キャセイパシフィック航空/貨物事業による売上高は前年同期比17・2%減(2016年度上半期決算) 決算短信 2023.06.17 キャセイパシフィック航空 2016年度上半期決算を発表 2016年08月17日 2016年上半期 2015年上半期 前年同期比 総売上高 百万香港ドル 45,683 50,388 -9.3% 純利益 百万香港ドル 353 1,972 -82.1% 一株あたり利益 香港セント 9.0 50.1 -82.0% 一株あたり配当金 香港ドル 0.05 0.26 -80.8% キャセイパシフィック航空グループは本日、2016年度上半期(2016年1〜6月)決算での純利益が3億5300万香港ドル(1香港ドル=約12.9円)となったことを発表しました。前年同期の純利益は19億7200万香港ドルでした。一株あたりの利益は前年同期の50.1香港セントから9.0香港セントとなりました。 2016年度上半期における事業環境は景気の弱含みや極めて厳しい競争に影響を受ける格好となりました。燃油サーチャージの適用停止や一部の市場における通貨安、長距離路線で顕著な上級クラスでの旅客需要の低迷、香港を経由する乗り継ぎ客の割合の増加などによって、収益が圧迫される状況が続きました。これら全ての要因は同グループの業績に影響を与えました。なお、子会社や関連会社からの業績貢献は増えました。 旅客事業 キャセイパシフィック航空グループの旅客事業による2016年度上半期の売上高は前年同期比7.8%減の334億1300万香港ドルとなりました。新路線の開設と既存路線での増便によって供給座席数は4.2%増となる一方、座席占有率は1.4ポイント下がって84.5%にとどまりました。このところ原油価格は上昇基調にあるものの、今年2月から続く燃油サーチャージの適用停止が売上へのマイナス要因となりました。旅客利用距離当たりの収入(旅客1人を1キロメートル輸送することで得る収入)も燃油サーチャージの適用停止や競争激化、不利に働いた為替の動きなどが押し下げ要因となって10.1%減の54.3香港セントとなりました。 また長距離路線を中心とした企業による上級クラスでの業務渡航が大幅に減少しました。長距離路線での供給座席数は4.7%増強されたものの、売上は前年同期を下回る結果となりました。 貨物事業 2016年上半期におけるキャセイパシフィック航空グループの貨物事業による売上高は前年同期比17.2%減の94億1500万香港ドルとなりました。キャセイパシフィック航空と香港ドラゴン航空を合わせた貨物輸送能力は0.6%増となる一方で、貨物占有率は前年同期を1.9ポイント下回る62.2%にとどまり、輸送貨物重量も0.2%減少しました。2016年度上半期における航空貨物市場は、第2四半期に入って重量の面で安定したものの全体としては低迷が続きました。 貨物利用距離当たりの収入(貨物1トンを1キロメートル輸送することで得る収入)は厳しい競争環境と業界全体での輸送能力の過多、今年4月からの燃油サーチャージの適用停止などの影響で17.6%減の1.59香港ドルとなりました。貨物需要は欧州路線で低迷が続くとともに太平洋路線でも弱まりましたが、インド路線は需要の拡大が見られた数少ない路線のひとつに挙げられています。グループでは貨物専用機の輸送能力を需要に応じて調整しており、旅客機の胴体下部に備わるスペースを活用した貨物輸送の割合を増やしました。 コスト キャセイパシフィック航空と香港ドラゴン航空の燃料費(燃料ヘッジによる影響を除く)は、第2四半期に入って原油価格が上昇したものの、前年同期から40億2300万香港ドル(31.9%相当)減少しました。平均価格は33.3%減少しましたが、消費量が2.0%増加したことで、価格減少分の一部が相殺される結果となりました。燃料費がキャセイパシフィック航空グループの最大コスト要因であることに変わりはなく、2016年度上半期の営業コスト全体の29.1%を占めています(前年同期は34.2%)。また原油価格の下落による恩恵の一部は燃料ヘッジで生じた損失と相殺され、ヘッジによる損失を加味した燃料費は前年同期を33億6000万香港ドル(20.2%相当)下回るにとどまりました。 香港国際空港の混雑と汎中国圏の航空管制による規制は依然としてコストの押し上げ要因となっています。同グループでは運航の信頼性を改善するために、より多くのことに注力しています。 業務効率の向上によって、2016年度上半期における燃料費を除いたコストの上昇は、輸送能力増強に伴うコストの上昇分を下回りました。燃料費を除いた有効貨物トンキロあたりのコストは0.5%減少しました。