コラム

費用、選び方を徹底解説!ECフルフィルメント・倉庫委託導入ガイド

EC事業が成長する中、効率的な物流・倉庫管理は成功の鍵となっています。本記事では、ECフルフィルメントや倉庫委託について、導入のメリットや費用感、業者選びのポイントを交えながら解説します。自社に最適な解決策を見つけ、競争力を高めましょう。

  • ホーム
  • コラム
  • 費用、選び方を徹底解説!ECフルフィルメント・倉庫委託導入ガイド

目次

  1. ECフルフィルメントとは?物流の役割を再確認
  2. フルフィルメントの定義と範囲
  3. ECの倉庫運営と物流の関係性
  4. ECフルフィルメントは内製か倉庫委託か?それぞれのメリット・デメリット
  5. それぞれの違いを比較
  6. ECフルフィルメント・倉庫委託の費用
  7. 倉庫委託の主な費用項目
  8. 倉庫委託業者の選び方
  9. 倉庫委託の導入プロセスと注意点
  10. 初期設定から稼働までの流れ
  11. まとめ

ECフルフィルメントとは?物流の役割を再確認

急成長するEC業界では、商品を確実かつ迅速に届けることが競争力の一部となっています。この背景で注目されているのが「フルフィルメント」という概念です。まずは、フルフィルメントの定義や範囲、そして物流の役割について詳しく解説します。

フルフィルメントの定義と範囲

フルフィルメントとは、EC事業における「受注から配送までの一連の業務」を指します。具体的には、以下のようなプロセスが含まれます。

受注処理:顧客からの注文情報を処理
在庫管理:倉庫内の商品・数量を管理
ピッキング・梱包:注文内容に基づき商品を準備
配送手配:顧客へ商品を届けるための発送手続き
返品・交換:商品の返品や交換の管理
顧客対応:顧客からの問い合わせ対応や顧客への連絡

これらの業務を一元的に管理することで、顧客満足度の向上と業務効率化を実現します。

ECビジネスにおけるフルフィルメントの重要性

EC事業において、フルフィルメントは「顧客体験」を左右する重要なポイントです。
例えば、迅速な配送や正確な注文処理は、顧客満足度やサービスへの信頼度を高め、リピート購入率の向上にも影響するでしょう。一方で、これが適切に管理されていない場合、以下の課題が生じる可能性があります。

・配送遅延による顧客クレームの増加
・在庫不足や過剰在庫の発生
・業務過多による従業員の負担増加


そのため、多くのEC事業者は効率的なフルフィルメント体制構築のために、プラットフォームに付帯するロジスティクスサービスやECや通販に特化した物流倉庫など、外部委託を検討・活用しています。

ECの倉庫運営と物流の関係性

フルフィルメント業務の中心には、「倉庫運営」と「物流」の二つが存在します。これらは密接に関連しており、一方が機能しなければ全体の効率が低下します。

・倉庫運営:商品を保管し、注文ごとに迅速かつ正確にピッキングや梱包を行う場所。効率的な運営にはWMS(倉庫管理システム)の活用が不可欠です。
・配送:倉庫から顧客までの商品を届けるプロセス全般を指します。倉庫業者と配送業者の連携が重要です。

倉庫運営がスムーズであれば、物流プロセスも効率的に進みます。例えば、正確な在庫管理ができていると、受注後の商品ピッキングから出荷までの作業時間を短縮し、迅速に配送業者へ引き渡すことができます。配送遅延を防ぐには、適切な倉庫運営・管理が欠かせません。

ECフルフィルメントは内製か倉庫委託か?それぞれのメリット・デメリット

EC事業者がフルフィルメントを最適化するためには、内製するか外部の物流倉庫に委託するかを選択する必要があります。それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、事業規模や経営方針に応じた選択が重要です。このセクションでは、両者の特徴を詳しく解説し、比較します。

フルフィルメントを内製する場合

[メリット]
・業務の完全なコントロール

自社で全ての物流プロセスを管理できるため、柔軟な対応が可能です。例えば、急なプロモーションやカスタマイズされた梱包にも迅速に対応できます。
・独自の顧客体験を提供可能
ブランドイメージに合わせた梱包デザインやプロモーション同梱物を自由に設定できます。
・コストの透明性
初期投資は必要ですが、外部手数料が不要なため、長期的に見るとコストを抑えられる場合があります。

[デメリット]
・初期投資が高額

倉庫の確保、システムの導入、人員の採用などに多額の費用がかかります。
・運営負担の増加
在庫管理や配送業務など、多岐にわたる業務を自社で行うため、リソースが分散します。
・スケーラビリティの課題
事業拡大に伴い、設備や人材を拡張する必要があり、柔軟性に欠ける場合があります。

