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【物流AIシリーズ】EC物流の未来を切り拓くAI――配送現場の進化とその先にあるもの

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目次

  1. EC物流の未来を切り拓くAI――配送現場の進化とその先にあるもの
  2. ルート最適化から始まる「賢い配送」
  3. 需要予測が支える人員・配車のスマート化
  4. AIがもたらす五つの効果

EC物流の未来を切り拓くAI――配送現場の進化とその先にあるもの

ネット通販が日常の買い物スタイルとして定着した今、国内の宅配市場は右肩上がりの成長を続けています。スマートフォンひとつで欲しいものが届く便利さの裏側で、配送現場はかつてないほどの繁忙と課題に直面しています。
配送コストの上昇、人材不足、運賃値上げ――。中小事業者への委託が増える一方で、現場では効率化と持続可能性の両立が求められています。その切り札として期待されているのが、AI(人工知能)を中心とした先端テクノロジーです。

ルート最適化から始まる「賢い配送」

配送現場におけるAI活用の代表例が「ルート最適化」です。
例えば、オプティマインドの「Loogia(ルージア)」は、配送員のGPSデータや過去の配送実績を解析し、最も効率的なルートを自動で算出。日本郵便や佐川急便といった大手も導入し、走行時間短縮と人材不足解消に寄与しています。
ファミリーマートでは、自社開発のAIを使い、弁当や惣菜など時間厳守の商品配送を最適化。従来の“勘と経験”頼みの運行から脱却し、コスト削減とCO₂排出抑制を同時に進めています。

需要予測が支える人員・配車のスマート化

EC物流の難しさは、荷物量が季節や曜日、セール時期によって大きく変動する点です。

・ヤマト運輸は全国6,500カ所の配送センターでAIによる荷物量予測を実施。MLOpsと呼ばれる仕組みでデータ抽出から予測、評価までを自動化し、予測精度と作業効率を飛躍的に高めています。

・IoTと連携した現場の「見える化」
NECはAIとIoTを組み合わせ、物流網全体のデータをリアルタイムで可視化。現場の滞りを解消し、サプライチェーン全体を最適化する取り組みを推進しています。
また、東京青果とヘッドウォータースは青果市場でAI動態分析を導入。カメラ映像から商品配置やフォークリフトの動線を解析し、ピッキング効率と鮮度保持を両立しています。

・ロボットによる自動化の波
深刻な人手不足に対しては、AI搭載ロボットも登場。佐川急便では、AIが最適な荷積み手順を判断するロボットを実証実験中で、省人化と作業効率化を同時に実現しようとしています。

AIがもたらす五つの効果

AI導入のメリットは明確です。
①配送計画の精度向上 – 渋滞予測や回避ルート設定で無駄を削減。
②人員配置の最適化 – シフトや配車をAIが自動で調整。
③コスト削減 – 輸送費・人件費の圧縮。
④環境負荷の低減 – CO₂排出削減と積載率向上。
⑤予測精度の飛躍 – ピーク時期や需要量を高精度で見極め。

EC物流は今、AIによって新しいステージへと進もうとしています。効率化やコスト削減はもちろん、環境負荷軽減や働き方改革にも直結するこの技術革新。
「便利な通販の裏側で、何が起きているのか?」――その答えは、AIが現場の見えない部分まで支えているという事実にあります。これからの配送は、単に速く運ぶだけではなく、「賢く運ぶ」時代へ。EC物流の進化は、まだ始まったばかりです。

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