目次 はじめに─ECフルフィルメントの重要性 物流と在庫管理の仕組みがECフルフィルメントに与える影響 物流の効率化を支える倉庫管理システム(WMS) 在庫を最適化する管理の仕組み 倉庫管理システム(WMS)を導入する際の留意点 まとめ はじめに─ECフルフィルメントの重要性 近年、EC市場は急成長を成し遂げてきましたが、その成長とともに、消費者の購入体験に直結するフルフィルメントが重要視されるようになりました。現在、フルフィルメントの質は、EC事業の成長に大きな影響を与えています。 消費者の「早くほしい」「この日までに必ず受け取りたい」といった期待に応えるためには、物流と在庫管理の仕組みが極めて重要です。特に、在庫管理と物流管理の精度は、サービスレベルの高さに繋がり、顧客満足度の向上や企業のブランドイメージにも好影響を与えます。 例えば、正しく在庫が管理され、配送が迅速かつスムーズであれば、顧客の購入体験は良いものとなり、次回購入・リピートにもつながる可能性が高まるでしょう。EC事業において「物流」と「フルフィルメント」は、ビジネスの成功を支える柱といえます。 物流と在庫管理の仕組みがECフルフィルメントに与える影響 フルフィルメントとは、オンライン等で注文を受けてから、顧客の手元に商品が届くまでの包括的なプロセスを指します。「物流」と「在庫管理」は、フルフィルメントの重要なプロセスであり、以下のような影響があります。 ●在庫の最適化 適切に在庫管理が行われていない場合には、過剰在庫や欠品が発生し、物流の効率を下げる原因にもなり得ます。 適切な在庫管理のもと、在庫を最適化できると、欠品による販売の機会損失を減少させることができます。また、必要なタイミングに必要な分だけ在庫を補充し、事業のキャッシュフロー改善や過剰在庫による無駄な保管コストを抑えることが可能になります。 ●リードタイムの短縮 在庫の配置・ロケーションを適切に管理すると、倉庫内での入出庫の作業が効率化し、リードタイム(注文から発送までの時間)にも影響します。適切な在庫間管理により、消費者が求める「スピード配送」に応えるための基盤が整います。 また、リアルタイムに在庫の状況を正確に把握できる仕組みを整えることで、在庫の残数に応じた再発注が可能になり、欠品を防ぎます。 ● データに基づく予測と在庫の適正化 在庫管理システム(WMS)に蓄積されたデータにより、過去の季節変動やキャンペーン等による出荷の増減を把握できると、そのデータをもとに需要予測を行い、効率的なフルフィルメントの維持に役立ちます。 売り切れや在庫過多を防ぎ、保管スペースの有効活用や効率的な配送計画が実現します。 ●コミュニケーションコストの削減 出荷から配送までがスムーズで商品が迅速に届けられたり、「出荷準備中」「出荷済み」「輸送中」など、顧客自身で現在の荷物状況を確認できる仕組みがあれば、物流に関わる問い合わせは減少します。また、ピッキングミスや誤配送を防止することで、コミュニケーションコストの削減につながります。 物流の効率化を支える倉庫管理システム(WMS) 倉庫管理システム(WMS: Warehouse Management System)は、物流の効率化に大きく貢献するツールで、主に在庫管理、ピッキングの最適化、作業指示の自動化、入出庫の管理などを支援します。 ●正確な在庫状況の把握 WMSにより、倉庫内の在庫状況を正確に把握できるようになります。どの商品がどこにどれだけの量が保管されているかを確認できるので、在庫管理の効率化に貢献します。さらに、在庫の過不足や品切れも正しく把握できるため、発注から納品までのリードタイムに配慮しながら、適切なタイミングでの補充や発注が可能になります。 あらかじめ、商品の在庫が減少したときに管理者宛てに通知されるよう設定しておき、オーダーのタイミングを逃すことなく欠品を防ぎます。 ●ピッキング効率の向上 WMSは、ピッキング(商品を在庫保管場所から取り出し梱包用に集める作業)の順序やルートも最適化にも役立ちます。ピッキングする商品の倉庫内ロケーションから、最適なルートを割り出し、作業員の移動距離を最短で効率よくピッキングできるようサポートします。これにより、ピッキングにかかる時間が短縮され、出荷対応可能な件数が増加につながります。 ●作業指示の自動化と効率向上 WMSは、作業者が持つ手持ち端末(タブレットやスキャナー)に直接指示を与え、作業者は迷わずに作業が行えるようになります。 例えば、作業員がピッキングを行う際には、WMSが「次はどのロケーション→どの棚→どの商品を取り出す」といった指示を表示し、作業の効率化を行いながら、ミス防止にも役立ちます。 