EC物流倉庫に委託する場合

[メリット]
・専門的な運営ノウハウを活用

フルフィルメントのプロが管理するため、効率的かつ正確な運営が可能です。
・スケーラビリティが高い
事業の成長に応じてサービスを拡張・縮小できるため、柔軟性があります。
・時間とリソースの節約
フルフィルメント業務を外部に任せることで、事業のコア業務に集中できます。

[デメリット]
・費用が高くなる可能性

サービス利用料がかかるため、売上規模によってはコスト負担が重くなる場合があります。
・柔軟性に制限
委託業者のルールやスケジュールに従う必要があるため、急な変更に対応しにくいことがあります。
・顧客体験の一部を業者に依存
自社ブランドのこだわりが委託先によって十分に反映されない場合があります。

それぞれの違いを比較

[選択のポイント]
フルフィルメントの内製と倉庫委託、どちらにもメリット・デメリットがあります。事業規模、経営計画、資金状況、ブランド戦略に応じて、決定すると良いでしょう。
事業が中小規模の場合や年間の出荷波動*が大きい場合には、外部への倉庫委託が適していることが多く、成熟し安定した事業の場合は、内製が適していることが多くなります。
それぞれの特性を理解し、自社に最適な選択をしましょう。
*波動=物流量・出荷量の増減による波のこと

ECフルフィルメント・倉庫委託の費用

倉庫委託を検討する際、気になるのは「費用」の問題でしょう。
委託することで得られるメリットがあっても、コストが見合わなければ、導入のハードルが高まります。見積項目は倉庫業者ごとに異なりますが、一例として、倉庫委託にかかる主な項目について解説します。

倉庫委託の主な費用項目

●初期費用
倉庫委託を開始する際に発生する費用です。初期費用は以下のような項目が想定されます。

・システム初期設定費用:WMS(倉庫管理システム)や在庫連携の初期設定
・契約手数料:契約開始時に発生する固定費用
・初回入庫費用:初回納品分の入庫・登録の費用

●月額費用
日々の倉庫運営に必要な基本料金として、月ごとに発生する費用です。

・保管料:倉庫内に商品を保管するためのスペース使用料(パレット単位や商品量に基づく)
・入庫料:補充商品の入庫・登録費用
・出荷作業費:ピッキング、梱包、出荷作業にかかる費用(作業量や出荷件数に応じた従量課金が多い)
・資材費:梱包時に使用する緩衝材、ペーパーバッグ、段ボールなど
・配送料:配送業者ごとの運賃
・システム利用料:倉庫管理システム(WMS)の利用料金
・業務管理費:倉庫スペース・業務マネジメント費用

●追加サービスのコスト
基本サービス以外のオプションやカスタマイズでかかる費用の例です。

・特別梱包:ギフト対応やブランド独自のパッケージング対応
・実地棚卸:棚卸作業
・返品対応:返品された商品の検品や再梱包作業
・深夜対応:夜間作業が発生した場合の費用

注意点

費用項目が統一ではないため、見積に提示されている項目内容を正確に理解する必要があります。自社の希望する内容を叶えられるかどうかを確認し、ニーズに合った委託プランを選択しましょう。

●費用変動要因
商品の種類やサイズ、出荷件数、委託範囲によって費用は大きく変動します。事前に複数業者から見積もりを取得した後、含まれる項目に差異はないか正しく比較することが重要です。
●契約内容の確認
費用に含まれる内容や追加料金の条件を明確にすることで、予期せぬコストの発生を防ぎます。

倉庫委託業者の選び方

EC物流倉庫との契約を開始したら、頻繁に委託先を変更することは現実的ではなく、一定期間はパートナーとして事業運営の一部を担ってもらうことになります。単純なコストだけではなく、自社の戦略や方針に合っているかどうか、希望するサービスを備えているか、など総合的に見て判断する必要があるでしょう。ここでは、コスト以外の重要なポイントを解説します。

取り扱い商品との相性

委託業者が、自社の商品特性に対応できるかを確認しましょう。

・商品サイズや重量:大型商品や軽量商品など、対応可能な範囲をチェック
・取り扱い条件:冷凍・冷蔵品、危険物、壊れやすい商品への対応
・保管環境:温度や湿度管理が必要な商品に適した倉庫設備の有無
・導入実績:同業他社や類似業界での取引実績

特に、特定の商品分野で実績がある業者なら、トラブルを未然に防ぐノウハウを持っている可能性が高いです。

システム連携可否、互換性

自社が使用しているECプラットフォーム(例:Amazon、楽天、Shopifyなど)とのシステム連携が可能かを確認することも重要です。

・WMSと他システムとの互換性:受注情報等、自動連携の可否
・マルチチャネル対応:複数プラットフォームでの注文管理
・定期購買やサブスクリプション対応:特殊な注文形式への対応力

