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感覚から数値へ。CLO時代に求められる「EC物流KPI」の再定義とマネジメント手法

改正物流法下で選任されたCLOに求められるのは、現場データを経営戦略へ昇格させるマネジメント能力です。配送料だけでなく、梱包サイズ(UPS)や在庫回転率、環境負荷といった指標をKPIとして再定義。EC物流BPOとのデータ連携を軸に、販促と物流を同期させ、適正原価時代における利益最大化と持続可能性を両立させるための「数値による管理手法」を詳しく解説します。

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目次

  1. 感覚から数値へ。CLO時代に求められる「EC物流KPI」の再定義とマネジメント手法
  2. 「配送料」の先にある真の指標。経営層が注視すべき3つの新KPI
  3. 在庫回転率と物流現場の「同期」。キャッシュフローを最大化するデータ活用術
  4. 物流BPOを「経営の外部脳」に変える。データ共有が生む拡張性
  5. まとめ:データは現場と経営の「共通言語」。CLOが主導するEC物流DX

感覚から数値へ。CLO時代に求められる「EC物流KPI」の再定義とマネジメント手法

物流業界は今、法改正という大きな転換点に立っています。改正物流法によって努力義務化された「物流統括管理者(CLO)」の選任は、物流を単なる「荷出し作業」から、経営の根幹を支える「戦略的インフラ」へと押し上げました。

しかし、経営会議の場で「配送料が高騰しています」「現場が疲弊しています」といった感覚的な報告だけでは、実効性のある経営判断は下せません。今、CLOに求められているのは、物流現場の事実を「数字」という共通言語に変換し、事業成長のドライバーとしてコントロールする能力です。本稿では、EC物流BPOパートナーとの連携を前提とした、新時代のKPIマネジメントについて深く掘り下げます。

「配送料」の先にある真の指標。経営層が注視すべき3つの新KPI

多くのEC事業者が「売上対物流比」を最重要視していますが、これだけでは物流構造の「歪み」は見えてきません。配送運賃が上がった要因が「単価上昇」なのか「梱包の非効率」なのかを区別しなければ、正しい対策は打てないからです。

注文あたり梱包サイズ(UPS:Unit Per Size)の最適化

配送コストの大部分を占める運賃は、荷物のサイズ(容積)に依存します。

指標の意味: 1注文あたりの平均梱包サイズや、商品容積に対する緩衝材の比率を測定します。

BPOとの共創ポイント: 物流BPOが持つ梱包シミュレーションデータを活用し、「適切なサイズの箱を選択できているか」「箱の中に無駄な空間がないか」を定期的に監査します。資材の1サイズダウンが、年間で数千万円の利益改善に直結することも珍しくありません。

配送密度とラストワンマイルの収益性

「どこに届けているか」のデータは、拠点戦略の基礎となります。

指標の意味: 配送先エリアの集中度と、各エリアの配送単価を分析します。

BPOとの共創ポイント: BPOが提供する配送実績データを地図上にプロットすることで、「関東拠点の他に、関西拠点を設けるべきか」といった多拠点展開のシミュレーションが可能になります。

1件あたり物流GHG排出量(環境指標)

改正物流法では「脱炭素化」への取り組みも注視されています。

指標の意味: 出荷1件あたりの二酸化炭素排出量を算出します。

BPOとの共創ポイント: 積載効率の向上や再配達の削減は、コスト削減であると同時に環境対策でもあります。BPO側で算出された排出量データをIR資料やサステナビリティレポートに活用することで、企業の信頼性を高めます。

在庫回転率と物流現場の「同期」。キャッシュフローを最大化するデータ活用術

物流コストを膨らませる最大の要因の一つが「過剰在庫」です。倉庫管理システム(WMS)のデータを経営判断に直結させることで、物流現場の生産性を劇的に向上させることができます。

デッドストックが招く「物流現場の窒息」

倉庫の棚が動かない在庫で埋まると、ピッキング効率は著しく低下します。

可視化すべき数字: 滞留期間別の在庫比率と、それらが占有している保管コスト・作業機会損失額。

BPOとの共創ポイント: BPO側から定期的に「過去90日間出荷ゼロ」の商品リストを自動出力させ、販促部門と共有します。CLOはこれに基づき、早期のセール実施や在庫処分を指示し、物流現場の「血流」を正常に保ちます。

販促計画と物流リソースの「事前同期」

EC特有の「セールによる波動」は、予測なしでは現場を崩壊させます。

可視化すべき数字: プロモーション時の予測出荷件数と、BPO側のキャパシティ(最大出荷可能数)の乖離率。

BPOとの共創ポイント: 販売計画をBPOへ事前に共有し、BPO側はそれに基づき人員や車両の先行手配を行います。この「情報の同期」こそが、配送遅延という顧客離脱リスクを回避する唯一の手段です。

物流BPOを「経営の外部脳」に変える。データ共有が生む拡張性

自社で物流DXを完結させるのは容易ではありません。イー・ロジットのようなEC物流BPOを、単なる「作業の委託先」ではなく「高度なデータプロバイダー」として活用することが、CLOの戦略的マネジメントを加速させます。

WMS(倉庫管理システム)データの経営転用

現場の作業データには、商品開発のヒントが隠されています。

活用例: 「特定の商品の破損率が高い(梱包不良や耐久性不足)」「この組み合わせでの購入が多い(同梱セット販売の強化)」といった事実を、BPO側のシステムから吸い上げ、商品企画やマーケティングにフィードバックします。

業界ベンチマークによる客観的な評価

自社の物流レベルが高いのか低いのか、社内データだけでは判断できません。

BPOの価値: 数多くのEC事業者を支援しているBPOは、膨大な統計データを持っています。「同規模の他社に比べて、我が社の出荷単価は適正か」「誤出荷率は標準以下か」という客観的な物差しを得ることで、真に注力すべき課題が明確になります。

「適正原価」を支える透明性の確保

取適法への対応において、根拠のない「値引き交渉」はもはや不可能です。

信頼の構築: BPO側から提示される原価構造(人件費、資材費、運賃、システム利用料)を透明化し、データに基づいて適正な対価を合意します。この誠実な対話が、物流危機においても「優先的に車両を回してもらえる」強固なパートナーシップの源泉となります。

まとめ:データは現場と経営の「共通言語」。CLOが主導するEC物流DX

CLOの役割は、物流現場の「汗」を、経営会議で通用する「光(利益)」に変えることです。感覚に頼ったマネジメントから脱却し、BPOパートナーが持つ精緻なデータを経営判断の武器として使いこなす。そのプロセスこそが、物流を「コストセンター」から「プロフィットセンター」へと進化させる唯一の道です。

適正原価時代においては、デジタルと実務の両輪を回せる企業だけが生き残ります。データに基づいたKPIマネジメントを実装し、イー・ロジットと共に持続可能なEC物流の未来を切り拓いていきましょう。

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