弱含みで推移する売上高に呼応する形で、同グループでは運航業務とは直接関わらない部門でのコスト削減に着手しています。生産性や支出の見直しを進めるとともに、運航には影響が及ばない業務スタッフの欠員補充と新規採用を停止し、必須ではない経費に制限を加えています。このように短期的な対策を進める一方で、長期的成長を見据えた投資を継続しています。 ネットワーク キャセイパシフィック航空はマドリードへの旅客便の運航を今年6月に開始しており、同路線は好調に推移しています。また9月には最新鋭のエアバスA350-900XWB型機によるロンドン・ガトウィック空港への旅客便も就航しロンドン線が一層増強されます。今年2月に運航を中止した香港/ドーハ線は、カタール航空とのコードシェアによりサービスを継続しています。2016年度上半期において、香港ドラゴン航空は新たな路線を開設していませんが、香港とダナン、ペナン、温州、武漢の各都市を結ぶ路線を増便し、クラーク線とコタキナバル線を減便しています。また同グループの貨物専用便によるネットワークは上半期には変更はなかったものの、今年11月にはキャセイパシフィック航空がポートランドへの貨物専用便を就航します。グループでは需要に応じながら貨物専用便による輸送能力の調整を図りました。 運航機材 キャセイパシフィック航空は今年5月に1機目のエアバスA350-900XWB型機を受領しました。2機目の受領も7月に終え、8月には3機目を受領しています。年末までには同型機をさらに9機受領する予定となっています。優れた燃料効率を誇るエアバスA350-900XWB型機は、グループが求める航続距離、座席数、経済性を兼ね備えた最新鋭機です。 2016年度上半期にキャセイパシフィック航空は2機のエアバスA340-300型機を退役させました。さらに同型機1機が今年の下半期に退役し、残る4機の同型機についても2017年末までに全て退役させることになります。またボーイング747-400型旅客機については残る3機が今年10月までに退役を迎えます。ボーイング747-400F貨物専用機については今年7月に1機をボーイング社へ引き渡し、8月には同型のもう1機を、そして残る2機の同型機も8月と9月にボーイング社への引き渡しを完了します。またキャセイパシフィック航空はボーイング747-8F型貨物専用機の発注済み分の最後の1機を8月に受領しています。 プロダクト 新たに受領したエアバスA350-900XWB型機では最新の客室設備と座席、機内エンターテイメントシステムを配備するとともに、携帯機器の利用客向けに機内Wi-Fiサービスを提供しています。またキャセイパシフィック航空グループでは今年5月にバンクーバーに新ラウンジを開設し、6月には香港国際空港の「ザ・ピア」ビジネスクラスラウンジをリニューアルオープンしました。同空港の「The G16」ラウンジは改装工事のため7月に閉鎖され、2017年の第2四半期にリニューアルオープンします。またロンドン・ヒースロー空港でもグループの新しいファーストおよびビジネスクラスラウンジを2016年の第3四半期に開設します。 同グループでは今年1月、キャセイパシフィック航空とのブランドの一体感を高めるために、香港ドラゴン航空のブランド名称をキャセイドラゴン航空へと変更することを発表しました。新しいデザインが施されたキャセイドラゴン航空の初号機は今年4月に披露され、運航を開始しています。 今後の見通し キャセイパシフィック航空のジョン・スローサー会長は「今年は下半期も、上半期からのマイナス要因の影響が続き、私どものビジネスは全般的に厳しい状況が予想されます。旅客単価には下押し圧力が続くとともに、貨物需要も業界全体における輸送能力の過多と弱含みの経済によって影響を受けることになるでしょう。今年に入って原油価格は上昇していますが、以前と比べるとまだ低い水準にあります。原油価格の低下による恩恵の一部は燃料ヘッジでの損失と相殺される状況が続き、燃油サーチャージの適用停止も続きます。こういった厳しい状況の中でも、私どもは輸送能力を調整しながら、さらなる運航効率の改善とコスト管理を継続してまいります。」 「キャセイパシフィック航空グループの戦略的目標は、長期にわたって持続的に株主への価値を高めていくことにあります。このために燃料効率の高い最新鋭機の導入を進めるとともに、ネットワークの拡充、高水準な乗客サービスの提供に尽力してまいります。また中国国際航空との戦略的パートナーシップについても引き続き発展させていきます。今年創立70周年を迎えるに際して、私どもは香港の成長に揺るぎない自信を抱いており、アジアの主要な航空輸送拠点としての香港の地位を高めていくために長期的な戦略投資を続けてまいります」と述べています。