在庫を最適化する管理の仕組み 適切な在庫管理の仕組みづくりは、EC事業の効率化や顧客満足度に影響を与えます。以下に、在庫管理を効果的に行うためのポイントを解説します。 ●需要予測と適正在庫の確保 需要予測に基づいて在庫量を管理することで、売れ筋商品の在庫不足や過剰在庫のリスクを減らせます。過去の販売データや季節要因、セールやイベントの影響を考慮して、適正在庫を計算します。 データを可視化し分析するためのBIツールを取り入れたり、機械学習を活用した需要予測システムの導入を検討することも一案です。 ●ABC分析による在庫管理の効率化 ABC分析とは、売上や出荷頻度に基づき在庫をランク分けして管理する方法です。例えば、売れ筋を「Aランク」、中間商品を「Bランク」、あまり動かない商品を「Cランク」と分けて、重点的に管理すべき商品を明確化します。「Aランクは欠品にならないように、1日に1回必ず補充・在庫監視を行う」「Cランクの商品は発注頻度を減らす、あるいは、販売計画を見直し終了する」というように、ランク別に対応を決めて在庫を管理します。 ●システムによる入出庫管理の自動化 在庫管理システム(WMS)により、商品のバーコードをスキャンすることで、保管場所と在庫数を自動で更新でき、入出庫時やピッキングのプロセスが効率化されます。正確なデータを得られ、人的ミスも起こりにくくなるため、管理も容易になります。 ●定期的な棚卸しとデータの確認 リアルタイムで在庫データを管理していても、定期的な棚卸しは必要です。循環棚卸を定期的に行うことで、システム上の在庫と実際の在庫にズレがないか確認でき、データの信頼性が保たれます。 棚や商品分類等で分けて、棚卸しのスケジュールを組み、システムデータと実在庫を比較して差異があれば原因を分析し、修正します。データの精度が高まると同時に、定期的な振り返りにより、業務品質を向上することが可能です。 倉庫管理システム(WMS)を導入する際の留意点 物流の効率化、在庫を最適化する仕組みづくりには、倉庫管理システム(WMS)の導入が効果的ですが、注意点もあります。導入時には以下のポイントに気を付けることが成功のカギです。 ●適切なシステム選定 自社のビジネス規模やフルフィルメントの流れに合ったシステムを選ぶことが重要です。大規模なEC事業には高度な管理機能が必要ですが、中小企業の場合はシンプルで扱いやすいシステムが効果的な場合もあります。また、フォローアップの体制や拡張性がどうかといった点にも留意しながら、選定していきます。 ●従業員の教育 新しいシステムの導入に際しては、現場で使用する従業員への教育が不可欠です。システムを効果的に運用するためには、操作方法やシステムの利便性をしっかり理解してもらうこと、正しい手順で利用してもらうことが必要です。マニュアルのほか、問い合わせ先も事前に確認しておきます。 ●失敗事例とその対策 失敗事例の一つに、在庫管理システムを導入したものの在庫数の更新がうまくいかず、欠品が発生してしまうケースがあります。システムを導入しても、現場で運用するスタッフの人的ミスが起こってしまうことも考えられます。このような失敗を防ぐために、定期的な実地棚卸のスケジューリング、システムのチェックやバックアップの手順を整備しておくことが有効です。 まとめ フルフィルメントの効率化はECビジネスの成長に深く関係します。中でも、物流と在庫管理が、そのプロセス全体に大きく影響を与えます。適切なオペレーション体制を実現することにより、コスト削減や配送スピードの向上となり、リピート顧客の獲得にもつながります。 現在の運用に課題を感じていたり、さらなる事業の拡大を目指すなら、フルフィルメントの各業務を外部の専門業者へ委託することも選択肢の一つです。 当社では、自社開発の倉庫管理システム(WMS)を活用した、より実践的で包括的なフルフィルメントサービスを提供しています。これまでに多数の連携実績もあり、豊富なノウハウとともに、在庫管理、出荷、配送まで、トータルでサポートしております。 関連リンク >ECフルフィルメントセンター・物流代行サービス 資料ダウンロード 関連記事 EC物流倉庫委託のメリット・デメリットとは?フルフィルメント効率化でEC事業の成長を加速! EC物流代行サービスにかかる費用は?メリットとデメリットを徹底解説 フルフィルメント効率化が成功の秘訣「EC物流代行を活用して売上アップ!」サービス選びのポイントとは EC物流代行サービスとは?導入メリットと選び方