商船三井/経常利益は前年比29・3%減(平成28年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)) 決算短信 2023.06.17 平成28年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 単位・百万円 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 28年3月期 1,712,222 △5.8 2,323 △86.5 36,267 △29.3 △170,447 - 27年3月期 1,817,069 5.1 17,249 △58.0 51,330 △6.6 42,356 △26.2 (注)包括利益 28年3月期 △231,698百万円 (-%) 27年3月期 122,990百万円 (△20.4%) (略) ①業績 (略) 当期における世界経済は、米国やユーロ圏等の先進国では概ね緩やかな回復が続きましたが、インド等の一部を除 き、新興国の多くは減速傾向を辿りました。米国では、昨年後半より一部減速の兆しも見られましたが、雇用や所得 環境の改善を背景とした堅調な個人消費等に支えられ、期を通しては緩やかな回復基調を持続しました。欧州では、 足元で輸出が弱含む傾向が見られるものの、堅調な個人消費や冬場の建設投資増加等を背景に、景気は緩やかな回復 基調を辿りました。中国では、個人消費が比較的堅調な伸びを示しつつも、期初より続いた固定資産投資の鈍化や輸 出の不振等により、景気減速傾向が続きました。わが国では、7-9月期に一旦プラス成長に転じたものの、輸出や 個人消費の伸び悩み等により10-12月期には再びマイナス成長となり、景気回復の足踏み状態が続きました。 海運市況のうち、ドライバルク船市況は、中国による鉄鉱石輸入の伸びの減退や石炭輸入の減少等により、低調に 推移しました。夏場に一旦上昇したケープサイズ市況も、その後は中国の景気減速傾向と市況センチメントの悪化等 から下落基調を辿り、冬場には全船型で記録的な低水準に下落しました。一方、原油船については、原油安による実 需の伸びや中国における戦略備蓄需要の増加を背景に、季節的な変動を経つつも、当期の平均市況は前期の水準を上 回りました。コンテナ船市況は、アジア発欧州・南米向けを中心とした荷動きの低迷と大型船の竣工等の影響によ り、各航路とも極めて低調に推移しました。 当期の対ドル平均為替レートは、前期比12.28/US$円安の120.62/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価 格平均は、前期比US$238/MT下落しUS$265/MTとなりました。 以上の結果、当期の業績につきましては、売上高1兆7,122億円、営業利益23億円、経常利益362億円となりまし た。親会社株主に帰属する当期純損益は、第4四半期連結会計期間において構造改革費用を計上したこと等により、 △1,704億円となりました。 セグメント毎の売上高及びセグメント損益(経常損益)、それらの対前期比較及び概況は以下の通りです。 (略) (A) 不定期専用船事業 <ドライバルク船> ケープサイズ市況は、6月中頃まで平均5千ドル台/日と低調に推移しましたが、年初より解撤が進む中、遠距離 ソースであるブラジル出し鉄鉱石出荷量も6月以降伸びたことから上昇に転じ、8月には2万ドル台/日まで回復し ました。しかし、その後は中国の景気減速傾向が続いたことに加え、鉄鉱石等のコモディティ市況やFFA(運賃先物 取引)の低迷を背景とするセンチメントの悪化もあり、通期平均では7千ドル台/日と厳しい市況環境となりまし た。パナマックス船型以下の中小型船についても、新造船の供給圧力が根強い中、中国の景気減速に伴う石炭輸入量 の減少等もあり船腹余剰感が解消されず、市況は低調に推移しました。 このような市況環境下、ドライバルク船部門は、鉄鋼原料船、木材チップ船、電力炭船等の長期固定型運賃契約に より一定の利益を確保したことに加え、運航効率改善やコスト削減にも引き続き努めたものの、前期比で損益は大幅 に悪化し、当期において損失を計上しました。 <油送船・LNG船> 原油船市況は、原油安による実需の伸びや中国における戦略備蓄需要の増加により海上輸送需要が活発となり、7 月末まで高水準で推移しました。その後夏場の不需要期の影響等により一旦下落したものの、10月以降、冬場の需要 期を迎えたことで再び上昇しました。この結果、当期の平均市況は前期の水準を上回りました。石油製品船市況は、 原油安や中東における製油所の生産拡張に加え、北米ドライブシーズンにおけるガソリン需要増加等により船腹需給 が引き締まり、夏場までは堅調に推移しました。秋口以降、アジア域の一部製油所が冬場の生産に備えた定期修繕に 入ったこと、ナイジェリアの輸入補助金削減に伴う石油製品輸入の減少、暖冬による灯油需要の減退といった理由に より、市況は軟化しましたが、通期平均では前期を上回る水準で推移しました。 このような市況環境下、油送船部門は、プール運航による運航効率改善やコスト削減にも継続して努めた結果、前 期比で大幅な増益となりました。 