目次 感覚から数値へ。CLO時代に求められる「EC物流KPI」の再定義とマネジメント手法 「配送料」の先にある真の指標。経営層が注視すべき3つの新KPI 在庫回転率と物流現場の「同期」。キャッシュフローを最大化するデータ活用術 物流BPOを「経営の外部脳」に変える。データ共有が生む拡張性 まとめ:データは現場と経営の「共通言語」。CLOが主導するEC物流DX 感覚から数値へ。CLO時代に求められる「EC物流KPI」の再定義とマネジメント手法 物流業界は今、法改正という大きな転換点に立っています。改正物流法によって努力義務化された「物流統括管理者(CLO)」の選任は、物流を単なる「荷出し作業」から、経営の根幹を支える「戦略的インフラ」へと押し上げました。 しかし、経営会議の場で「配送料が高騰しています」「現場が疲弊しています」といった感覚的な報告だけでは、実効性のある経営判断は下せません。今、CLOに求められているのは、物流現場の事実を「数字」という共通言語に変換し、事業成長のドライバーとしてコントロールする能力です。本稿では、EC物流BPOパートナーとの連携を前提とした、新時代のKPIマネジメントについて深く掘り下げます。 「配送料」の先にある真の指標。経営層が注視すべき3つの新KPI 多くのEC事業者が「売上対物流比」を最重要視していますが、これだけでは物流構造の「歪み」は見えてきません。配送運賃が上がった要因が「単価上昇」なのか「梱包の非効率」なのかを区別しなければ、正しい対策は打てないからです。 注文あたり梱包サイズ(UPS:Unit Per Size)の最適化 配送コストの大部分を占める運賃は、荷物のサイズ(容積)に依存します。 指標の意味: 1注文あたりの平均梱包サイズや、商品容積に対する緩衝材の比率を測定します。 BPOとの共創ポイント: 物流BPOが持つ梱包シミュレーションデータを活用し、「適切なサイズの箱を選択できているか」「箱の中に無駄な空間がないか」を定期的に監査します。資材の1サイズダウンが、年間で数千万円の利益改善に直結することも珍しくありません。 配送密度とラストワンマイルの収益性 「どこに届けているか」のデータは、拠点戦略の基礎となります。 指標の意味: 配送先エリアの集中度と、各エリアの配送単価を分析します。 BPOとの共創ポイント: BPOが提供する配送実績データを地図上にプロットすることで、「関東拠点の他に、関西拠点を設けるべきか」といった多拠点展開のシミュレーションが可能になります。 1件あたり物流GHG排出量(環境指標) 改正物流法では「脱炭素化」への取り組みも注視されています。 指標の意味: 出荷1件あたりの二酸化炭素排出量を算出します。 BPOとの共創ポイント: 積載効率の向上や再配達の削減は、コスト削減であると同時に環境対策でもあります。BPO側で算出された排出量データをIR資料やサステナビリティレポートに活用することで、企業の信頼性を高めます。 在庫回転率と物流現場の「同期」。キャッシュフローを最大化するデータ活用術 物流コストを膨らませる最大の要因の一つが「過剰在庫」です。倉庫管理システム(WMS)のデータを経営判断に直結させることで、物流現場の生産性を劇的に向上させることができます。 デッドストックが招く「物流現場の窒息」 倉庫の棚が動かない在庫で埋まると、ピッキング効率は著しく低下します。 可視化すべき数字: 滞留期間別の在庫比率と、それらが占有している保管コスト・作業機会損失額。 BPOとの共創ポイント: BPO側から定期的に「過去90日間出荷ゼロ」の商品リストを自動出力させ、販促部門と共有します。CLOはこれに基づき、早期のセール実施や在庫処分を指示し、物流現場の「血流」を正常に保ちます。 販促計画と物流リソースの「事前同期」 EC特有の「セールによる波動」は、予測なしでは現場を崩壊させます。 可視化すべき数字: プロモーション時の予測出荷件数と、BPO側のキャパシティ(最大出荷可能数)の乖離率。 BPOとの共創ポイント: 販売計画をBPOへ事前に共有し、BPO側はそれに基づき人員や車両の先行手配を行います。この「情報の同期」こそが、配送遅延という顧客離脱リスクを回避する唯一の手段です。 物流BPOを「経営の外部脳」に変える。データ共有が生む拡張性 自社で物流DXを完結させるのは容易ではありません。イー・ロジットのようなEC物流BPOを、単なる「作業の委託先」ではなく「高度なデータプロバイダー」として活用することが、CLOの戦略的マネジメントを加速させます。 WMS(倉庫管理システム)データの経営転用 現場の作業データには、商品開発のヒントが隠されています。 活用例: 「特定の商品の破損率が高い(梱包不良や耐久性不足)」「この組み合わせでの購入が多い(同梱セット販売の強化)」といった事実を、BPO側のシステムから吸い上げ、商品企画やマーケティングにフィードバックします。 業界ベンチマークによる客観的な評価 自社の物流レベルが高いのか低いのか、社内データだけでは判断できません。 BPOの価値: 数多くのEC事業者を支援しているBPOは、膨大な統計データを持っています。「同規模の他社に比べて、我が社の出荷単価は適正か」「誤出荷率は標準以下か」という客観的な物差しを得ることで、真に注力すべき課題が明確になります。 「適正原価」を支える透明性の確保 取適法への対応において、根拠のない「値引き交渉」はもはや不可能です。 信頼の構築: BPO側から提示される原価構造(人件費、資材費、運賃、システム利用料)を透明化し、データに基づいて適正な対価を合意します。この誠実な対話が、物流危機においても「優先的に車両を回してもらえる」強固なパートナーシップの源泉となります。 まとめ:データは現場と経営の「共通言語」。CLOが主導するEC物流DX CLOの役割は、物流現場の「汗」を、経営会議で通用する「光(利益)」に変えることです。感覚に頼ったマネジメントから脱却し、BPOパートナーが持つ精緻なデータを経営判断の武器として使いこなす。そのプロセスこそが、物流を「コストセンター」から「プロフィットセンター」へと進化させる唯一の道です。 適正原価時代においては、デジタルと実務の両輪を回せる企業だけが生き残ります。データに基づいたKPIマネジメントを実装し、イー・ロジットと共に持続可能なEC物流の未来を切り拓いていきましょう。 イーロジットサービスはこちら 関連記事 感覚から数値へ。CLO時代に求められる「EC物流KPI」の再定義とマネジメント手法 2026年以降のEC物流スタンダード。3つの新法が変える「荷主と物流のパートナーシップ」 2024年問題の“その先”へ ― 人手不足時代にEC物流はどう進化するのか 【EC物流×BPO】“任せる物流”が企業を強くする ― EC物流BPOが利益構造を変える理由