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ヤマトホールディングス/100億円の営業損失を計上(平成30年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結))

決算短信 2023.06.17

平成30年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

単位・百万円   

          売上高   営業利益   経常利益  当期純利益

30年3月期第1四半期 355,478 4.0  △10,000 ―  △9,582 ―  △7,937 ―

29年3月期第1四半期 341,876 3.9  7,433 80.0   7,666 60.7  3,661 91.8

(注)包括利益 30年3月期第1四半期  △7,007百万円 (―%) 29年3月期第1四半期  3,228百万円 (55.0%)

(略)

(1)経営成績に関する説明  

当第1四半期における経済環境は、企業業績は底堅さを維持し緩やかな回復基調が続いているものの、海外政治情 勢による影響など、引き続き、先行きは不透明な状況にあります。また、消費スタイルの急速な変化に伴う通販市場 の拡大等による小口貨物の増加基調に加え、国内労働需給の逼迫など、物流業界は厳しい経営環境が継続していま す。  このような状況下、ヤマトグループは高品質なサービスを提供し続けるため、その礎である社員がイキイキと働く ことができる「働き方改革」を中心に据え、グループ全体の事業モデルの変革に取り組んでいます。  デリバリー事業においては、「社員の労働環境の改善と整備」、「宅急便の総量コントロール」、「宅急便ネット ワーク全体の最適化」、「ラストワンマイルネットワークの強化による効率向上」、「宅急便の基本運賃と各サービ ス規格の改定」を内容とする「デリバリー事業の構造改革」を開始しました。特に「宅急便の総量コントロール」に おいては、荷物の急増による社員の負担増を回避するため、大口の法人のお客様に対し、繁忙期の出荷調整や再配達 削減などを要請するとともに、運賃の見直し交渉を進めていますが、こういった5つの構造改革に取り組んでいる現 状においては、宅急便の取扱数量増加に連動した、外部戦力を含めた人的コストの増加が利益を圧迫するというこれ までの流れが継続し、業績は厳しい結果となりました。  ノンデリバリー事業においては、グループ各社の強みを活かした既存サービスの拡充に取り組むとともに、グルー プ横断的に連携してお客様の課題解決に当たるソリューション営業を積極的に推進し、業績は堅調に推移しました。  また、前期からグループ全体で実施してきた社員の労働時間に関する実態調査について継続確認を進めた結果、当 第1四半期において、新たに認識した労働時間に対する一時金を52億円計上しました。  当第1四半期の連結業績は以下のとおりとなりました。

(略)

<ヤマトグループ全体としての取組み>

① ヤマトグループは、各事業が一体となって付加価値の高い事業モデルを創出し、日本経済の成長戦略と、国際 競争力の強化に貢献する「バリュー・ネットワーキング」構想を推進しています。また、事業の創出・成長の 基盤となる健全な企業風土の醸成に取り組んでいます。

② 健全な企業風土の醸成に向けて、引き続き輸送体制の整備やITによる業務量の見える化など、業務の効率性・ 信頼性を向上させる施策を推進するとともに、環境施策や安全施策、地域社会の活性化に向けた取組みなど、 ヤマトグループの事業活動に結びついたCSR活動を積極的に推進しています。また、新たに設置したヤマト 運輸株式会社の「働き方改革室」、グループ各社の「働き方創造委員会」を中心に、全社一丸で「働き方改 革」を推進し、より社員が働きやすい環境の整備に取り組んでいます。

③ 「バリュー・ネットワーキング」構想の推進に向け、ヤマトグループのネットワークを活かした高付加価値モ デルの創出に取り組んでいます。国内外のお客様の様々なニーズに対応するために、既存のラストワンマイル ネットワークに加え、「羽田クロノゲート」、「厚木ゲートウェイ」、「中部ゲートウェイ」、「沖縄国際物 流ハブ」、今秋稼働予定の「関西ゲートウェイ」といった革新的なネットワーク基盤を、より効果的に活用し ていきます。

④ 海外市場に対しては、クロスボーダー物流の拡大に対応すべく、日本・東アジア・東南アジア・欧州・米州の 5極間の連携と各地域の機能強化に取り組んでいます。当第1四半期においては、4月にフランス国内最大手 のエクスプレス事業者と日仏間のクロスボーダー小口保冷輸送ビジネスの拡大と両社が持つ小口保冷輸送に関 するノウハウを共有するクロスライセンスを含む包括的なパートナーシップ契約を締結しました。また、5月 にはヤマトグループ6社が小口保冷配送サービスに関する国際規格の認証を取得するなど、高付加価値なクロ スボーダー・ネットワークの構築を積極的に推進しています。

⑤ 通販市場を中心としたお客様の利便性向上に向けては、駅やコンビニエンスストアなどを中心にオープン型宅 配ロッカーネットワークの構築を積極的に推進するなど、手軽に荷物を受け取れる環境の整備に取り組むとと もに、次世代物流サービス開発に向け、インターネットサービスを提供する大手企業と連携し、自動運転技術 を活用したオンデマンド配送サービス等を提供する「ロボネコヤマト」プロジェクトの実用実験を4月に神奈 川県の一部のエリアにて開始しました。また、前期導入した大量輸送が可能な日本初の新規格大型トレーラに よるゲートウェイ間の輸送の効率化など、先端技術の活用に向けた取組みを加速させています。

