目次 【EC物流×スポットワーク セミナーより】横井真人氏講演:物流人材の新潮流「スポットワーク」が拓く未来 1日単位で働く時代が本格化した~スポットワークは一過性ではない「新しい標準」 物流業界は若年層にとって“興味のある領域”になった スポットワークは“波動対応の救世主”ではあるが、それだけではない 応募が圧倒的に集まる理由~UX改善・即日給与・履歴書不要という「設計力」 求人広告の代わりにスポットワークを使う企業が増えている 職場環境がすべてを決める~リピート率が80%の現場が示す真実 スポットワークは働き方の“第二フェーズ”へ~単なる日雇いから、採用・評価・育成の基盤へ まとめ:物流の未来は「柔軟性」を中心に再編される YouTubeアーカイブ配信 【EC物流×スポットワーク セミナーより】横井真人氏講演:物流人材の新潮流「スポットワーク」が拓く未来 ― 若年層の就業観・1日単位の働き方・採用の入口としての“隙間バイト”の本質 先日開催された、シェアフル社とイー・ロジット社による共催ウェビナー 「スポットワークが変える物流の未来」。 物流人材不足、繁閑差(波動)対応、そして新しい働き方として急伸する「スポットワーク」について、 現場の最前線を知る2名のトップが語り合いました。 本記事では第二部として登壇した シェアフル株式会社 代表取締役社長・横井真人氏 の講演内容をベースに、 “いま、物流人材に何が起きているのか” を読み解くコラムとして再構成します。 1日単位で働く時代が本格化した~スポットワークは一過性ではない「新しい標準」 1日単位で働けるアプリ” と聞くと、 一見すると「若者向けの気軽な副業」くらいのイメージで捉えがちです。 しかし横井氏は冒頭でその認識を否定します。 「スポットワークは、ただの ‘単発バイト’ ではありません。 これは 次の働き方のスタンダード になりつつある市場です。」 シェアフルは2019年にサービスを開始し、現在は 1,100万ダウンロード を突破。 利用者の中心は20〜30代で、物流・小売をはじめとする幅広い業界で活用されています。 さらに注目すべきは、利用者の属性です。 スポットワーク利用者の 43%が正社員や派遣社員。 「副業」「収入補填」のニーズで使うユーザーが増え、 単なる短期アルバイトとは明らかに違う構造が生まれています。 物流業界は若年層にとって“興味のある領域”になった シェアフルが10万件規模で実施したアンケートでは、 物流業界について 46%が「興味がある」 と回答。 特に若年層の関心が高いことが分かりました。 意外に思えるかもしれませんが、横井氏はこう分析します。 物流は「未経験でもスタートしやすい」 スキルが体系化されており、評価されやすい シフト自由度が高く、スポットワークと相性がよい つまり物流は、若者にとって“入り口として魅力的な産業”だということです。 とくに人気が高いのは 仕分け・ピッキング・梱包 といったEC物流の基礎業務。 EC物流の成長とともに、こうした現場ニーズが安定的に発生していることが背景にあります。 スポットワークは“波動対応の救世主”ではあるが、それだけではない EC物流や小売業の現場では、繁閑差が避けられません。 そのため「スポット=波動対応要員」と捉えられがちですが、 横井氏は もっと大きな可能性 を示しています。 「スポットは ‘採用の入口’ にもなり得ます。」 実際、 ①スポットで働く ②現場や雰囲気を気に入る ③そのまま長期化・レギュラー化 ④企業側が採用へつなげる というケースが増えています。 これまでの採用は 「求人広告→面接→配属→ミスマッチ→短期離職」 という負のループが起こりやすかった。 しかしスポットワークは、 “働いてみてから選ぶ” という逆の構造を作るため、 ミスマッチが極めて少なく、本質的な定着につながりやすい。 これはEC物流の人材確保にとって大きな意味を持ちます。 応募が圧倒的に集まる理由~UX改善・即日給与・履歴書不要という「設計力」 シェアフルの特徴は、なんと言っても 応募スピードの異常な速さ です。 なぜこんなに集まるのか。 講演では3つの理由が語られました。 ① アプリUXを徹底的に作り込んでいる 「働くまでのハードルを極限まで下げる」ために、 求人検索 応募 仕事開始 までを最短で完結できるよう設計。 若年層が迷わないUIが決定打になっています。 ② 面接・履歴書不要 物流業務はスキルが標準化されているため、 即戦力で入れるように入口を簡素化。 ③ 働いた日に給与が受け取れる 生活費の補填ニーズが強く、 特に物価高の現在は「給与即日」が大きなモチベーションになっています。 応募が増える=企業の採用選択肢が広がる という意味でも、EC物流との相性は抜群です。 求人広告の代わりにスポットワークを使う企業が増えている 講演で印象的だったのは、 スポットワークを“採用戦略”として使う企業が増えている という点です。 従来のように求人広告に大金を払うのではなく、 まずスポットで実際に働いてもらい、 マッチした人を長期採用へつなげる。 これはEC物流の現場においてとても合理的なアプローチです。 波動対応 現場の即戦力確保 正社員・派遣の入り口形成 この“三役”を同時にこなせる仕組みは、 これまでの採用方法には存在しませんでした。 職場環境がすべてを決める~リピート率が80%の現場が示す真実 横井氏は、“人材が定着する現場の共通点”についても語りました。 それは派手な施策ではなく、極めてシンプルです。 初日の案内を丁寧に行う マニュアルを整備する スタッフを個人として扱う(名前で呼ぶ 等) 不安を取り除くオリエンテーション 結果として、現場によっては リピート率が80%に達する ことも。 スポットワークが“ただの穴埋めではない”ことがよくわかります。 スポットワークは働き方の“第二フェーズ”へ~単なる日雇いから、採用・評価・育成の基盤へ 横井氏は最後に、スポットワーク市場は既に 第二フェーズに入りつつある と強調しました。 波動対応のための即日人材 から 長期雇用につながる「採用の入口」へ しかも、今後はシフト管理や生産性管理など、 物流全体の運営と結びつく領域にも広がっていく。 スポットワークは、 単発労働の枠を超え、 物流現場の設計そのものを変えるインフラ になりつつあるのです。 まとめ:物流の未来は「柔軟性」を中心に再編される EC物流は、 ①繁閑差への強さ ②人材確保の柔軟性 ③現場の定着率 この3つが企業の成長を左右します。 横井氏の講演は、 スポットワークがこのすべてに寄与する可能性を示していました。 「1日単位の働き方」が、物流人材の新しい入口をつくる。 これが、物流業界だけでなく、 働き方そのものを変える潮流になっているのは間違いありません。 YouTubeアーカイブ配信 関連記事 「現場人材から見る物流戦略」セミナー ~:物流の未来は「人材×データ×柔軟性」がつくる 角井×横井氏対談~ 「現場人材から見る物流戦略」セミナー ~繁閑差と人材不足をどう乗り越えるか~ 横井氏講演コラム版 「現場人材から見る物流戦略」セミナー ~繁閑差と人材不足をどう乗り越えるか~ 角井講演コラム版 11月6日開催「現場人材から見る物流戦略」セミナーに向けて ~繁閑差と人材不足をどう乗り越えるか~