ヤマト運輸/DRIPSと3Dプリンターを活用した 歯科矯正用マウスピースの製造、配送サービスを5月18日から開始 物流全般 2023.06.17 3Dプリンターを活用した、 歯科矯正用マウスピースの製造、配送サービスを5月18日から開始 ー 治療進捗に対応したマウスピースをスピーディーにお届け ー マウスピース歯科矯正サービス「hanaravi(ハナラビ)」を提供する株式会社DRIPS(本社:東京都千代田区、代表取締役:各務康貴、以下「DRIPS」)とヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:長尾裕、以下「ヤマト運輸」)は、ヤマトグループの国内ネットワーク上に設置した3Dプリンターを活用した歯科矯正用マウスピースの製造、配送サービスを5月18日(水)から開始します。 記 1.背景および目的 これまでワイヤーが一般的だった歯科矯正ですが、軽中度な場合、透明で周囲から目立ちにくく、ワイヤーと比べ安価なマウスピース矯正が拡大しています。マウスピース矯正は1~2週間ごとにマウスピースを交換し、歯列を少しずつ動かすため、患者さま1人あたり20~30段階の異なる歯型模型が必要となります。またマウスピースは1つ1つ患者さまごとに異なることから大量生産が難しく、人件費が安い海外の歯科技工所で、初期計画をもとに矯正開始から完了までを一括製造し、輸入するスタイルが一般的でした。 口腔環境の改善で病気予防や健康維持を目指すDRIPSは、2019年に矯正専門の歯科と提携し、マウスピース矯正サービスの提供を開始しました。SNSを活用した遠隔経過診察で、忙しい方や近所にクリニックがない方でも歯科矯正を始めやすいことから、サービス開始以降利用希望者は1万人を超えました。また、これまでの効果検証から、歯の動きに合わせてより短期間でマウスピースを交換することで、治療期間を短縮できることが判明したため、よりスピーディーなマウスピース交換で患者さまの負担を軽減する製造体制の強化、および機械化を含むマスカスタマイゼーション※1の実現を模索していました。 ヤマト運輸は、高いオペレーション品質を要求される医療機器や医薬品メーカーのサプライチェーンの最適化に向け、2017年に羽田クロノゲートに3Dプリンターを導入し、人工関節の手術用治具の造形や、メディカル領域における試作品などを製造、配送してきました。今回は歯型造形用データから3Dプリンターの造形に適したデータへ自動補正するツールを新たに開発し、3Dプリンターによる製造から最終製品の仕上げ加工まで全工程の機械化により、国内初のマウスピースのオンデマンド・カスタマイズ生産を実現しました。 両社は、国内での安定したマウスピースの製造体制を構築し、成長が見込まれるマウスピース矯正市場に貢献するとともに、患者さまの治療進捗状況に沿ったサービス提供による治療期間の短縮、および治療計画の変更により生ずるマウスピースの廃棄の削減など、日本の歯科矯正に新たな価値を提供します。 ※1 マスカスタマイゼーション: 大量生産に近い生産性を保ちつつ、個々の顧客ニーズに合う商品を製造すること。 2.サービス提供までの流れと提供価値 【一般的なサービス提供の流れと課題】 【本サービスの流れとメリット】 【患者への提供価値】 治療進捗に応じた適切なマウスピースをスピーディーに受け取れるため、多数のマウスピースの自己管理やマウスピースの着け間違えなどのトラブル、マウスピース作り直しに起因する治療期間の延長などを回避でき、治療途中での断念防止につながります。また、個人の歯列の動きに合ったマウスピースを、より短期間で受け取り、交換できるため、矯正をより短い期間で完了させることが可能となります。 【歯科クリニックへの提供価値】 (1)マウスピース製造体制の強化、歯科矯正の治療期間の短縮などによる患者受け入れキャパシティーの拡大(2)遠隔経過診察による患者の待機時間解消などオペレーションの効率化(3)治療計画変更時のマウスピースの製造待ちで発生する治療期間の長期化、廃棄リスクの低減(4)国内製造による安心で安定した品質のマウスピースを提供 3.今後の展開 DRIPSは今後、信頼できる提携医院数を増やし、より多くの患者さまの受け入れを可能にしていきます。将来的には、歯科領域から身体全体の予防領域へとサービスの拡張も目指し、日本の社会保障費の抑制に貢献します。また、OEMによる製造受け入れも行う予定です。ヤマト運輸は、羽田クロノゲートに続き、全国にあるヤマト運輸の主要拠点に順次3Dプリンターを増設し、患者さまに近い拠点で製造することで、よりスピーディーにお届けするサービスを強化していきます。また今後は、本製品に限らず、3Dプリンターを活用したものづくりから新しい運び方にチャレンジし、設計開発領域から製造、配送まで一貫したソリューションを提供することで、多品種少量生産、オンデマンド製造といったデジタル製造ニーズへの対応、型レス製造による製造コスト低減、将来に向けたアディティブマニュファクチャリング※2の強化などを進めているメーカーの製造プロセス・サプライチェーン変革に貢献していきます。 ※2 アディティブマニュファクチャリング:塑像のように材料を付加しながら製造していく造形方法、あるいはそれによる加工のこと。