<事業フォーメーション別の概況>

○デリバリー事業

(略)

① デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便 を中心とした事業の展開に取り組んでいます。

② 消費スタイルの急速な変化に伴う通販市場の拡大等による小口貨物の増加基調に加え、国内労働需給の逼迫な ど厳しい事業環境が継続している中、「社員の労働環境の改善と整備」、「宅急便の総量コントロール」、 「宅急便ネットワーク全体の最適化」、「ラストワンマイルネットワークの強化による効率向上」、「宅急便 基本運賃と各サービス規格の改定」を内容とする「デリバリー事業の構造改革」を開始しました。「社員の労 働環境の改善と整備」においては、社員の昼休憩の確保や長時間労働防止に向け、4月より宅急便受付締切り 時間を繰り上げ、6月より宅急便の配達時間帯の指定区分を従来の6区分から5区分に変更しました。また、 「宅急便の総量コントロール」においては、荷物の急増による社員の負担増を回避するため、大口の法人のお 客様に対し、繁忙期の出荷調整や再配達削減などを要請するとともに、運賃の見直し交渉を進めています。

③ 成長が見込まれる通販市場に対しては、小さな荷物をリーズナブルな料金で手軽に送ることができる「宅急便 コンパクト」、「ネコポス」の拡販を進めるとともに、複数のフリマサイトと連携し、発送窓口拡大を進める など、ご利用されるお客様の利便性向上に取り組みました。

④ 法人のお客様については、お客様の経営課題を的確に把握し、その課題に沿ったソリューション提案を積極的 に推進しました。また、グループの経営資源を活用した付加価値の高い提案を行い、収益性の向上に取り組み ました。当第1四半期においては、お客様の利便性向上のために、クラウド上でご利用いただける新たな送り 状発行サービス「B2クラウド」を開始しました。

⑤ 地域活性化に向けた事業としては、複数の自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者見守りなど、 住民へのサービス向上に取り組みました。また、農水産物をはじめとする生鮮品を鮮度を保ったままスピー ディーにアジア圏へ配送することで、地域産品の販売拡大を支援するなど、地元産業の活性化につながる取組 みを推進しました。

⑥ 営業収益は、引き続き急速な通販市場の拡大等により、宅急便の取扱数量が増加し2,733億49百万円となり、 前年同期に比べ2.9%増加しました。利益面では、サービス品質を維持するための外部戦力を含めた人的コス トの増加や、労働時間に関する実態調査について継続確認を進めた結果、一時金を計上するなど利益を圧迫 し、営業損失は172億85百万円となりました。

○BIZ-ロジ事業

① BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・ リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物 流システムを提供しています。

② 通販業界等に向けたサービスとしては、お客様のご要望に応じて、受発注処理から在庫の可視化、スピード出 荷などの多様な物流支援サービスをワンストップで提供しています。当第1四半期においては、既存サービス の取扱いが増加したことなどにより、収益が好調に推移しました。

③ メディカル事業者様に向けたサービスとしては、医療機器のローナー支援(保管・洗浄・配送)をはじめとす る、物流改革の支援サービスを展開しています。当第1四半期においては、ヘルスケアサービスと医療製品の 提供をグローバルに展開する事業者と業務提携を締結するなど積極的に拡販を推進しました。

④ 営業収益は、通販事業者向けの既存サービスが好調であったことなどにより285億96百万円となり、前年同期 に比べ9.3%増加しました。利益面では、海外関連事業の伸び悩みなどにより10億49百万円となり、前年同期 に比べ12.2%減少しました。

○ホームコンビニエンス事業

① ホームコンビニエンス事業は、お客様の便利で快適な生活の実現に向けて、ヤマトグループの全国ネットワー クを活用し、生涯生活支援事業や法人活動支援事業に取り組んでいます。

② 個人のお客様に向けては、大型家具・家電の配送サービス「らくらく家財宅急便」や引越関連サービス、 「イエナカ」での日常のお困りごとを解消する「快適生活サポートサービス」など、日々の生活を支援する サービスを展開しています。当第1四半期においては、フリマアプリと連携し、大型荷物を簡単に送れる新た な配送サービスを提供するなど「らくらく家財宅急便」の拡販を積極的に推進しました。

③ 法人のお客様に向けては、ヤマトグループと工事会社のネットワークを融合し、住宅設備などの配送・設置か ら工事・保守までをワンストップで提供する「テクニカルネットワーク事業」をはじめとする事業支援サービ スを展開しています。当第1四半期においては、国際放送配信サービスの設置工事から保守メンテナンスまで を一括で提供するサービスを開始するなど新たな顧客の獲得に向け着実に取り組みました。

