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富士通/阪神高速と富士通交通・道路データサービス、商用車の走行データを活用した交通分析手法を確立

物流システム 2023.06.17

阪神高速と富士通交通・道路データサービス、商用車の走行データを活用した交通分析手法を確立

~都市高速道路の交通分析について、プローブデータの有効性を確認~

阪神高速道路株式会社注1、以下「阪神高速」)と株式会社富士通交通・道路データサービス注2、以下「FTRD」)は、2015年3月から「交通ビッグデータの活用による社会価値創出に関する共同研究」を実施しています。

研究内容の1つである、「道路利用者の安全・安心・快適性向上等に寄与するGPSデータ等を用いた交通分析手法」に関する研究において、この度、商用車プローブデータ注3の有用性の研究成果がまとまりましたので、以下にその概要を発表致します。両社は、引き続き、IoT、交通ビッグデータを活用した交通分析手法の研究を推進し、「交通ビッグデータの活用による社会価値創出」を進めてまいります。

背景

阪神高速は、高速道路上に一定間隔で設置している車両検知器により交通状況を把握し、交通管制や渋滞対策・交通安全対策等に取り組んでいます。ここに自動車から得られるプローブ情報による交通状況の詳細な把握を組み合わせることで、お客さまの安全・安心・快適につながるより高度なサービスを提供することを目指し、2014年8月に交通ビッグデータの活用に関する共同研究の公募を行いました。

一方、FTRDは、日本全国を通行する貨物トラックのうち約9万台注4に装着されている、富士通株式会社注5のグループ会社である株式会社トランストロン注6製ネットワーク型デジタルタコグラフから収集・蓄積される走行実績データを基に、商用車プローブデータサービスを2014年7月から開始し、都市高速におけるプローブデータの社会的価値創出・有用性を研究・検討している中、IoT、交通ビッグデータの活用に積極的な取り組み姿勢を示されている阪神高速の公募案件に応募しました。

FTRDは、「デジタコ・クラウド型運行管理システム」に基づく質の高い「商用車プローブデータ」に関する一連の事業を展開しており、上記共同研究の遂行に必要なデータと体制を備えた企業であることが評価され、2015年3月より共同研究を実施するに至りました。

共同研究の内容

  1. 研究期間 : 2015年3月開始~研究継続中
  2. 研究内容 : 
    (1) 道路利用者の安全・安心・快適性向上等に寄与するGPSデータ等を用いた交通分析手法に関する研究 
    (2) 道路利用者の走行環境の改善等に寄与する車両挙動データ等の詳細プローブデータを用いた交通分析手法に関する研究 
    (3) 利用者の意識・ニーズの的確な把握に寄与するプローブシステムと連動した調査手法に関する研究 
    (4) 道路利用者の安全・安心・快適性の向上に寄与するオンラインデータの合理的な活用方法に関する研究 
    (5) 交通ビッグデータの活用による道路利用者等への社会的価値創出に関する研究

研究成果について

上記の研究内容の(1)について、商用車プローブデータの有用性の研究成果がまとまりました。

研究成果の一部を紹介します。

成果①: 高速道路における逆走要因の抽出

近年社会問題化している高速道路の逆走に対しては、逆走につながる「高速道路への進入間違い」を防止することが重要である。プローブデータを分析することで、問題のある車両の挙動を抽出、把握する手法を開発し、高速道路入口案内の充実に向けた対策の着眼点を示すことが可能となった。

<図①>逆走事例の分析イメージ

<図①>逆走事例の分析イメージ

成果②: 情報提供の高度化に向けた取り組み

最適な情報提供のあり方を検討する目的として、文字情報板での表示内容や表示方法がドライバーに与える影響を把握すべく、走行車両の挙動変化を分析した。プローブデータの活用により、高速道路本線上の文字情報板にて注意喚起情報を表示した場合、その通過直後に走行速度が低下する傾向が確認できた。結果、文字情報板の情報提供による走行安全性向上のための着眼点を整理することができた。

<図②>「落下物注意」の情報板通過後は減速、落下物通過時は減速したままの速度で走行した。

<図②>「落下物注意」の情報板通過後は減速、落下物通過時は減速したままの速度で走行した。

成果③: 大規模補修工事の交通影響分析

工事回数の削減および工事自体の効率化を図るため、阪神高速では10日間程度の通行止めを伴う大規模補修工事を定期的に実施してきている。今後このような工事による交通影響を最小限に留めるため、過去の事例分析を行った。車両ID付の経路データを活用することで、大規模補修工事による交通影響をこれまでより面的かつ経時的に把握でき、また出発時刻や到着時刻の変化などのこれまで把握が困難だった内容を把握できることを示すことができた。

<図③>工事前と工事後の高速道路の平均速度(同8時台)。工事の影響を面的に把握できた。

<図③>工事前と工事後の高速道路の平均速度(同8時台)。工事の影響を面的に把握できた。

成果④: 速度分布の活用可能性検討

快適性および安全性確保のため、阪神高速ではこれまで顕在化した自然渋滞発生箇所や交通事故対策箇所を中心とした対策を実施してきた。さらなる快適性および安全性向上を目的とした潜在要因抽出のため、自由流における速度分布状況を把握し、その活用可能性に関する事例分析を行った。1秒単位のドットデータを活用して短区間ごとの速度分布を分析することで、速度超過しやすい箇所や道路線形等では説明できない速度低下箇所の抽出、速度抑制対策の効果把握が可能となった。

<図④>急カーブの舗装・継手補修、注意看板設置により走行性が向上(90パーセンタイル値が低下)

<図④>急カーブの舗装・継手補修、注意看板設置により走行性が向上(90パーセンタイル値が低下)

注釈

(注1) 阪神高速道路株式会社: 本社 大阪市中央区久太郎町、代表取締役社長 幸 和範。

(注2) 株式会社富士通交通・道路データサービス: 本社 東京都港区、代表取締役社長 島田 孝司。

(注3) 商用車プローブデータ: トラックなどの貨物商用車に搭載したデジタルタコグラフから1秒間隔で集められる、

精緻な商用車の移動速度、位置、時刻、X軸・Y軸・Z軸の3方向の動きに対する加速度などのデータ。

(注4) 約9万台:2016年11月7日時点。

(注5) 富士通株式会社: 本社 東京都港区、代表取締役社長 田中 達也。

(注6) 株式会社トランストロン: 本社 神奈川県横浜市、代表取締役社長 大岡 信一。

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