ヤマタネ/経常利益は前年比1・1%減(平成29年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)) 決算短信 2023.06.17 平成29年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 単位・百万円 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 29年3月期 50,213 △3.1 4,584 △4.6 4,084 △1.1 2,621 15.8 28年3月期 51,826 0.4 4,803 5.2 4,131 10.2 2,263 10.8 (注) 包括利益 29年3月期 3,892百万円( 70.9%) 28年3月期 2,278百万円( △50.2%) (略) ①当期の概況 イ.全般の概況 当期におけるわが国経済は、世界経済の緩やかな回復等を背景にした輸出や設備投資をけん引役に、底堅く推移 しました。 このような状況下におきまして、当期の連結業績は、食品部門における玄米の販売数量の減少とその他部門での 減収により、売上高は502億13百万円(前期比3.1%減)となりました。営業利益においては、物流部門と食品部門 で増益、情報部門ではほぼ前年並みとなったものの、不動産部門で大きく減益となったことから、45億84百万円 (同4.6%減)となりました。また、支払利息の減少等により営業外損益は改善しましたが、経常利益は40億84百万 円(同1.1%減)となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産の売却による特別利益の計上 と法人税率の引き下げ影響等により26億21百万円(同15.8%増)となりました。 ロ.セグメント別の概況 ⅰ.物流部門 物流業界におきましては、上半期を中心に企業の在庫調整の影響等が残り、倉庫の保管残高の前年割れが続きま した。荷動きに関しては、消費関連や建設関連の貨物が堅調に推移したことから、国内の総輸送量は5年振りに増 加に転じました。また、国際貨物についても世界経済の回復基調のもとで、輸送量・取扱金額ともに前年を上回り ました。 このような状況下で、物流部門では、配送センター業務や海外引越業務が堅調に推移しましたが、倉庫の保管残 高の減少による保管料の減収に加え、大口荷主との取引内容の見直し等の影響もあり、売上高は209億90百万円(前 期比1.5%減)となりました。一方、営業利益は低採算先の見直しに加え、付帯作業等が堅調に推移したことから31 億42百万円(同1.2%増)となりました。 ⅱ.食品部門 コメ流通業界におきましては、飼料用米の増産等により生産調整目標(減反目標)が2年連続で達成されたこと を受け、主食用のコメ取引の需給が締まり、平成28年産米の価格は前年に続き上昇しました。特に業務用の低価格 米の逼迫感が大きく、余剰ぎみの高級ブランド米との価格差が縮小しました。 このような状況下で、食品部門では、量販店・外食向けである精米販売の数量は、69千玄米トン(前期比3.9% 増)と増加しましたが、一般小売店や他卸売業者向けである玄米販売は、主要産地である東北・関東を中心に取引 価格の高騰から思うようなコメの手当ができず、23千玄米トン(同47.7%減)と大幅に減少しました。この結果、 総販売数量は92千玄米トン(同16.6%減)となりました。売上高は、コメの取引価格は上昇したものの玄米の販売 数量の落ち込みの影響が大きく、234億22百万円(前期比4.0%減)となりました。一方、営業利益は、需給が締ま る中で適正な販売差益の確保に努めた結果、2億96百万円(同39.4%増)となりました。 ⅲ.情報部門 情報サービス業界におきましては、IoTやAI等といった新規技術の導入の動きが強まり、IT関連投資は増加を 続けております。 このような状況下で、情報部門では、システム開発業務は堅調に推移しましたが、棚卸代行関連業務における不 採算取引の縮小等の影響により、売上高は22億69百万円(前期比3.0%減)となりました。一方、営業利益は3億14 百万円(同0.2%減)とほぼ横ばいで推移しました。 ⅳ.不動産部門 不動産業界におきましては、三大都市圏を中心に活発な取引が続き、地価は上昇基調となりました。また、都心 部の賃貸オフィスビル市場も、景況感の改善から空室率が低下傾向が続き、賃料水準も底堅い動きとなりました。 このような状況下で、不動産部門では、大口テナントの入れ替わりに伴う稼働率の低下により、売上高は35億30 百万円(前期比6.4%減)、営業利益は16億81百万円(同10.6%減)となりました。 ②次期の見通し イ.全般の状況 今後を展望いたしますと、わが国経済は、世界経済の持ち直しを背景に輸出や設備投資の増加が続き、景気対策 としての公共投資の増加も企業収益を下支えすると見込まれることから、堅調に推移すると見込まれます。ただし、 米国のトランプ新政権の経済政策の実現可能性は不透明であり、北朝鮮や中東等に対する政策次第では、リスクオ フによる急激な株安や円高の懸念が残ります。 ロ.セグメント別の状況 ⅰ.物流部門 物流業界におきましては、国内貨物輸送は堅調な企業業績を受けて消費関連貨物や生産関連貨物が堅調に推移す るものの、住宅投資の減少等に伴い建設関連貨物はマイナスを見込み、結果として総輸送量は僅かに減少となる見 込みです。また、宅配業界を中心にドライバーの労働条件改善のため、ネット通販等の大口先を対象に運賃の引上 げの動きが出てきております。