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  • 11月6日開催「現場人材から見る物流戦略」セミナーに向けて ~繁閑差と人材不足をどう乗り越えるか~

目次

  1. 繁閑差と人材不足をどう乗り越えるか
  2. 固定的な人員配置の限界
  3. “必要なときに必要なだけ”働く仕組み
  4. 人材確保から「人材設計」へ
  5. 現場を支える“柔軟なマネジメント”とは
  6. 持続可能な物流へ――課題解決の糸口を探る

繁閑差と人材不足をどう乗り越えるか

近年、物流の現場では「人が足りない」という言葉が当たり前のように聞かれるようになった。
2024年問題を境にドライバー不足が社会的に注目されたが、倉庫・構内作業の現場でも同様に人材難が深刻化している。
加えてECの拡大により、出荷量の波動――いわゆる“繁閑差”は年々大きくなっており、「ある日を境に仕事量が倍増する」現場も少なくない。

忙しい時に人がいない。
かといって閑散期に余剰人員を抱える余裕もない。
この矛盾が、いま多くの現場責任者を悩ませている。

固定的な人員配置の限界

これまで多くの物流現場は、常勤スタッフを中心とした“固定型の人員配置”を基本に運営してきた。
だがこのモデルは、出荷波動が激しく、採用が難しい現在の環境では機能しづらい。
繁忙期に合わせて人員を確保すれば、閑散期に稼働率が落ちる。
逆に必要最小限の人員で回せば、急な注文増に対応できない。

派遣社員の活用も一般的だが、調達リードタイムやコスト、契約条件の制約から、柔軟な即応性を持つとは言い難い。
結果として、「人件費を抑えたい経営」と「品質を守りたい現場」の間で板挟みになる管理者も多い。
採用活動だけでは、この構造的なギャップを埋めることは難しい。

“必要なときに必要なだけ”働く仕組み

こうした中で注目されているのが、スポットワークという新しい働き方だ。
1日単位、数時間単位からでも働ける仕組みを通じて、必要なときに必要な人数を確保できる。
シェアフルをはじめとするプラットフォームでは、登録者のスキルや勤務実績をもとに即時マッチングが可能で、現場に最適な人材を短時間で配置できるようになっている。

かつては「スポット=初心者」「教育コストが高い」というイメージもあったが、いまは大きく変化している。
AIによる適正マッチングや、稼働履歴を可視化する仕組みによって、短期間でも“即戦力”として立ち上がる人材が増えているのだ。
実際、イー・ロジットの現場でも、繁忙期だけでなく日常的にスポットワークを組み合わせることで、稼働効率を維持しながら品質を落とさない仕組みづくりが進んでいる。

人材確保から「人材設計」へ

人材不足という課題は、“雇用”という枠組みだけで捉えると解けない。
求められているのは「どの人を採るか」ではなく、「どのように人を組み合わせて働くか」という設計思想だ。
常勤社員、派遣社員、スポットワーカー、そして自動化設備――それぞれの特性を理解し、波動や工程に応じて最適に配置する。
それが、これからの物流現場における“人材設計”の考え方である。

この発想転換は、単にコスト最適化のためではない。
働く側にとっても、ライフスタイルやスキルに応じた柔軟な就業機会が増えることは大きな意義がある。
短時間勤務からキャリア形成につなげる例も増え、物流業界への新しい入口としても機能し始めている。
結果的に「離職しない職場」「多様な人が関わる現場」につながり、持続可能な労働環境づくりに寄与していく。



現場を支える“柔軟なマネジメント”とは

とはいえ、仕組みだけでは現場は動かない。
スポット人材を活かすには、受け入れ側のマネジメントも変わる必要がある。
初日の作業者が迷わない導線づくり、マニュアルや教育の簡素化、既存スタッフのサポート意識――これらが整って初めて、“誰でもすぐ働ける現場”になる。

つまり、柔軟な働き方を支えるのは、柔軟なマネジメントである。
「昨日と同じやり方でいいのか」を問い直し、作業や役割を日々アップデートする姿勢こそが、現場力を維持する鍵だ。
人を増やす前に、仕組みを変える。
この順序が、これからの現場には欠かせない。

持続可能な物流へ――課題解決の糸口を探る

繁閑差対応と人材不足。
この2つの課題は、今後の物流業界における根本テーマである。
だがその裏側には、“働き方の多様化”という希望も見え始めている。
現場とテクノロジー、正社員とスポットワーカー――これらをどう組み合わせ、どう機能させるか。

11月6日13時からの共催セミナーでは、イー・ロジットとシェアフルがそれぞれの立場から、実際の現場事例や最新の取り組みをもとに議論を行う予定だ。
単なる理論ではなく、「明日から現場で実践できるヒント」を共有する場として、今こそ必要な対話になるだろう。

繁閑差と人材不足に悩むすべての物流企業にとって、解決の糸口は“柔軟な働き方”の中にある。
それを現場から実証していくことが、持続可能な物流の未来を築く第一歩となる。

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