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ヤマトホールディングス/営業収益は前年比1%増、経常利益は前年比84・7%減(2023年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結))

決算短信 2023.06.17

2023年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
単位・百万円  

           営業収益  営業利益   経常利益  当期純利益

2023年3月期第1四半期 424,159 1.0  2,416 △81.0  2,493 △84.7  320 △97.3
2022年3月期第1四半期 419,841 7.1  12,734 27.9   16,249 54.3  11,705 239.0
(注)包括利益 2023年3月期第1四半期  1,056百万円 (△93.9%) 2022年3月期第1四半期  17,439百万円 (276.8%)

(略)

1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
当第1四半期における経済環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、経済活動の正常化に向けた動きが進んでいるものの、国際情勢の不安定化による資源価格の上昇や食料品の高騰など、世界的なインフレ傾向が強まっていることに加え、内外金利差の拡大に起因した円安進行など、依然として本格的な景気回復の見通しが不透明な状況にあります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークの推進、診療や教育分野におけるサービスのオンライン化など、消費行動や生活様式が変化し、全産業のEC化が加速しています。
このような状況下、ヤマトグループは経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、グループ各社の経営資源を結集したグループ経営体制の下、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、生活様式の変化と流通構造の変化に対応するサプライチェーンの変革に向けて、お客様や社会のニーズに対し総合的な価値提供に取り組みました。

(略)

 当第1四半期の営業収益は4,241億59百万円となり、前年同期に比べ43億17百万円の増収となりました。
これは、成長が加速するEC領域への対応により荷物の取扱数量が増加したことや、お客様の物流最適化に注力し
たことによるものです。
 営業費用は4,217億42百万円となり、前年同期に比べ146億35百万円増加しました。
これは、燃料単価の上昇に加え、拡大するECの需要に対応するために構築しているEC物流ネットワークと既存
ネットワークにおける輸配送オペレーションの適正化を進める途上にあることなど、中期経営計画「Oneヤマト
2023」の推進に伴う費用が増加したことによるものです。
 この結果、当第1四半期の営業利益は24億16百万円となり、前年同期に比べ103億17百万円の減益となりました。

<ヤマトグループ全体としての取組み>

ヤマトグループは、新型コロナウイルス感染症に対し、引き続き、社員の衛生管理に最大限留意しながら、非対面
での荷物のお届けや接客時の感染防止対策を実施するなど、宅急便をはじめとする物流サービスの安定提供に取り組みました。そして、本年度も中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、お客様や社会の多様化するニーズに対し総合的な価値提供を拡大させるため、以下の取組みを進めています。

①法人領域の成長による営業収益の拡大
拡大するEC需要や法人のお客様のサプライチェーンの変化に対応し、第一線の社員が法人のお客様のニーズを汲み取り、本社と地域が情報連携により一体的に機能することで、お客様の課題解決に取り組むとともに、集約・大型化した拠点を組み合わせた輸配送ネットワークと在庫管理システムの一元管理による在庫の流動化など、引き続き、お客様のサプライチェーン全体に対する価値提供に取り組みました。

②グループ全体の生産性向上
変化し多様化するお客様のニーズに応えるため、引き続き、データ分析に基づく需要や業務量予測の精度向上に努めながら、輸配送オペレーションの適正化を進めました。
また、拡大するECの需要に対し、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を進めながら、既存ネットワークにおけるターミナルと営業所の集約や再配置に取り組みました。そして、作業のオペレーション改革や自動化、デジタル化による配送工程の最適化と標準化を推進し、第一線の社員がお客様に向き合う時間と集配対応力の拡大を進めるとともに、安全や品質向上へつなげる取組みを行いました。
さらに、第一線の社員の管理間接業務の削減に向けた業務の標準化や、電子化によるBPR(業務プロセス改革)を推進しました。

③持続的な企業価値向上を実現する戦略の推進
持続的な企業価値向上を実現すべく、中期経営計画「Oneヤマト2023」では、データ戦略とイノベーション戦略の推進、経営体制の刷新とガバナンスの強化、「運創業」を支える人事戦略、資本効率の向上、およびサステナブル経営の強化に取り組んでいます。
データ戦略については、データ活用のさらなる高度化に向けて、デジタルデータの整備とデジタル基盤の強化を進めており、引き続き、需要予測の高度化やデジタルデータを活用したサービスおよびオペレーションの改善に取り組みました。
イノベーション戦略については、スタートアップの発掘と連携、投資を通じた新規事業の共創など、オープンイノベーションに向けた取組みを進めています。
ガバナンスの強化については、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持、強化など、コーポレート・ガバナンスの強化に継続して取り組むとともに、意思決定のスピードを重視したガバナンスの強化を進めています。
「運創業」を支える人事戦略については、ヤマトグループの約22万人の社員を最大の財産と認識し、職務定義の細分化や明確化により、お客様に向き合う第一線の人財を強化するとともに、グループをリードする人財や専門領域を担う人財が、働きがいを得ながら活躍するための仕組みづくりを進めています。
サステナブル経営の強化については、持続的な成長と持続可能な社会の発展を両立するため「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、”誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンのもと、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させるなど、環境と社会に配慮した経営を推進しています。当第1四半期においては、長期目標である「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」の達成に向け、中期目標として「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2020年度比)」を設定しました。この新たな中期目標の達成に向け、「EV20,000台の導入」「太陽光発電設備810件の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を着実に推進してまいります。

