ホルモン、抗体医薬品などを含む。抗体医薬品とは、生体内で病原菌やがん細胞などの異常な細胞を認識して生体を保護する免疫システムの主役である抗体を主成分とした医薬品で、抗体が特定の標的(抗原)と結合することで治療効果を発揮する。

*2 Contract Development & Manufacturing Organizationの略で、生産プロセスの開発受託および製造受託を行う会社・組織を指す。薬剤開発初期の細胞株開発からプロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する。

*3 抗体医薬品の高効率な生産ワークフローを実現するFDB独自の技術基盤のこと。具体的には、培養条件などの生産プロセスの開発から、本プロセスの治験薬・医薬品生産への適用、さらに商業生産までの工程を一体として設計し、高品質な抗体医薬品の高効率生産を可能とするもの。

*4 current Good Manufacturing Practiceの略。米国FDA(食品医薬品局)が定めた医薬品および医薬部外品の最新の製造管理および品質管理規則のこと。

*5 培養タンクの内側にプラスチック製のバックを用いる仕様。バックを交換することで洗浄・滅菌の工程が省かれ、異物の混入などのリスクも低減できるなどのメリットがある。

*6 富士フイルム調べ。

【「Saturn mAbプラットフォーム」の設備投資の概要】

  米国テキサス拠点 英国拠点
会社名 FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLC FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited
所在地 College Station, TX, US Wilton Centre, Redcar, UK
目的 抗体医薬品の生産能力増強 抗体医薬品の生産プロセスの開発能力増強
内容 生産棟
シングルユース仕様の動物細胞培養タンク(2000リットル ×6基) など
医薬品の成分などを高速で自動分析できる最先端機器や培養・精製の小スケール実験が全自動で行える最新鋭設備など
稼働開始時期 2018年初め 2000リットル ×3基
2019年夏 2000リットル ×3基(*7)
2017年9月 930平方メートル
2018年秋 約900平方メートル(*7)

*7 今回発表の設備投資


【FUJIFILM Diosynth Biotechnologies概要】

会社名 FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited FUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A. Inc. FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLC
本社 Billingham, UK Morrisville, NC, US College Station, TX, US
CEO Steve Bagshaw Steve Bagshaw Steve Bagshaw
株主構成 富士フイルム(80%)
三菱商事(20%)
富士フイルム(80%)
三菱商事(20%)
FUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A. Inc.:100%
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