ヤマト運輸/宮崎交通と路線バスを活用した「客貨混載」で農水産品を海外へ輸出 物流全般 2023.06.17 日本初!路線バスを活用した「客貨混載」で農水産品を海外へ輸出生産者等の販路拡大を支援します~保冷専用BOX搭載の路線バスで国際クール宅急便も輸送し、西米良村特産の西米良サーモンを香港へ~ 宮交ホールディングス傘下の宮崎交通株式会社(代表取締役社長:菊池 克賴、以下「宮崎交通」)とヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(代表取締役社長:長尾 裕、以下「ヤマト運輸」)は、本年9月15日より、日本で初めて保冷専用BOX搭載の路線バスを活用した「客貨混載」で国際クール宅急便も輸送し、農水産品を海外へ輸出します。取り組みの第一弾として、西米良村特産の西米良サーモンを香港の日本食レストランへお届けし、生産者等の販路拡大を支援します。 記 1.背景 宮崎交通とヤマト運輸は、バス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的に、2015年10月から西都市-西米良村を結ぶ路線バスで「客貨混載」を開始し、2016年6月には延岡市-高千穂町、日向市-諸塚村に取り組みを拡大しました。2017年1月からは西都市-西米良村に保冷専用BOXを搭載した路線バスを導入し、クール宅急便で西米良村特産の西米良サーモンなどの輸送を開始することで、生産者等の国内での販路拡大の支援にも取り組んでまいりました。 西米良サーモンは、井戸内養魚場(代表取締役社長:濱砂 清男)が1990年から養殖を始め、程よく甘みののった脂と国内産の新鮮なサーモンとして高い評価を得ています。近年、海外への販路拡大にも取り組む中、鮮度の維持や新たな販路の開拓が課題となっていました。 このたび、宮崎交通とヤマト運輸は、西都市-西米良村を結ぶ路線バスによる「客貨混載」と国際クール宅急便の輸送スキームを組み合わせ、高品質な農水産品を鮮度を保ったまま海外へスピーディーにお届けします。取り組みの第一弾として、商社として香港で宮崎県の農水産品を輸入するNANA FARM(代表:大原 奈々)を通じ新たな商流を創出し、西米良サーモンを香港の日本食レストラン「元気一杯」(代表:河野 正仁)へ翌々日にお届けすることで、物流との両輪で付加価値を高め、生産者等のさらなる販路拡大の支援に取り組んでまいります。 2.取り組みの内容 (1)ヤマト運輸のセールスドライバー(以下、SD)が、井戸内養魚場から西米良サーモンを集荷し、西米良村のバス停留所「村所」で路線バスに積み込みます。宮崎交通のドライバーが西都バスセンターでSDに引き渡し、SDが県内のヤマト運輸の物流ターミナル(以下、宮崎ベース)へ発送します。 (2)ヤマト運輸は宮崎ベースから宮崎空港と羽田空港を経由し、那覇空港へ輸送します。 (3)那覇空港でヤマト運輸が輸出の通関手続きを行った後、香港空港へ輸送し、到着後、香港ヤマト運輸株式会社(董事 兼 総経理:書川 美樹、以下「香港ヤマト」)の物流ターミナル(以下、香港ベース)で荷物を仕分け、現地のSDがお届けします。 【フロー図】 3.取り組みによる効果 (1)宮崎交通、ヤマト運輸 保冷専用BOXを搭載した路線バスを活用し、国内のクール宅急便に加え、国際クール宅急便も輸送することで、新たな収入源を確保し、バス路線網の維持や物流効率化を支える持続可能なビジネスモデルの構築につながります。 (2)井戸内養魚場 国内および国際間の一貫保冷小口輸送により、海外のレストラン等へ高品質な西米良サーモンを鮮度を保ったまま安心安全に出荷できます。また、今回の取り組みにより香港での販路拡大につながり、西米良サーモンを広くPRできます。 (3)NANA FARM 香港で宮崎県の農水産品を輸入する商社として商材が増えることで、香港の現地事業者との取引拡大につながるとともに、宮崎県の特産品をさらにPRすることができます。 (4)元気一杯 これまでメニューになかった西米良サーモンのお刺身など、新鮮でおいしい料理をお客さまへ提供することができ、売上向上につながります。 4.客貨混載による国際クール宅急便の定期輸送開始式典について 本年9月15日14時より、西米良村の村所バス停前の駐車場において、客貨混載による国際クール宅急便の定期輸送開始式典を行いました。 西米良村での定期輸送開始式典 西米良サーモン引き渡しのようす (後列左から) 香港ヤマト代表取締役社長 書川 美樹、ヤマト運輸九州支社長 片山 博樹、全日本空輸宮崎支店長 池田晴彦 (前列左から) 宮崎交通代表取締役社長 菊池 克賴、井戸内養魚場専務取締役 濵砂 慎吾、NANA FARM代表 大原 奈々、西米良村長 黒木 定藏 5.今後の展開について その他の国や地域へ販路拡大するとともに、さらにスピーディーにお届けできる輸送スキームの構築に向け、検討してまいります。 【参考資料】 [1] 客貨混載について 人と貨物を同じ車両で一緒に運ぶことやお客さまの輸送に付随して貨物を運ぶことを意味します。 現行の制度※1 では、トラックは荷物を運ぶ業務、バスは人を運ぶ業務と明確化されていますが、一定の条件下でバス事業者等が貨物を運ぶことができます。これまでヤマト運輸は、岩手県(2015年6月)・宮崎県(2015年10月)※2・北海道(2016年9月、2017年9月)・熊本県(2016年10月)・兵庫県(2017年6月)で客貨混載に取り組んでいます。 ※1 道路運送法第82条により、一般乗合旅客自動車運送事業者は、旅客の輸送に付随して、少量の郵便物・新聞紙その他の貨物を運送することができると定められています。なお、本年9月から規制が緩和され、国土交通省の認可を受けることで重量制限(350kg未満)が撤廃され、より多くの荷物を積載することが可能になりました。 ※2 宮崎県での客貨混載の取り組み・西日本初!路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」の開始URL:http://www.yamato-hd.co.jp/news/h27/h27_51_01news.html・路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」の路線拡大URL:http://www.yamato-hd.co.jp/news/h28/h28_25_01news.html・日本初!保冷専用BOXを搭載した路線バスで「客貨混載」を開始URL:http://www.yamato-hd.co.jp/news/h28/h28_96_01news.html [2] 西米良サーモンについて 西米良サーモンは、サケ科のニジマスの中でも体の大きなドナルドソントラウトに、食欲旺盛で日本育ちのエゾイワナをかけあわせた井戸内養魚場オリジナルの魚です。山間の谷間を流れる清流で育てられた西米良サーモンは、川の水で育つため卵から出荷できる大きさになるまで3~4年と生育に時間がかかります。身は程よく脂がのって甘みがあり、サーモン特有の臭みないためお刺身をはじめどんな和食にも合います。 [3] NANA FARM 香港宮崎県人会事務局の副局長を務める大原奈々が、宮崎県内の特産品を香港に広めるために2016年に設立。香港の現地事業者とのパイプを活かし、香港でビジネス展開を目指す宮崎県内の生産者や事業者の販路開拓を支援する商社です。 [4] 日本食レストラン「元気一杯」 宮崎県西都市出身のオーナーが2002年に、「美味しい、そして気軽にリーズナブルに楽しめる庶民的な居酒屋」をコンセプトに香港で開店。日本のここちよいおもてなしと、日本直空輸で仕入れる良質食材で、九州・宮崎の本格郷土料理を提供し、現地の方々はもちろん香港在住の日本人も通う人気店です。