④ 営業収益は、既存サービスである引越サービスや「らくらく家財宅急便」が堅調に推移したことなどにより 127億66百万円となり、前年同期に比べ3.1%増加しました。営業利益は3億22百万円となり、前年同期に比べ 491.2%増加しました。

○e-ビジネス事業

① e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、 決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に行っています。また、グループの 事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進しています。

② 商品の受注・出荷業務を支援するサービスとしては、出荷情報の処理や伝票印字、荷物追跡などの業務を包括 的にサポートする「Web出荷コントロールサービス」を提供しています。当第1四半期においては、通販市場 の成長などを背景に、既存大口のお客様を中心にサービスのご利用が拡大しました。

③ 営業活動で主にパンフレット・カタログ等の販促品を使用するお客様に向けては、販促品の受発注システムや 倉庫保管・管理・配送等の物流、印刷をトータルで提供する「e-オンデマンドソリューション事業」を展開し ています。当第1四半期においては、積極的な営業活動により新たな顧客を獲得するなど、ご利用が拡大しま した。

④ 営業収益は、「Web出荷コントロールサービス」の取扱い拡大などにより115億45百万円となり、前年同期に比 べ6.3%増加しました。営業利益は24億72百万円となり、前年同期に比べ25.3%増加しました。

○フィナンシャル事業

① フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済、および車両のリースなど、お客様の様々なニー ズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。

② 決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス 「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進してい ます。当第1四半期においては、「宅急便コレクト」をご利用のお客様に対し、「クロネコwebコレクト」、 「クロネコ代金後払いサービス」のご利用を促進し、お客様に幅広い決済サービスを提供するとともに、収益 性の向上に取り組みました。また、6月よりお客様のコスト削減や業務効率化、利便性向上を目的に、各種決 済サービスの精算業務の一本化を開始しました。

③ リース事業では、トラックを中心としたファイナンス・リースや割賦販売が順調に推移するとともに、車両の 紹介や売却サポートなどの周辺業務を展開し、車両に関するトータルソリューション提案を推進しました。 ④ 営業収益は、リース事業が好調に推移したことなどにより205億94百万円となり、前年同期に比べ10.6%増加 しました。営業利益は、20億45百万円となり、前年同期に比べ7.2%増加しました。

○オートワークス事業

① オートワークス事業は、物流・流通事業者様へ「車両整備における利便性の向上」、「整備費用の削減」とい う価値を提供するため、「24時間365日営業・お客様の稼働を止めないサービス」を展開しています。さら に、「物流施設、設備機器の維持保全や職場環境改善」や、これらの資産を対象に「お客様のリスクマネジメ ントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の事業運営に係るワンストップサービス を実現しています。

② 当第1四半期においては、定期的にお客様のもとへ訪問する「リペアワークス」の営業を積極的に行うなど、 取扱いの拡大に向け取り組みました。

③ 営業収益は、車両取扱台数の増加により61億13百万円となり、前年同期に比べ0.4%増加しました。営業利益 は11億81百万円となり、前年同期に比べ10.2%増加しました。

○その他

① 「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客 様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当第1四半期においては、既存の サービスが好調であったことにより、ご利用が着実に拡大しました。

② その他の営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて3億 28百万円となり、前年同期に比べ31.7%減少しました。

<CSRの取組み>

① ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しています。当第1四半期に おいては、海外を含めたグループ全体で「事故ゼロ運動」を実施し、全社の安全意識の向上に取り組みまし た。また、子どもたちに交通安全の大切さを伝える「こども交通安全教室」を平成10年より継続して全国の保 育所・幼稚園・小学校などで開催しており、累計参加人数は約300万人となりました。

② ヤマトグループは、環境保護活動を「ネコロジー」と総称し、環境に優しい物流の仕組みづくりに取り組んで います。また、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を平成17年 より継続して全国各地で開催しており、累計参加人数は約23万人となりました。

③ ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主 的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パンの製造・販売を 営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必 要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っていま す。

④ ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティン グ・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当第1四半期 においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域におけるバス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生 活サービス向上を目的とする「客貨混載」を、既存の岩手県、宮崎県、北海道、熊本県に続き、兵庫県におい ても開始しました。また、平成28年11月に神奈川県藤沢市のFujisawa SST(Fujisawa サステナブル・スマー トタウン)内に開業した、一括配送など街の物流インフラを担う「Next Delivery SQUARE(ネクストデリバ リースクエア)」における、物流効率化によるCO2削減などの実績が評価され、一般社団法人日本物流団体 連合会主催の「第18回物流環境大賞」の「物流環境保全活動賞」を受賞しました。引き続き、全国各地で高齢 者の見守り支援や観光支援、産物の販路拡大支援など、ヤマトグループの経営資源を活用した地域活性化や課 題解決に取り組み、行政と連携した案件数の累計は1,971件となりました。

⑤ ヤマトグループは、社会的インフラとしてお客様をはじめ社会の信頼に応えていくために、コンプライアンス 経営を推進し、労働時間管理ルールの見直しや社員の新しい働き方を創造するなど、社員が安心して働ける労 働環境の整備を進め、「働き方改革」に全社を挙げて取り組んでいます。

(略)

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