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京セラ/RFIDアンテナ内蔵小型セラミックパッケージを開発

物流システム 2023.06.17

独自のセラミック多層構造により、超小型で長い距離の通信を確保

RFIDアンテナ内蔵小型セラミックパッケージを開発

ニュースリリースは報道機関向けの発表文章であり、そこに掲載されている情報は発表日現在のものです。ご覧になった時点ではその内容が異なっている場合がありますので、あらかじめご了承ください。

京セラ株式会社(社長:谷本 秀夫)は、独自のセラミック多層構造により、超小型で長い通信距離を実現するRFIDアンテナ内蔵セラミックパッケージを開発し、本年5月より本格量産を開始いたします。 当社は、長年培ってきたセラミック材料技術、多層技術、アンテナ設計技術などを活かして、今回初めてRFIDアンテナ内蔵セラミックパッケージの開発に成功しました。 今後、IoTによるモノづくり革新の進展などにより、RFIDタグの需要増加が見込まれる産業分野に向けて製品を提供してまいります。

※RFIDはRadio Frequency Identifierの略

写真:RFIDアンテナ内蔵セラミックパッケージ
製品名 RFIDアンテナ内蔵セラミックパッケージ
用途 自動車関連、産業/FA関連、医療関連など
外形寸法(3サイズ) (横×縦×高さ) 6×3×1.7mm / 10×5×1.7mm / 15×5×1.7mm
通信方式 UHF帯(860-960MHz※1
生産拠点 鹿児島国分工場

■本製品の特長

  1. ファインセラミックスならではの耐熱性・耐水性・耐薬品性などの高い耐久性を有します。
  2. 多層構造でアンテナを内部に形成することで通信距離が長くなり、さらにICチップをパッケージの内部に配置できるキャビティ(凹型)構造により小型化を実現しています。
  3. UHF帯の通信方式において、本製品を採用したRFIDタグは従来品に比べて、同サイズ(体積比)で1.5~2倍の長い通信距離を実現しています。
  4. 金属上への載置が可能ですので、金属製品の管理用途などに適しています。金属に貼り付けた際に通信距離が最大となる設計です。

■開発背景
RFIDは、RFIDタグに埋め込まれたICチップの情報を親機となるリーダー/ライターと送受信する技術で、現在、小売業での製品タグや交通系ICカードなどで採用が広がっています。 IoTによるモノづくり革新の進展などにより、従来の市場に加え、自動車関連や産業/FA(Factory Automation)関連、医療関連などの用途での採用も拡がっており、当社では2020年に市場規模が1,000億円程度になると予測しています。
例えば、自動車用途ではエンジン整備などに使う工具の管理、産業用途ではFAなど製造工程において薬品洗浄が行われる部品などの管理、医療用途では加熱洗浄や滅菌処理が行われる医療用器具の管理などへの展開が見込まれます。
従来のRFIDタグでは、製品を保護し接続するパッケージに有機系の素材が主に用いられていますが、今後採用が広がる新たな用途においては、耐熱性や耐水性、耐薬品性などの高い耐久性や通信距離の確保が必要とされます。 

■本製品の特長(詳細)
1. LTCC
LTCCとは、Low Temperature Co-fired Ceramicsの略で、一般的なセラミックスの焼成温度より低い1000℃以下の低温で焼成されたセラミックスのことです。
アンテナとして最適な抵抗値の低い銅や銀を導体に使用することが可能です。

① 優れた高周波特性
京セラ独自の損失の少ないLTCC材料と導体に銅を用いており、高周波特性に優れています。

② 高い曲げ強度
京セラ独自のセラミック材料技術により、HTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)と同等の曲げ強度を有しています。

③ ICチップの保護
パッケージのキャビティ(凹型)部にICチップを実装できるため、振動、衝撃などからIC  チップを保護しやすい構造となっています。

④ 超小型 · 低背
薄型多層構造とキャビティ(凹型)構造により超小型 · 低背化を実現しています。

説明図:RFIDアンテナ内蔵セラミックパッケージ
説明図:RFIDアンテナ内蔵セラミックパッケージ

2. 長い通信距離を実現(UHF帯)
本パッケージを採用したRFIDタグは、UHF帯(860-960MHz※1)の通信距離測定において、他材料を採用した従来タグに比べて、体積比で1.5~2倍の通信距離を実現しました。
RFIDタグは、通常、パッケージが小型になるほどアンテナの面積も小さくなり通信距離が短くなりますが、本製品は薄型多層構造を採用し、効率的なアンテナ設計を行うことで、通信距離を延伸しました。 

3. 金属上への載置が可能
一般的なシール状のタグは金属の製品に貼り付けると、金属が電波を妨げる性質があるためRFIDタグとの通信が不可能になってしまいますが、本パッケージを採用したRFIDタグは、金属に貼り付けた際に通信距離が最大となるアンテナ設計を行っており、自動車、産業/FA、医療などの金属製品の管理用途に適しています。 

4. 充実した製品ラインアップ
超近距離通信のHF帯(13.56MHz※1)の通信方式に対応した製品もそろえており、UHF帯とHF帯の通信方式向けに、それぞれ3サイズの計6種類を展開しています。 

5. 多様な供給バリエーション
セラミックパッケージの供給だけでなく、内蔵するICチップの手配や、セラミックパッケージへのICチップの実装、さらにお客様の仕様に合わせたRFIDタグ(完成品)での供給も可能です。 タグの仕様設計から完成品まで、お客様のニーズに合わせた多様なバリエーションの製品提供をいたします。 

※1:RFIDに割り当てられた周波数
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