<セグメント別の概況>
○リテール部門
① リテール部門は、宅急便をはじめとする高品質な小口輸送サービスを提供しており、グループ全体のビジネスの起点として、生活様式やビジネス環境に伴うお客様の変化を第一線の社員が汲み取り、本社と連携してグループの経営資源を活用したソリューション提案を行うなど、宅急便が持つあらゆるお客様との接点という特性を活かし、お客様のニーズに応える価値提供に取り組んでいます。また、5,000万人以上にご登録いただいている「クロネコメンバーズ」、法人のお客様約150万社以上にご利用いただいている「ヤマトビジネスメンバーズ」を中心に「送る」「受け取る」をより便利にするサービスの提供や、輸送以外の生活・ビジネスに役立つ様々なサービスの拡充に取り組んでいます。
② 当第1四半期においては、ビジネス現場のコミュニケーションツールを提供する企業様と連携し、法人のお客様における宅急便の発送をスマートフォンにより効率化するサービスを開始しました。
③ 外部顧客への営業収益は、多様化するニーズに応じた最適な荷物の発送やお届けに取り組んだ結果2,110億90百万円となり、前年同期に比べ2.0%増加しました。営業費用は、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、前年同期に比べ7.2%増加し、営業利益は前年同期に比べ94億6百万円減少しました。

○法人部門

① 法人部門は、ビジネスの中・上流領域を含む企業物流のサプライチェーン全体への価値提供を推進するた
め、物流オペレーションの改善や効率化に留まらず、お客様の経営判断に資するサプライチェーンマネジメント(SCM)戦略の企画立案、より実効性のあるプロジェクトの構築や管理運営まで担うアカウント営業の強化に取り組んでいます。
② また、実店舗とECのオムニチャネルでの販売体制の構築を進める小売業の事業者様に対し、集約・大型化した拠点と輸送ネットワークを組み合わせ、お客様のオムニチャネルでの販売在庫を流動化し、在庫と物流を一元管理して最適化する取組みを推進しています。さらに、店舗向け商品ならびに公式通販サイト向け商品の調達から保管、梱包、配送までのすべての物流業務をヤマトグループにて一括管理を行う総合的な価値提供に資する提案営業に注力しています。
③ 成長が続くEC領域に対し、需要が集中する都市部において、仕分け・輸送からラストマイルまでのオペレーションプロセスを簡素化したEC物流ネットワークの構築を推進しています。また、大手EC事業者様との連携のもと、オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けて、受注から出荷・配送まで運営に業務の全部または一部機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組んでいます。さらに、需要が拡大する越境ECにおいては、輸入通関に関わるシステムと国内配送ネットワークを円滑に連携し、お届けまでのリードタイム短縮を実現する取組みを推進しています。
④ 当第1四半期においては、マウスピース歯科矯正サービスを提供する事業者様と連携し、ヤマトグループの国内ネットワーク上に設置した3Dプリンターを活用し、オンデマンドで生産したマウスピースを、スピーディーにお届けするサービスを開始しました。これにより、患者様の治療期間の短縮を図るとともに、治療計画の変更により生ずるマウスピースの廃棄削減に向けた取組みを進めていきます。
⑤ 外部顧客への営業収益は、EC需要拡大への対応や法人顧客の物流最適化に向けた取組みを推進したことなどにより1,982億54百万円となり、前年同期に比べ4.1%増加しました。一方、中期経営計画「Oneヤマト2023」の推進に伴う費用が増加したことなどにより、営業利益は前年同期に比べ7億46百万円減少しました。

(略)

○その他
① 当第1四半期においては、引き続き、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送や車両整備サービスの拡販に取り組みました。
② 外部顧客への営業収益は148億14百万円となり、前年同期に比べ34.1%減少しました。営業利益は38億26百万円となり、前年同期に比べ8億71百万円減少しました。

<ESGの取組み>
① ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当第1四半期においては、安全の意識向上を図るため、グループ全体で「交通事故ゼロ運動」を実施するとともに、永年無事故運転者に対する表彰式を開催しました。なお、子どもたちに交通安全の大切さを伝えることを目的として、1998年より継続して全国の保育所・幼稚園・小学校などで実施している「こども交通安全教室」については、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて開催を見送りました。
② ヤマトグループは、企業価値の最大化を図ることを経営上の最重要課題の一つとして位置付け、コーポレート・ガバナンスの取組みの中で、経営体制の強化に向けた施策を実践しています。そして、グループ企業理念に基づき、法と社会的規範に則った事業活動を展開するとともに、コンプライアンス経営を推進しています。

③ ヤマトグループは、中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」で掲げた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」と「共創による、フェアで、”誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」のもと、「サステナブル中期計画2023[環境・社会]」を策定し、サステナブル経営の強化に取り組んでいます。
④ このうち「環境」の分野では、事業活動の環境負荷を減らすため総量目標を定めるとともに、資材や車など、物流業界として革新的な技術の普及に貢献できる分野についても目標を定めました。さらに、多様なパートナーと協働したグリーン物流への取組みや環境負荷が少ない商品やサービスの提供も目標とし、環境価値の創出に取り組んでいます。
⑤ また、「社会」の分野では引き続き、人材の多様性を尊重し、社員が活躍できる職場環境を整備するとともに、社会の課題に向き合い、共創による地域づくりを推進するなど、豊かな社会の実現に取り組んでいます。当第1四半期においては、トラックドライバーの労働環境の改善、輸送費用の低減、環境への負荷軽減などを検証するため、国土交通省と共同で、道北地域の「道の駅」での中継輸送に関する実証実験を実施しました。
⑥ ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。引き続き、地域社会の健全で持続的な発展と地域の皆様の安心・快適な生活をサポートする地域密着のコミュニティ拠点として「ネコサポステーション」を運営し、家事サポートサービス、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービスハローライト訪問プラン」の展開や、生活全般に関わる相談窓口の設置、地域の皆様が交流できるイベント開催などに取り組んでいます。
⑦ ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。

(略)

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