NEWS

物流ニュース

日本郵船/アンモニア燃料アンモニア輸送船の 基本設計承認(AiP)を取得

物流全般 2023.06.17

アンモニア燃料アンモニア輸送船の 基本設計承認(AiP)を取得

世界初の代替設計承認に向けたリスク評価を実施、船舶のゼロエミッション化へ前進

日本郵船株式会社
株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
株式会社IHI原動機
日本シップヤード株式会社

日本郵船株式会社(以下「日本郵船」)、株式会社ジャパンエンジンコーポレーション(以下「ジャパンエンジン」)、株式会社IHI原動機(以下「IHI原動機」)、日本シップヤード株式会社(以下「日本シップヤード」)の4社は、研究開発中のアンモニア燃料アンモニア輸送船 (AFAGC: Ammonia-fueled Ammonia Gas Carrier)について、9月7日に一般財団法人日本海事協会(以下「日本海事協会」)から基本設計承認(Approval in Principle 以下「AiP」)を取得しました。

現時点で、アンモニアを舶用燃料として利用するための国際規則は存在していません。そのため、既存の重油燃料やLNG(液化天然ガス)燃料を利用する船舶と同様の安全性をアンモニア燃料アンモニア輸送船において担保するべく、4社は研究開発を進めてきました。
2026年度の実証運航の実現に不可欠となる代替設計承認(注2)を見据え、4社はアンモニアを舶用燃料として利用する際の安全性について、HAZID(注1)を通じてリスク評価を実施しました。HAZIDにより安全性の担保は可能との見解に至り、日本海事協会からAiPを取得しました。コンセプトに留まらず代替設計承認を見据えたリスク評価及びAiPの取得は世界初となります。
4社は今後も研究開発を進め、国際競争力のあるアンモニア燃料船の開発を実現することおよび日本が主導するアンモニア燃料船に係る安全ガイドライン・法規制等の整備に貢献することを目指します。

1. AFAGC開発の経緯

アンモニアは燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として期待されており、今後の大量輸送需要が見込まれています。また、貨物としてアンモニアを運搬し、航海中はそのアンモニアを燃料として航行することにより、航海中の温室効果ガス(Greenhouse Gas、以下「GHG」) 排出量を従来よりも大幅に削減することが可能となります。
本研究開発は、日本郵船、ジャパンエンジン、IHI原動機、日本シップヤードの4社が2021年10月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業(注3)の公募採択を受けた「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発」の一環で行っているものです。
次世代燃料船の早期の社会実装を目標として、4社は、①船舶推進用の2ストロークのアンモニア燃料エンジン、②船内給電用の4ストロークのアンモニア燃料エンジン、③安全性と環境性を実現する船体を開発し、本船建造、商業運航化まで一貫して連携し検討を進めています。

2. プロトタイプ船の基本設計を完了、AiP取得

アンモニア燃料船の設計開発の課題として、主に以下の点が挙げられます。

➀ 難燃性でエネルギー密度の低いアンモニアの使用比率を高めながら、エンジンで安定的に燃焼させ運用する必要があること。 
② アンモニアを燃焼させるとCO₂を発生しない代わりに亜酸化窒素(N2O:CO₂の約300倍の温室効果)が発生する可能性があるため、発生を抑制する燃焼制御が重要になること。
③ 毒性があるアンモニアを漏洩しない設計とする一方で、万が一漏洩した場合には安全対策を取る必要があり、従来の船舶と同等水準の安全性を確保するため、リスクアセスメントを通した対策が求められること。

4社は、本プロジェクトにおける開発船型をアンモニア海上輸送の汎用船型であるMGC(Medium Gas Carrier、アンモニア積載容量:約38,000立方メートル以上)と設定し、従来船と同等以上のアンモニア積載量を確保しながら、主機や補機の開発および搭載機器選定、また機器配置の工夫により、限られた船内スペースにアンモニア燃料関連機器を安全かつ実用的に搭載する事で、上記課題点を克服しうるプロトタイプ船の設計を完了し、日本海事協会による所定の審査の結果、AiPを取得することができました。今後は更なる設計最適化に取り組みます。

※2021年10月26日付リリース「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の社会実装に向けた実証事業を開始」もあわせてご参照ください。

各社概要

<日本郵船株式会社>
本社:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 長澤 仁志
ウェブサイト:http://www.nyk.com/

<株式会社ジャパンエンジンコーポレーション>
本社:兵庫県明石市
代表者:代表取締役社長 川島 健
ウェブサイト:https://www.j-eng.co.jp/

<株式会社IHI原動機>
本社:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 赤松 真生
ウェブサイト:https://www.ihi.co.jp/ips/indexj.html

<日本シップヤード株式会社>
本社:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 前田 明徳
ウェブサイト:https://www.nsyc.co.jp/

Translate »