ヤマトホールディングス/経常利益は前年比12・3%増(平成29年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)) 決算短信 2023.06.17 平成29年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結) 単位・百万円 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 29年3月期第2四半期 706,689 3.3 20,943 16.4 20,916 12.3 11,554 18.4 28年3月期第2四半期 683,785 1.6 18,000 △15.4 18,627 △16.6 9,759 △19.7 (注)包括利益 29年3月期第2四半期 8,787百万円 (10.3%) 28年3月期第2四半期 7,964百万円 (△38.7%) (1)連結経営成績に関する定性的情報 当第2四半期における経済環境は、企業業績は底堅さを維持し緩やかな回復基調を見せていますが、海外経済の減 速や円高の進行など先行きは引き続き不透明な状況が続いています。労働需給に関しても逼迫した状態が継続し、引 き続き厳しい経営環境となりました。このような環境の中、ヤマトグループは長期経営計画「DAN-TOTSU経 営計画2019」および中期経営計画「DAN-TOTSU3か年計画 STEP」の達成に向けて、高品質で効率 的な物流ネットワークの構築、また、グループの経営資源の融合による高付加価値モデルの創出に取り組みました。 デリバリー事業においては、「宅急便コンパクト」、「ネコポス」のご利用窓口拡大に取り組んだことに加え、通 販事業者様への拡販を進めたことなどにより、取扱数量が増加し、収益が好調に推移しました。 ノンデリバリー事業においては、グループ各社の強みを活かした既存サービスの拡充に取り組むとともに、グルー プ横断的に連携してお客様の課題解決に当たるソリューション営業を積極的に推進しました。 (略) <ヤマトグループ全体としての取組み> ① ヤマトグループは、各事業が一体となって付加価値の高い事業モデルを創出し、日本経済の成長戦略と、国際 競争力の強化に貢献する「バリュー・ネットワーキング」構想を推進しています。また、事業の創出・成長の 基盤となる健全な企業風土の醸成に取り組んでいます。 ② 「バリュー・ネットワーキング」構想の推進に向けては、ヤマトグループのネットワークを活かした高付加価 値モデルの創出に取り組んでいます。国内外のお客様の様々なニーズに対応するために、既存のラストワンマ イルネットワークに加え、「羽田クロノゲート」、「厚木ゲートウェイ」、「沖縄国際物流ハブ」といった革 新的なネットワーク基盤を、より効果的に活用しています。9月には、ゲートウェイ間の多頻度幹線輸送を実 現し、付加価値の高いサービスを提供する「中部ゲートウェイ」を竣工し、10月より稼働を開始しました。 ③ 健全な企業風土の醸成に向けては、引き続き輸送体制の整備やITによる業務量の見える化など、業務の効率 性・信頼性を向上させる施策を推進するとともに、改めて社員教育を徹底し、お客様との約束を守る体制の構 築に重点的に取り組みました。さらに、環境施策や安全施策、地域社会の活性化に向けた取組みなど、ヤマト グループの事業活動に結びついたCSR活動を積極的に推進しました。 ④ 海外市場に対しては、ASEANを中心とした日本・東アジア・欧州・米州の5極間でのクロスボーダー輸送活発 化に向け、地域間の連携と各地域の機能強化に取り組みました。8月には、タイ国内で同国企業と宅急便事業 を行う合弁会社設立に合意したことに加え、マレーシアを本拠地とするクロスボーダー陸上幹線輸送会社の買 収に合意するなどASEAN市場におけるクロスボーダー・ネットワークの構築を積極的に推進しました。 ⑤ 通販市場を中心としたお客様の利便性向上に向けては、駅などを中心にオープン型宅配ロッカーネットワーク の構築を始めるなど、手軽に荷物を受け取れる環境の整備に取り組みました。 ⑥ 労働需給の逼迫などの外的なコスト環境の悪化に対しては、業務量に連動したコスト管理を徹底するととも に、生産性向上施策の推進など、コストリダクションへの取組みを積極的に行いました。 <事業フォーメーション別の概況> ○デリバリー事業 (略) ① デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便 を中心とした事業の展開に取り組んでいます。 ② 成長が見込まれる通販市場に対しては、小さな荷物をリーズナブルな料金で手軽に送ることができる「宅急便 コンパクト」、「ネコポス」の拡販を進めるとともに、複数のフリマサイトと連携し、発送窓口拡大を進める など、ご利用されるお客様の利便性向上に取り組みました。また、無料の会員制サービス「クロネコメンバー ズ」にお客様が自分の受け取りやすい日時をあらかじめ登録できる新機能「Myカレンダーサービス」を追加 し、お客様の受け取り利便性向上に取り組みました。 ③ 法人のお客様については、お客様の経営課題を的確に把握し、その課題に沿ったソリューション提案を積極的 に推進しました。