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  • 「現場人材から見る物流戦略」セミナー ~繁閑差と人材不足をどう乗り越えるか~ 横井氏講演コラム版

目次

  1. 【EC物流×スポットワーク セミナーより】横井真人氏講演:物流人材の新潮流「スポットワーク」が拓く未来
  2. 1日単位で働く時代が本格化した~スポットワークは一過性ではない「新しい標準」
  3. 物流業界は若年層にとって“興味のある領域”になった
  4. スポットワークは“波動対応の救世主”ではあるが、それだけではない
  5. 応募が圧倒的に集まる理由~UX改善・即日給与・履歴書不要という「設計力」
  6. 求人広告の代わりにスポットワークを使う企業が増えている
  7. 職場環境がすべてを決める~リピート率が80%の現場が示す真実
  8. スポットワークは働き方の“第二フェーズ”へ~単なる日雇いから、採用・評価・育成の基盤へ
  9. まとめ:物流の未来は「柔軟性」を中心に再編される

【EC物流×スポットワーク セミナーより】横井真人氏講演:物流人材の新潮流「スポットワーク」が拓く未来

― 若年層の就業観・1日単位の働き方・採用の入口としての“隙間バイト”の本質

先日開催された、シェアフル社とイー・ロジット社による共催ウェビナー
「スポットワークが変える物流の未来」。
物流人材不足、繁閑差(波動)対応、そして新しい働き方として急伸する「スポットワーク」について、
現場の最前線を知る2名のトップが語り合いました。

本記事では第二部として登壇した
シェアフル株式会社 代表取締役社長・横井真人氏
の講演内容をベースに、
“いま、物流人材に何が起きているのか” を読み解くコラムとして再構成します。

1日単位で働く時代が本格化した~スポットワークは一過性ではない「新しい標準」

1日単位で働けるアプリ” と聞くと、
一見すると「若者向けの気軽な副業」くらいのイメージで捉えがちです。

しかし横井氏は冒頭でその認識を否定します。

「スポットワークは、ただの ‘単発バイト’ ではありません。
これは 次の働き方のスタンダード になりつつある市場です。」

シェアフルは2019年にサービスを開始し、現在は 1,100万ダウンロード を突破。
利用者の中心は20〜30代で、物流・小売をはじめとする幅広い業界で活用されています。

さらに注目すべきは、利用者の属性です。
スポットワーク利用者の 43%が正社員や派遣社員。
「副業」「収入補填」のニーズで使うユーザーが増え、
単なる短期アルバイトとは明らかに違う構造が生まれています。

物流業界は若年層にとって“興味のある領域”になった

シェアフルが10万件規模で実施したアンケートでは、
物流業界について 46%が「興味がある」 と回答。
特に若年層の関心が高いことが分かりました。

意外に思えるかもしれませんが、横井氏はこう分析します。

物流は「未経験でもスタートしやすい」
スキルが体系化されており、評価されやすい
シフト自由度が高く、スポットワークと相性がよい
つまり物流は、若者にとって“入り口として魅力的な産業”だということです。

とくに人気が高いのは 仕分け・ピッキング・梱包 といったEC物流の基礎業務。
EC物流の成長とともに、こうした現場ニーズが安定的に発生していることが背景にあります。

スポットワークは“波動対応の救世主”ではあるが、それだけではない

EC物流や小売業の現場では、繁閑差が避けられません。
そのため「スポット=波動対応要員」と捉えられがちですが、
横井氏は もっと大きな可能性 を示しています。

「スポットは ‘採用の入口’ にもなり得ます。」

実際、
①スポットで働く
②現場や雰囲気を気に入る
③そのまま長期化・レギュラー化
④企業側が採用へつなげる
というケースが増えています。

これまでの採用は
「求人広告→面接→配属→ミスマッチ→短期離職」
という負のループが起こりやすかった。

しかしスポットワークは、
“働いてみてから選ぶ” という逆の構造を作るため、
ミスマッチが極めて少なく、本質的な定着につながりやすい。

これはEC物流の人材確保にとって大きな意味を持ちます。

応募が圧倒的に集まる理由~UX改善・即日給与・履歴書不要という「設計力」

シェアフルの特徴は、なんと言っても 応募スピードの異常な速さ です。

なぜこんなに集まるのか。
講演では3つの理由が語られました。

① アプリUXを徹底的に作り込んでいる

「働くまでのハードルを極限まで下げる」ために、
求人検索
応募
仕事開始
までを最短で完結できるよう設計。

若年層が迷わないUIが決定打になっています。

② 面接・履歴書不要

物流業務はスキルが標準化されているため、
即戦力で入れるように入口を簡素化。

③ 働いた日に給与が受け取れる

生活費の補填ニーズが強く、
特に物価高の現在は「給与即日」が大きなモチベーションになっています。

応募が増える=企業の採用選択肢が広がる
という意味でも、EC物流との相性は抜群です。

求人広告の代わりにスポットワークを使う企業が増えている

講演で印象的だったのは、
スポットワークを“採用戦略”として使う企業が増えている という点です。

従来のように求人広告に大金を払うのではなく、
まずスポットで実際に働いてもらい、
マッチした人を長期採用へつなげる。

これはEC物流の現場においてとても合理的なアプローチです。

波動対応

現場の即戦力確保

正社員・派遣の入り口形成

この“三役”を同時にこなせる仕組みは、
これまでの採用方法には存在しませんでした。

職場環境がすべてを決める~リピート率が80%の現場が示す真実

横井氏は、“人材が定着する現場の共通点”についても語りました。

それは派手な施策ではなく、極めてシンプルです。

初日の案内を丁寧に行う

マニュアルを整備する

スタッフを個人として扱う(名前で呼ぶ 等)

不安を取り除くオリエンテーション

結果として、現場によっては リピート率が80%に達する ことも。

スポットワークが“ただの穴埋めではない”ことがよくわかります。

スポットワークは働き方の“第二フェーズ”へ~単なる日雇いから、採用・評価・育成の基盤へ

横井氏は最後に、スポットワーク市場は既に
第二フェーズに入りつつある と強調しました。

波動対応のための即日人材

から

長期雇用につながる「採用の入口」へ

しかも、今後はシフト管理や生産性管理など、
物流全体の運営と結びつく領域にも広がっていく。

スポットワークは、
単発労働の枠を超え、
物流現場の設計そのものを変えるインフラ になりつつあるのです。

まとめ:物流の未来は「柔軟性」を中心に再編される

EC物流は、

①繁閑差への強さ

②人材確保の柔軟性

③現場の定着率

この3つが企業の成長を左右します。

横井氏の講演は、
スポットワークがこのすべてに寄与する可能性を示していました。

「1日単位の働き方」が、物流人材の新しい入口をつくる。
これが、物流業界だけでなく、
働き方そのものを変える潮流になっているのは間違いありません。

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