目次 【EC物流×スポットワーク セミナーより】角井亮一氏講演:波動に強いEC物流はこうして生まれる イー・ロジット角井亮一氏が語る「一歩二歩先のフルフィルメント」 小売コンサルからEC物流へ――イー・ロジット誕生の背景 フルフィルメントセンターと、自社開発WMSという“土台” 一日11万件出荷という“波”をどう飲み込むか 「任せて終わり」ではない。BIレポートとアカウントマネージャー 単なる保管・出荷ではない、広がるサービス領域 2024年問題と人材不足に、どう向き合うか 「売上の山」を共に喜べる物流パートナーへ YouTubeアーカイブ配信 【EC物流×スポットワーク セミナーより】角井亮一氏講演:波動に強いEC物流はこうして生まれる ― イー・ロジットの“次の一歩”を読み解く 先日開催された、シェアフル社とイー・ロジット社の共催ウェビナー 「スポットワークが変える物流の未来」。 EC物流の現場で深刻化する人材不足、繁閑差(波動)への対応、 そしてスポットワーカーの活用というテーマを中心に、 業界を牽引する2名のトップが最新の視点を語りました。 本記事では、その第一部として登壇した 株式会社イー・ロジット 取締役会長・角井亮一氏の講演内容をもとに、 話の流れを整理しながら「読み物としてのコラム」に再構成しています。 EC事業者にとって避けて通れない“物流の壁”を、 イー・ロジットがどのように乗り越えてきたのか。 その本質に迫ります。 イー・ロジット角井亮一氏が語る「一歩二歩先のフルフィルメント」 ECの伸びとともに、物流現場には独特のリズムが生まれました。 平日は静かでも、キャンペーンを打てば一気に受注が跳ね上がる。 テレビ露出やSNS拡散で突然販売が爆発することもある。 この“売上の山”にどう付き合うか――。 ここにEC物流の優劣、そして事業成長の可否が分かれます。 その「波動に強い」物流を20年以上にわたり磨き続けてきたのが、 EC物流専門のフルフィルメント&BPO企業 株式会社イー・ロジット。 創業者であり取締役会長の角井亮一氏は、自社をこう語ります。 「多くの方にはまだ知られていないかもしれませんが、 ほとんどの会社よりも一歩二歩進んだサービスをしているつもりです」 では、その“一歩二歩先”とは何なのか。 小売コンサルからEC物流へ――イー・ロジット誕生の背景 イー・ロジットの設立は2000年2月14日。 ちょうど日本でネット通販が本格的に立ち上がり始めた頃です。 角井氏の原点は、もともと小売業向けのコンサルタントでした。 1996年、船井総合研究所の中で「ネット通販参入セミナー」を日本でもいち早く手がけ、 EC黎明期から“売り方”の支援を行ってきました。 その延長線上で訪れたのが、「物流をやってほしい」という相談です。 実家の物流会社を手伝っていた経験と、大手総合商社からの依頼が重なり、 「ECに特化した物流会社」が必要だと確信。 こうして生まれたのが、現在のイー・ロジットです。 2021年には東京証券取引所スタンダード市場に上場し、 EC物流のプロフェッショナル集団として存在感を高めています。 フルフィルメントセンターと、自社開発WMSという“土台” イー・ロジットの強みは、まず土台となるインフラにあります。 関東3拠点・関西2拠点 合計5万坪超のフルフィルメントセンター 単に倉庫面積があるだけではありません。 特徴的なのは、そこで動いているWMS(倉庫管理システム)を自社開発していることです。 このWMSは、主要なショッピングカートやモールのシステムと広く接続でき、 受注〜在庫〜出荷までをシームレスに連携させることができます。 「ほとんどのECシステムとつながる」ということは、 EC事業者の既存システムを活かしたまま 納期遵守や誤出荷防止といった物流品質を底上げできる ということでもあります。 一日11万件出荷という“波”をどう飲み込むか イー・ロジットの話で、最も耳を引くのが波動対応力の話です。 EC事業者の売上は、きれいな右肩上がりではなく、 キャンペーンやタイアップ、SNSでの拡散などで「ガツン」と跳ねる瞬間があります。 物流の世界では、こうした繁閑差を「波動」と呼びますが、 角井氏は言い切ります。 「突発的に売れるものを、その日中にどこまで出荷できるかが重要です」 イー・ロジットでは、 一日11万件の出荷を実際に対応した事例もあると言います。 もちろん、これは単に人をたくさん入れたからできる話ではありません。 ・拠点ごとの役割や動線の設計 ・自社WMSによるリアルタイムな制御 ・事前の在庫戦略・キャンペーン情報との連携 といった積み上げがあって初めて可能になる数字です。 さらに最近では、 キャラクターグッズやIP関連商品の「発売日同日出荷」のような案件も増えています。 「今日だけの販売」「この時間だけの販売」といった企画に対し、 その日に出荷を完了させる――。 この“期待値の高い日に裏切らない”ことこそが、 ファンビジネス・D2Cブランドの成長を支えるEC物流の役割だといえます。 「任せて終わり」ではない。BIレポートとアカウントマネージャー イー・ロジットが単なる「倉庫代行」にとどまらない理由が、 BIレポートとアカウントマネージャーの存在です。 独自のBIレポートでは、 物流コスト 未出荷件数 入荷の遅れ 在庫の過不足 到着リードタイム などが可視化されます。 これは「現状報告」で終わるものではありません。 「例えば、今は東京からしか出していないけれど、 大阪からも出荷した方がリードタイムとコストの両方で有利ではないか」 といった、在庫配置や拠点活用の提案まで踏み込んで行うのが特徴です。 その提案を実際の改善につなげていく役割を担うのが、 クライアントごとにつくアカウントマネージャーです。 アパレル、出版、化粧品など、業界ごとの事情を理解した担当が、 保管坪数の適正化 固定費削減の余地 新しい販路やモールへの展開 といったテーマで、共に数字を見ながら改善を進めていきます。 固定費を下げ、その分をマーケティングや新商品投入に回してもらう。 その結果、売上が伸びれば物流も成長する――。 イー・ロジットは、そうした“攻めの物流改善”を目指しています。 単なる保管・出荷ではない、広がるサービス領域 イー・ロジットの提供領域は、保管・出荷だけにとどまりません。 化粧品のラベル貼付など、許認可が必要な軽作業 高度管理医療機器(コンタクトレンズなど)の管理 危険物(スプレー缶など)の保管・出荷 カスタマーサポート(問い合わせ対応・返品処理) ささげ業務(撮影・採寸・採色) など、EC事業の“周辺業務”をまとめて引き受ける仕組みを整えています。 とくにささげ業務は、 中国から入荷した商品を一度外部スタジオに送り、 撮影後にまた戻して…という二度手間を避けられるため、 「仕入れたのに、売り出したいタイミングに間に合わない」 というチャンスロスの解消にもつながります。 物流センター内で撮影まで完結することで、 「届いたらすぐ売れる」状態をつくっているのです。 2024年問題と人材不足に、どう向き合うか トラックドライバーの時間外労働規制、いわゆる2024年問題や、 現場人材の確保難など、物流を取り巻く環境は厳しさを増しています。 イー・ロジットは、ここに「現場力+自動化+AI」で向き合おうとしています。 たとえば、カメラ付き検品台で、何個入っているか。どの商品が箱に入ったかを画像として残し、 誤出荷や“言った言わない”を防ぐ 自動倉庫「RENATUS」で、天井までの高密度保管、高速ピッキングで少人数でも回せる体制を 整え、24時間近い運用にも対応していく。 さらに今後は、AIカメラで非常によく似た商品の微妙な違いを見分け、 その場で「これは違う商品です」と判定する仕組みも視野に入れています。 角井氏は、ここを「人件費削減」と「品質向上」を同時に達成するための鍵だと見ています。 「売上の山」を共に喜べる物流パートナーへ EC事業者にとって、売上の山は本来“うれしい悲鳴”のはずです。 しかし、その裏側で物流がパンクすれば、クレームや機会損失に直結します。 イー・ロジットが目指しているのは、 その“山”をともに楽しめる物流パートナーであることです。 一日11万件の出荷を飲み込む波動対応力 ECシステムとつながる自社WMS BIレポートとアカウントマネージャーによるデータドリブン改善 自動化・AI・人材を組み合わせた現場力 こうした要素の掛け算によって、 「売上の山を恐れないEC物流」をつくろうとしているのが、 イー・ロジットという会社だと言えるでしょう。 YouTubeアーカイブ配信 関連記事 「現場人材から見る物流戦略」セミナー ~:物流の未来は「人材×データ×柔軟性」がつくる 角井×横井氏対談~ 「現場人材から見る物流戦略」セミナー ~繁閑差と人材不足をどう乗り越えるか~ 横井氏講演コラム版 「現場人材から見る物流戦略」セミナー ~繁閑差と人材不足をどう乗り越えるか~ 角井講演コラム版 11月6日開催「現場人材から見る物流戦略」セミナーに向けて ~繁閑差と人材不足をどう乗り越えるか~