また、グループの経営資源を活用した付加価値の高い提案を行い、収益性の向上に取り組み ました。 ④ 地域活性化に向けた事業としては、複数の自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者見守りなど、 住民へのサービス向上に取り組みました。また、農水産物をはじめとする生鮮品を鮮度を保ったままスピーデ ィーにアジア圏へ配送することで、地域産品の販売拡大を支援するなど、地元産業の活性化につながる取組み を推進しました。 ⑤ 営業収益は、引き続き通販事業者様への拡販を進めたことや、「宅急便コンパクト」、「ネコポス」のご利用 拡大に取り組んだことなどにより、取扱数量が増加し5,548億49百万円となり、前年同期に比べ4.0%増加しま した。営業利益は70億5百万円となり、前年同期に比べ68.1%増加しました。 ○BIZ-ロジ事業 ① BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・ リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物 流システムを提供しています。 ② 通販業界等に向けたサービスとしては、お客様のご要望に応じて、受発注処理から在庫の可視化、スピード出 荷などの多様な物流支援サービスをワンストップで提供しています。当第2四半期においては、前期から新し く取り組んだ企業間物流関連サービスの取扱いが増加したことなどにより、収益が好調に推移しました。 ③ メディカル事業者様に向けたサービスとしては、医療機器のローナー支援(保管・洗浄・配送)をはじめとす る、物流改革の支援サービスを展開しています。当第2四半期においては、既存のお客様を中心にご利用が拡 大し、収益が堅調に推移しました。 ④ 営業収益は、企業間物流関連サービスは好調であったものの、海外関連事業の伸び悩みやリコール案件の減少 などにより519億63百万円となり、前年同期に比べ4.7%減少しました。営業利益は、21億48百万円となり、前 年同期に比べ18.3%減少しました。 ○ホームコンビニエンス事業 ① ホームコンビニエンス事業は、お客様の便利で快適な生活の実現に向けて、ヤマトグループの全国ネットワー クを活用し、生涯生活支援事業や法人活動支援事業に取り組んでいます。 ② 個人のお客様に向けては、大型家具・家電の配送サービス「らくらく家財宅急便」や引越関連サービスなど、 日々の生活を支援するサービスを展開しています。当第2四半期においては、お部屋の清掃や整理収納、不用 品の買取りなど日常のお困りごとを解消する「快適生活サポートサービス」の拡販を積極的に推進しました。 ③ 法人のお客様に向けては、ヤマトグループと工事会社のネットワークを融合し、住宅設備などの配送・設置か ら工事・保守までをワンストップで提供する「テクニカルネットワーク事業」をはじめとする事業支援サービ スを展開しています。当第2四半期においては、産直品などの調達サービスやオフィスサポートサービスの拡 販に積極的に取り組みました。 ④ 営業収益は、快適生活サポートサービスや調達サービスの利用が好調に推移したことなどにより234億74百万 円となり、前年同期に比べ0.7%増加しました。利益面では、前期の高収益なスポット案件などによる増益分 を補うには至らず、営業損失は10百万円となりました。 ○e-ビジネス事業 ① e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、 決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に行っています。また、グループの 事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進しています。 ② 商品の受注・出荷業務を支援するサービスとしては、出荷情報の処理や伝票印字、荷物追跡などの業務を包括 的にサポートする「Web出荷コントロールサービス」を提供しています。当第2四半期においては、通販市場 の成長などを背景に、既存大口のお客様を中心にサービスのご利用が拡大しました。 ③ 通信機器事業者様など、製品の個体管理を必要とするお客様に向けては、シリアル入出庫管理、在庫管理など の情報機能に、製品へのデータの落し込みや一部加工などのサービスを合わせて提供する「セットアップ・ロ ジソリューション事業」を展開しています。当第2四半期においては、これまで培ってきたセットアップ技術 と物流ノウハウを活用し、家庭用ロボットをはじめとしたIoT関連機器事業者様への販売を開始しました。 ④ 営業収益は、「セットアップ・ロジソリューション事業」における取扱いが拡大したことなどにより218億43 百万円となり、前年同期に比べ4.4%増加しました。営業利益は42億90百万円となり、前年同期に比べ10.8% 増加しました。 ○フィナンシャル事業 ① フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済、および車両のリースなど、お客様の様々なニー ズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。 ② 決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス「ク ロネコwebコレクト」や、電子マネー決済機能の利用拡大を推進しています。当第2四半期においては、「宅 急便コレクト」をご利用のお客様に対し、「クロネコwebコレクト」、「クロネコ代金後払いサービス」のご 利用を促進し、お客様に幅広い決済サービスを提供するとともに、収益性の向上に取り組みました。また、電 子マネー関連サービスについては、引き続き「マルチ電子マネー決済端末」のレンタルサービスの拡販に取り 組みました。 ③ リース事業では、トラックを中心としたファイナンス・リースや割賦販売が順調に推移するとともに、車両の 紹介や売却サポートなどの周辺業務を展開し、車両に関するトータルソリューション提案を推進しました。 ④ 営業収益は、リース事業が順調に推移したことなどにより376億7百万円となり、前年同期に比べ8.1%増加し ました。利益面では、主力の「宅急便コレクト」の取扱いが伸び悩んだことなどにより38億76百万円となり、 前年同期に比べ8.4%減少しました。 ○オートワークス事業 ① オートワークス事業は、物流・流通事業者様へ「車両整備における利便性の向上」、「整備費用の削減」とい う価値を提供するため、「24時間365日営業・お客様の稼働を止めないサービス」を展開しています。さら に、「物流施設、設備機器の維持保全や職場環境改善」や、これらの資産を対象に「お客様のリスクマネジメ ントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の事業運営に係るワンストップサービス を実現しています。 ② 当第2四半期においては、定期的にお客様のもとへ訪問する「リペアワークス」の営業を積極的に行うなど、 取扱いの拡大に向け取り組みました。 ③ 営業収益は、燃料販売単価下落の影響などにより124億5百万円となり、前年同期に比べ3.0%減少しました。 営業利益は19億96百万円となり、前年同期に比べ1.6%減少しました。 ○その他 ① 「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客 様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当第2四半期においては、既存の サービスに加え、クールなどのオプションサービスが好調であったことにより、ご利用が着実に拡大しまし た。 ② その他の営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて10億 63百万円となり、前年同期に比べ10.6%増加しました。 <CSRの取組み> ① ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しています。当第2四半期に おいては、海外の宅急便事業会社を含めたグループ全体で「事故ゼロ運動」を実施し、全社の安全意識の向上 に取り組みました。また、子どもたちに交通安全の大切さを伝える「こども交通安全教室」を平成10年より継 続して全国の保育所・幼稚園・小学校などで開催しており、累計参加人数は約292万人となりました。 ② ヤマトグループは、環境保護活動を「ネコロジー」と総称し、環境に優しい物流の仕組みづくりに取り組んで います。また、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を平成17年 より継続して全国各地で開催しており、累計参加人数は約23万人となりました。 ③ ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主 的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パンの製造・販売を 営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必 要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っていま す。 ④ ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティン グ・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当第2四半期 においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域におけるバス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生 活サービス向上を目的とする「客貨混載」を岩手県、宮崎県に続き北海道の路線バスで開始しました。また、 全国各地で高齢者の見守り支援や観光支援、産物の販路拡大支援など、引き続きヤマトグループの経営資源を 活用した地域活性化や課題解決に取り組み、行政と連携した案件数の累計は1,841件となりました。 (略)