LNG船市況は、新規プロジェクトの立ち上がりにより海上荷動きが微増となったものの、依然として新造船の供給 圧力が強く、総じて低調に推移しました。このような市況下においても、LNG船部門では長期輸送契約による安定収 益を引き続き確保し、前期比で増益となりました。 <自動車船> 自動車船部門については、好調な経済が続く米国向けの完成車輸送が堅調に推移しました。一方、原油価格下落等 により経済不振に陥った一部資源国・新興国向けの輸送が落ち込んだ結果、トレードパターンの変化に対応した運航 効率改善に取り組んだものの、前期比で減益となりました。 (B) コンテナ船事業 北米航路においては、アジアからの荷動きに関しては総じて堅調に推移したものの、船腹供給の増により需給バラ ンスが緩み、運賃市況は西岸、東岸向けとも大きく下落しました。欧州航路においては、アジアからの荷動きが大き く低迷、減便による供給スペースの削減に努めたものの需給ギャップは縮まらず、運賃市況は期を通して記録的な安 値水準にて推移しました。南米航路においては、アジアから南米東岸向けの荷動きがブラジルの景気後退等により急 減、運賃市況は欧州向け同様記録的な安値水準にて推移しました。アジア域内航路においても荷動きは伸び悩み、運 賃市況は低迷しました。このような事業環境下、各航路において様々な合理化策を実施し運航コスト及び供給スペー スの削減に努めましたが、前期比で損失が拡大しました。 (C) フェリー・内航事業 フェリー事業においては、商船三井フェリー㈱の大洗~苫小牧航路就航船が、昨年7月末に発生した車輛甲板火災 事故からの復旧工事の為休航していた影響で、旅客及び貨物輸送量が減少しました。その他の航路については、旅 客、貨物輸送量共に堅調に推移しました。内航事業においては、在庫調整が続いていることなどの影響で鋼材の輸送 量が軟調に推移しました。その結果、フェリー・内航事業全体では、前期比では減収となったものの、燃料油価格の 低下等にも支えられ、前期とほぼ同水準の利益を確保しました。 (D) 関連事業 客船事業では、にっぽん丸において堅調な集客を続け、損益を改善させました。不動産事業においては、首都圏を 中心に堅調な賃貸オフィスマーケットに支えられ、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル㈱は安定的な売 上を維持しましたが、昨年3月に竣工した新ダイビルに関する一時費用の増加等により、前期比で減益となりまし た。燃料油価格下落により商社事業の売上が減少、また、一部の土木事業において採算が悪化した一方、曳船等の業 績は総じて堅調に推移しました。これらの結果、関連事業セグメント全体では前期比で減益となりました。 ( E) その他 主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業、造船業などがあります が、前期比では減益となりました。 ②次期の見通し (略) 次期における世界経済は、緩慢ながらも引き続き回復基調を辿ると予想しておりますが、米国の利上げペース見直 しや中国の想定以上の減速といったリスクもあり、予断を許さぬ状況が続くと見ております。先進国では、緩和的な 金融環境等を背景に内需中心の緩やかな景気回復が続くと想定しております。新興国では、インドを始めとする一部 の国・地域が力強い成長を見せる一方で、中国は引き続き減速する傾向にあるなど、成長を維持しつつもまだら模様 の状況が続くと見込んでおります。 ドライバルク船市況については、世界的な粗鋼生産量の落ち込みにより鉄鉱石海上荷動きの増加が見込まれず、中 国の石炭輸入量の更なる減少等も予想される中、引き続き船腹供給が進むことから、厳しい状況が続くと想定してお ります。原油船市況は、中国やインドを中心とする原油輸入量の増加等を背景に海上輸送量は微増となるものの、新 造船竣工隻数の増加により船腹需給ギャップが拡大し、調整局面を迎えると見込んでおります。石油製品船市況につ いては、太平洋域を中心に比較的堅調な荷動きを見込むものの、新造船供給圧力の増加により船腹需給が緩む可能性 もあり、楽観視できない状況が続くと想定しております。コンテナ船については、アジアから北米向け荷動きは比較 的好調な米国経済に支えられ引き続き堅調に推移すると見込むものの、足元のスポット運賃市況の低迷に伴い、長期 契約運賃の更改においても船社間の競争激化が予想されます。欧州航路においては、欧州における過剰在庫の解消時期が不透明であることから、夏場の需要期までは引き続きアジアからの荷動きが低迷する恐れがあります。南米航路 に関しては、様々な合理化策により航路損益は改善に向かうものの、荷動きは引き続き低迷する恐れがあり、厳しい 市況環境を想定しております。 かかる見通しのもと、当社は、運航効率の改善等によるコスト削減の深度化、顧客ニーズに応えた部門横断的かつ グローバルな営業力の強化、そしてドライバルク船事業及びコンテナ船事業における構造改革の着実な実行を通じ、 損益の回復を図ります。通期の連結業績見通しについては、売上高1兆5,160億円、営業利益30億円、経常利益200億 円、親会社株主に帰属する当期純利益200億円を予想しております。 (略)