日本製紙/富士工場にCNF強化樹脂の実証生産設備の設置を決定 SCM・製造拠点 2023.06.17 富士工場に、CNF強化樹脂の実証生産設備の設置を決定~2017年6月稼働、自動車の部材など、樹脂補強材として実用化を進める~ 日本製紙株式会社(社長:馬城 文雄)は、このたび、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ナイロンなどの樹脂にCNFを混練することにより得られるCNF強化樹脂の実用化を推進するため、富士工場(静岡県富士市)に実証生産設備を新たに設置することを決定しました。2017年6月に稼働する予定で、年間10トン以上のCNF強化樹脂を生産でき、自動車、建材、家電など、幅広い産業へ向けてサンプル提供を行います。 CNFは、木材パルプをナノレベルまで細かく解繊したもので、軽量かつ弾性率が高く、熱寸法安定性が良好であるなど、多くの優れた特性を持つことが知られています。樹脂などへの混練により、樹脂を軽量で高強度化する新素材としての利用が期待されていますが、CNFは親水性が高いため、樹脂などに均一に分散させることが技術的に困難で、CNFの疎水化法を確立することが課題でした。 当社は、京都大学を拠点として実施されている国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト(注1)に参画しており、CNF強化樹脂の開発に取り組んでいます。本プロジェクトでは、パルプの有効な疎水化法と、樹脂との混練時にナノ解繊することにより、安価で高品質なCNF強化樹脂を作り出す手法を開発しています。今回、その中で得られた知見を利用し、CNF強化樹脂を大量生産する製造技術の実用化を目指すとともに、具体的な用途開発を進めていくことにしたものです。 当社は、研究開発体制の再編により、2017年下期から、CNFの用途開発を進めるCNF研究拠点を富士工場に移転します。CNFについては、すでに石巻工場(宮城県石巻市)、ケミカル事業本部江津事業所(島根県江津市)の2拠点で、それぞれ用途に応じたCNF量産設備の設置を進めていますが、CNF強化樹脂では、関東・中部地域での自動車用途などでの利用を見込んでおり、富士工場での実証生産を通じて実用化のスピードアップを図っていきます。 (注1)「非可食性植物由来化学製造プロセス技術開発 高機能リグノセルロースナノファイバーの一貫製造プロセスと部材化技術開発」 http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100536.html 以上