国際貨物輸送については、世界経済の回復基調のもとで引き続き堅調な荷動きが見 込まれます。ただし、米国、欧州向けは一部の保護主義的な動きによる貿易停滞や円高基調が押し下げ要因になる 懸念も残ります。 このような状況下で、物流部門におきましては、配送センター機能や製品の梱包・加工機能を中心とした物流ア ウトソーシング受託業務の拡大に取り組み、新規顧客の獲得による営業基盤の拡大と既存先の取引収支の改善をめ ざしてまいります。そのために物流品質の向上と人材の育成に最注力いたします。また、成長戦略の一環としては、 事業規模の拡大に向けた国内輸配送の強化に取り組み、千葉県印西市に購入した土地の第一期事業プランの策定及 び着工準備に入ります。加えて、新設した物流不動産部により、既存施設の有効活用とリーシングビジネスの拡大 をめざします。国際業務におきましては、国際輸送と海外引越の営業部門を統合した国際営業部では、シナジー効 果による業務の拡大をめざします。特に大型顧客の獲得と主要顧客の取引拡大に努めるとともに、業務の見直しに よる差益率の向上をめざします。 ⅱ.食品部門 コメ流通業界におきましては、平成30年を目処に政府が都道府県別の生産目標数量の配分を中止することとなり ました。また、昨年11月より政府・与党で議論されてきました農業競争力強化プログラムは、全農のコメ販売事業 の方向転換(卸を通さない直接販売ルートの拡大)や、コメ卸の抜本的な合理化の推進が掲げられており、法的支 援や資金的支援により業界の再編を促す内容となっております。一方で米の産地においては、平成29年度産以降も 飼料用米に対する補助金政策が続くと思われます。全農の集荷力が低下しつつある中で市場流通量も不透明であり、 流通価格に影響を与えることが見込まれます。 このような状況下で、食品部門におきましては、環境やコメ相場の動向に左右されずにマーケットのニーズに即 した銘柄の安定的な調達を目指し、産地連携の強化や新たな仕入ルートの開拓に最注力してまいります。そのため には消費トレンドの変化を踏まえた実需の動向を産地へ的確に伝え、「ニーズに合ったコメ作り」を産地と共に推 進していく必要があります。また、販売面では顧客へのきめ細かな提案営業によるシェア拡大と、新規顧客の開拓 を推進します。加えて、生産管理体制の強化により、安全・品質の追求と効率改善を強力に推進し、信頼される 「ヤマタネブランド」の確立をめざしてまいります。 ⅲ.情報部門 情報サービス業界におきましては、IoTの進展により、あらゆるものがネットとつながり、ビックデータがやりと りされ、高度に発展したAIを活用していく「データ駆動型社会」がはじまりつつあります。金融におけるFintech の進展や物流における自立型自走ピッキングロボットの導入等、具体的な動きも出てきております。 このような状況下で、情報部門におきましては、当社と子会社であるソリューション・ラボ・東京株式会社との 一体運営を推進し、ヤマタネグループのIT基盤の高度化と情報セキュリティ体制の強化をはかります。また、棚 卸機器レンタル・棚卸代行関連業務では、新たなハンディターミナルの導入を開始し、高度で生産性の高い業務を 実現し、事業の拡大と収益性の向上に努めてまいります。システム開発業務では、システムエンジニア全員での営 業推進体制を構築し、ビジネスの拡大と人材育成の強化に努めます。 ⅳ.不動産部門 不動産業界におきましては、都心部では大型開発により賃貸面積は増加しているものの、旺盛な需要により賃貸 オフィスビルの空室率は3%台にまで低下し、賃料水準も底堅い動きが続くと予想されます。 このような状況下で、不動産部門におきましては、テナント動向の把握と稼働率の維持に努めるとともに、所有 物件の長期保守計画に基づく設備の更新や修繕を着実に進めてまいります。また、不動産管理システムの整備に努 め、経年ビルの建て替えの検討を進め、良好な執務環境やより高度な耐震性及び安全性を持つ競争力を備えたビル 運営をめざしてまいります。 新中期経営計画「ヤマタネ 2019プラン」の2年目となります平成30年3月期の連結業績予想につきましては、食 品部門においてコメ取引価格の上昇により営業収入の増加が見込まれることから、売上高は514億円(前期比2.4% 増)と前期比11億87百万円の増収を予想しております。一方、利益面では、不動産部門における施設改修に伴う稼 働率の低下等により減益を見込み、営業利益は42億90百万円(同6.4%減)、経常利益は38億60百万円(同5.5% 減)、親会社株主に帰属する当期純利益は24億60百万円(同6.1%減)を予想しております。 ③単体の業績と次期の見通し 当期の単体業績につきましては、売上高は、食品部門における玄米販売の減少とその他部門での減収により、454 億14百万円(前期比3.1%減)となりました。利益面では不動産部門で大きく減益となったことから、営業利益は25 億81百万円(同5.1%減)となりました。経常利益は、配当金の増加と支払利息の減少等により営業外損益が改善し たことから27億7百万円(同1.6%増)となりました。この結果、当期純利益は法人税率の引き下げ影響等もあり19 億74百万円(同10.7%増)となりました。 平成30年度3月期の単体業績予想につきましては、売上高は467億円(前期比2.8%増)を予想しております。ま た、利益面に関しましては、物流部門の減益等を主因に、営業利益は25億50百万円(同1.2%減)、経常利益は26億 20百万円(同3.2%減)、当期純利益は19億10百万円(同3.3%減)を予想しております。 (略)