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ヤマトグループ総合研究所/RFIDを活用した納品業務と車両予約システムを連動しスムーズな納品を実現

物流システム 2023.06.17

ヤマトグループ総合研究所がトラック納品時の待機時間を短縮する
新たなスキームを開発
~RFIDを活用した納品業務と、車両予約システムを連動し、スムーズな納品を実現~

ヤマトホールディングス傘下の一般社団法人ヤマトグループ総合研究所(本社:東京都港区、理事長 木川 眞、以下ヤマト総研)は、現在社会的課題となっているトラック納品時に発生している長時間の待機時間を短縮するため、RFID技術を活用した納品業務と車両予約システムなどを連動した新たなスキームを開発しましたので、ご報告いたします。

また、実用化に向け、ライオン株式会社(本社:東京都墨田区、代表取締役社長 濱 逸夫、以下ライオン)との実証実験を7月3日より開始いたします。

1.背景

現在、トラックを利用した納品業務における、ドライバーの長時間の待機時間が社会的な課題となっています。その一因として、納品場所に到着しても先着のトラックが複数台待機していたり、納品先で入庫検品作業が目視や手書きなどアナログ作業で行われていたりするため、納品完了までに長時間が掛かる状況がありました。

2016年4月に設立したヤマト総研は、この様な社会的課題に対し、物流を切り口とした新たな技術・ソリューションの研究開発などを行っています。この度、全国物流ネットワーク協会などの業界団体やトイレタリー業界(※1)の各メーカー、およびヤマトロジスティクスと連携し、スムーズで効率的な納品を実現するスキームを開発しました。

今回、実用化に向けた実証実験の第一弾を、トイレタリー業界において物流課題に積極的に取り組むライオンと実施します。

※1 トイレタリー業界:シャンプー・歯磨き粉・石鹸といった、日常生活で衛生・洗浄を目的に使用する商品を扱う業界。

2.現状の課題

  • (1)納品に長時間の待機時間が発生する
    • [1] トラックの先着順に納品を行うため、納品開始時刻の数時間前から多くのトラックが待機し、結果として納品までに長時間の待機時間が発生しています。
    • [2] 入庫検品時に目視や手書きなどアナログ作業が多く、時間を要しています。また、入庫作業を荷受け場で行うため、入庫スペースが限られている場合は、先に納品された商品の処理が終わるまで次の作業を開始できず、待機時間が更に延長します。
  • (2)納品先が必要な荷物を優先的に受け取れない

    トラックから商品が納品されるまで、「どの商品」が「どのトラック」の「どのパレット」に積まれているか分からないため、当日優先的に入庫したい商品があった場合でも、優先することができず、結果として庫内での作業遅延などが発生しています。

3.今回開発したスキーム

  • (1)発送元・ドライバー・納品先が携帯端末で相互に入庫スケジュールの確認や連絡ができるアプリを活用することで、事前に納品時刻や納品口の予約が可能になります。
  • (2)発送元と納品先の双方の拠点において、RFID(※2)を活用した入出庫検品業務を行います。出庫作業時に、RFIDタグが添付されたパレット、商品、トラック情報を紐付けたASNデータ(事前出庫明細データ)を作成し事前に納品先に送ることで、納品先ではRFIDタグの読み取りのみで検品作業が完了します。
  • (3)ASNデータを事前に納品先に送ることで、どのトラックを優先的に納品させるかといった車両の入庫スケジュールの調整が可能になります。

※2 RFID:電波の送受信により、非接触でICチップの中のデータを読み書きする技術。

【スキーム概念図】

【スキーム概念図】

4.導入メリット

  • (1)発送元・運送会社
    ドライバーは事前に予約した時刻に納品口に到着すればよく入庫検品もスムーズなので、施設周辺で長時間待機する必要がなくなり、生産性の向上と労働環境の改善が実現します。また、RFIDの活用により、出庫検品時の業務負荷を軽減し、人的作業によるミスを削減します。
  • (2)納品先
    RFIDの活用により、入庫検品作業の生産性を向上させます。必要な商品を優先的に入庫することで、出荷作業がスムーズになり、顧客満足度の向上につながります。
  • (3)社会
    トラックの待機時間削減により、アイドリングによる二酸化炭素排出量を減らし、環境保護に貢献します。また、納品先施設周辺の待機トラックを減らし、近隣住民の方の安心・安全な生活環境を確保します。

5.ライオンとの実証実験の概要

(1)期間:
2017年7月3日~9月29日
(2)対象区間:
ライオン西日本保管倉庫(大阪府茨木市)~ライオン小牧流通センター(愛知県小牧市)間
(3)実験内容:
RFIDの活用による納品業務の効率化の検証、および予約システムの活用による待機時間短縮の効果検証

6.今後の展開

ヤマト総研は、2017年12月までに実証実験の効果を検証し、実用化に向けて調整します。そして、このスキームをライオンの自社内拠点間の物流に適用するだけでなく、トイレタリー業界全体に展開し、さらにはトラック運送会社やトラック運送業務を伴う様々な企業・業界に向けたプラットフォームとして提供することを目指し進めてまいります。また、今回開発したスキームは現在特許を出願中です。

7.一般社団法人ヤマトグループ総合研究所について

ヤマトグループ総合研究所は、2019年のヤマトグループ創業100周年に向けた記念事業の一環として2016年4月1日に設立しました。社会的課題を「物流」の更なる進化・発展を通じて解決し、豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。異業種協業や産学官連携を積極的に行うなどオープンイノベーションを推進しながら、ヤマトグループの既存事業や枠組みを超えた研究・調査を進めています。
ホームページ:http://www.yamato-soken.or.jp/

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