システム連携がスムーズであれば、業務の手間の大幅削減やヒューマンエラーを回避できます。

セキュリティ対策

商品や顧客情報を安全に管理できるかを確認しましょう。

・倉庫内のセキュリティ:監視カメラや入退室管理システムの有無
・情報セキュリティ:注文データや顧客情報を保護する仕組み。
・認証取得:ISO9001(品質管理)やISO27001(情報セキュリティ)などの取得状況
・保険の有無:商品の破損や紛失に備えた保険の適用範囲

セキュリティがしっかりしている業者は、長期的なパートナーとして安心して任せられるでしょう。

立地と配送ネットワーク

倉庫の立地や配送網が、自社のターゲットエリアに適しているかを確認します。

・配送拠点:主要な市場や配送先までの距離
・配送指定:翌日配送や日時指定が可能か
・対応エリア:全国対応や海外発送の有無

サポート体制とサービスの拡張性

トラブル時の対応や日常的なサポート体制について確認しておきましょう。
サポート体制が整っている業者であれば、長期的なパートナーシップが構築しやすくなります。また、対応可能なサービスの範囲もあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

・担当者の配置:専任の担当者がつくか
・サポート窓口:問い合わせに迅速に対応してくれる体制があるか
・定期的な報告:業務状況やKPI(重要業績指標)のレポート提供があるか
・サービス領域:オプションで対応可能な内容のほか、受注処理・カスタマーサポート、ささげ、マーケティング支援など、周辺業務のサービス機能があるか

倉庫委託の導入プロセスと注意点

初期設定から稼働までの流れ

倉庫委託を導入する際の主なステップは以下の通りです。

●事前調査と業者選定
自社の物流ニーズ(商品特性、出荷頻度、対応エリア)を明確化。
業者の実績や提供サービス、料金体系を比較検討し、候補を絞り込みます。

●契約締結
サービス内容、料金体系、契約期間などを確認し、正式契約を結びます。

●システム連携と初期設定
WMS(倉庫管理システム)やOMS(受注管理システム)の連携作業。
SKU(在庫管理単位)の登録やバーコードの設定。

●商品入庫
倉庫への初回納品を実施。数量や状態を確認し、在庫データと照合します。

●テスト運用
実際の出荷プロセスをシミュレーションし、課題を洗い出します。
システムの精度や業務フローを最適化。

●本格稼働
テスト運用の結果を反映し、正式稼働を開始。
定期的なミーティングで運用状況を確認し、必要に応じて調整します。

契約時のチェックポイント

契約のチェックポイントには、以下のようなものがあります。
包括的な業務委託基本契約と、業務の範囲やサービスレベルを明示した作業範囲記述書(SOW)/サービスレベル合意書(SLA)など、業者によって準備する契約書が異なる場合があります。

●契約内容
・作業範囲
:基本業務(保管、ピッキング、梱包、配送)と追加業務(返品対応、ギフト包装など)
・サービスレベル:期間中の入庫件数、出荷件数の想定に対するリードタイムなど
・契約期間:スポット契約か長期契約かを明確化。自社の事業計画に合った期間を選択し、また、更新方法、解約の場合についても確認

●追加料金
・従量課金
:出荷件数や保管スペースに応じた費用の発生条件・見積単価
・オプション費用:ギフト包装や特別梱包などの追加サービスの料金
・解約手数料:解約申出の期間、早期解約のペナルティ
・トラブル対応:商品の破損や紛失時の対応方法と保証内容、システム障害や配送遅延が発生した際の連絡体制と解決手順など

まとめ

ECビジネスの拡大に伴い、フルフィルメントや物流業務の効率化が企業にとって重要な課題となっています。本ガイドでは、倉庫委託の基本から選び方、費用構造、導入プロセスまでを徹底解説しました。

ECフルフィルメントや倉庫委託の導入は、単なる業務効率化だけでなく、ビジネス成長の基盤を支える戦略的な選択です。この記事を参考に、自社に最適な業者を選び、物流の力で事業を次のステージへと進化させてください。透明性のある費用管理、慎重な業者選定、そして長期的なパートナーシップ構築が、成功へのカギとなるでしょう。

イー・ロジットでは、2000年設立から1700社を超えるクライアント企業に対し、通販のフルフィルメント・物流サービスを提供してまいりました。物流代行、受注処理代行、カスタマーサービスまで、ご希望内容にあわせて対応いたします。
詳細は、以下のサービスページをご覧ください。

関連リンク
ECフルフィルメントセンター・物流代行サービス

関連記事

Translate »