日本海事協会/一般海域における燃料油のSOx排出規制の強化時期がIMOのMEPC70で決定されたことは大きな契機になるものと認識(会長新年メッセージ) 物流全般 2023.06.17 2017年1月1日 2017年の新春を迎え、謹んでご挨拶申し上げます。 昨年2016年は英国のEU離脱に関わる国民投票、米国の大統領選と大方の予想を覆す大変動が相次ぎました。世界情勢、ひいては経済の先行きの不確実性が高まる中、日本の針路をいかに正しく定めていくかが、これまでになく問われているように感じます。 国内の海事産業においては、昨年の後半より若干ながら円安傾向にあり、また一部にマーケットの回復も見られる所でございますが、本格的な回復に繋がるかどうかは、依然として不透明な状況にあります。 一方、海運・造船・舶用業界のみならず私ども船級協会へも多大な影響を及ぼす規制動向にあっては、バラスト水管理条約の発効要件充足やパナマ政府によるシップリサイクル条約批准など、特に環境関連での進展が見受けられます。中でも、一般海域における燃料油のSOx排出規制の強化時期がIMOのMEPC70で決定されたことは、大きな契機になるものと認識しています。 関連業界の現状を受け、本会の経営環境も一段と厳しいものとなっておりますが、本会といたしましては「海上における人命と財産の安全確保及び海洋環境の汚染防止」という使命の下、顧客各位へ最高の技術サービスを提供することを第一に本年も活動を進めてまいります。昨今の海事産業の経営環境の変化や規制の動向をふまえつつ、本会の根幹たる船級事業の発展を鋭意追求し、もって国内海事クラスターへの貢献に努める所存です。 本会事業の基盤である検査・審査体制にあっては、質量両面において十分な人材を確保すると共に、顧客及び関係者のニーズを考慮した効率的なサービスネットワークの整備を継続します。また、新規制への対応など業界の直面する課題解決に資するべく、ソフトウェアを始めとする多様な情報サービスを展開してまいります。特に、近年普及の著しいビッグデータ、IoTにあっては、海事産業がそのメリットを最大限に活用できるよう、必要なプラットフォームやデータを交換する仕組の提供、サイバーセキュリティの確保などに積極的に取り組みます。更に、第三者機関としての豊富な技術的知見を活かし、海洋再生可能エネルギー分野やISOなど国際規格に基づく認証サービス事業の一層の拡大を図ります。 最後に、本年も本会事業に対し、変わらぬご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げますと共に、皆様にとりまして2017年が素晴らしい一年となりますよう心よりお祈りいたします。