日本郵船/経常利益は前年比365・9%増(2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)) 決算短信 2023.06.17 2022年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)単位・百万円 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 2022年3月期 2,280,775 41.8 268,939 275.9 1,003,154 365.9 1,009,105 624.82021年3月期 1,608,414 △3.6 71,537 84.9 215,336 384.0 139,228 347.2(注)包括利益 2022年3月期 1,156,080百万円 (548.7%) 2021年3月期 178,212百万円 (-%) (略) (1)当期の経営成績の概況 (略) (概況)当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症による世界経済への影響が継続する中、ライナー&ロジスティクス事業を中心に輸送スペースの需給が逼迫した状況が続き、運賃水準が上昇しました。これにより、第1四半期から、前年度における各四半期の業績を上回り、好調に推移しました。コンテナ船部門では、旺盛な貨物需要が継続する中、新型コロナウイルス感染症拡大を端緒とするサプライチェーン全体の混乱が収束せず、年間を通じて強い市況推移となりました。これにより、OCEANNETWORK EXPRESS PTE. LTD. (“ONE社”)の業績は堅調に推移しました。航空運送事業と物流事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により国際旅客便の減便・運休が継続する一方、貨物の荷動きは堅調に推移しました。また、海上輸送の混乱を受け、海上貨物の一部が航空輸送に切り替わる動きも継続しました。不定期専用船事業については、自動車輸送部門では、配船の工夫等により船舶の稼働率を向上させ、自動車物流では不採算事業から撤退する一方、成長が見込まれる事業への投資を行い、事業ポートフォリオ再編を進めました。ドライバルク輸送部門では、鉄鉱石や石炭の荷動きが堅調であったことに加え、台風や豪雨、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための水際対策により世界的に滞船が発生した結果、需給が逼迫し、市況は各船型で前年度を大きく上回る水準で推移しました。エネルギー輸送部門では、船腹需給バランスにおける不均衡により、タンカーの市況が前年度比で大きく下落しましたが、LNG船を中心に安定的な収益を生む長期契約に支えられ、堅調に推移しました。燃料油価格は前年度比で上昇しました。これらの結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高2兆2,807億円、営業利益2,689億円、経常利益1兆31億円、親会社株主に帰属する当期純利益1兆91億円となり、大幅な増収増益となりました。なお、当社持分法適用会社ONE社の好調な業績等により、営業外収益で持分法による投資利益として7,426億円を計上しました。うち、同社からの持分法による投資利益計上額は当連結会計年度において7,137億円、第4四半期連結会計期間では2,224億円となりました。 <セグメント別概況>(略) <定期船事業>コンテナ船部門においては、新型コロナウイルス感染症拡大を端緒とする港湾混雑や、ドライバー不足等による内陸部の混雑が緩和されず、サプライチェーン全体の混乱が収束しなかったことにより、需給が逼迫しました。第4四半期では、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受けましたが、需給逼迫による運賃市況の上昇が継続し、ONE社の業績は堅調に推移しました。主要航路のうち、北米航路においては、港湾混雑に起因する回転率の低下により減便を余儀なくされた結果、積高は前年度を下回り、消席率は前年度を上回りました。また、欧州航路では、積高は前年度を上回りましたが、下半期に需給の逼迫が軟化した影響で消席率は前年度を下回りました。運賃は両航路ともに前年度を上回り、収支良化に大きく寄与しました。このような状況下、ONE社はコンテナの追加調達や臨時便投入を通じて、サプライチェーンの混乱への対応に努めました。以上の結果、定期船事業全体では前年度比で増収増益となりました。 <航空運送事業>航空運送事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により国際旅客便の減便・運休が継続する一方、航空貨物の荷動きは自動車・半導体関連貨物等を中心に堅調に推移しました。更に、コンテナ船の輸送スペース不足や港湾混雑の影響により海上貨物の一部が航空輸送に切り替わる動きも継続し、貨物搭載量・運賃ともに高水準で推移しました。ロシア・ウクライナ情勢の影響により第4四半期に一部の欧州線を運休しましたが、当事業の業績への影響は軽微なものに留まりました。以上の結果、航空運送事業全体では前年度比で大幅な増収増益となりました。また第3四半期には、今後の事業環境の変化に応じた柔軟な機材の活用を可能とするため、ボーイング747-8F計7機のリース契約を中途解約の上、自社保有化を行いました。これによりリース契約の解約金として、第3四半期に約80億円の特別損失を計上しました。 <物流事業>航空貨物取扱事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により国際旅客便の減便・運休が継続し、供給スペースが減少している中、旺盛な需要を受け、需給は逼迫しました。このような状況下、機動的な購買活動により輸送スペースを確保し、チャーター機材を手配したことで取扱量は前年度比で増加し、業績を牽引しました。海上貨物取扱事業は、港湾や内陸部の混雑に伴う需給逼迫により、輸送スペース確保に苦慮し、取扱量は前年度比で微減となりましたが、高騰する仕入れ価格に販売価格が追い付き利益水準が改善し、堅調に推移しました。ロジスティクス事業は、需要の底堅い一般消費財を中心に前年度比で取扱量が増加しました。内航輸送事業は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けた前年度から輸送需要が復調し、取扱量が増加しました。以上の結果、物流事業全体では前年度比で増収増益となりました。 <不定期専用船事業>自動車輸送部門では、世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染症の影響に起因する自動車部品不足による完成車取扱台数への影響がありましたが、最適な配船計画と航海スケジュールの策定を行うことで船舶の稼働率を向上させつつ、関係会社との協働や、顧客との綿密な情報交換を通じて代替貨物の集荷を行い、前年度比で取扱台数は増加しました。また、環境対応船の整備を積極的に推進し、3月には2隻目のLNG燃料自動車専用船が稼働を開始しました。自動車物流は、国・地域ごとに事業環境が異なる中で、不採算事業からの撤退を含む合理化・コスト削減を進める一方、成長が見込まれる事業への投資を行い、トルコでの完成車ターミナル建設や開業、中国から中央アジアへの完成車鉄道輸送の取組み等、事業ポートフォリオ再編を進めました。ドライバルク輸送部門では、ケープサイズは、7月から9月のピークシーズンに、雨期が明けたブラジル出しの鉄鉱石の出荷が伸びる一方、中国では度重なる台風・豪雨の被害や、新型コロナウイルス感染症の水際対策強化により再び滞船隻数が増加し、市況は11年ぶりの高値となりました。中国での滞船解消に伴い、市況は10月上旬をピークに反落したものの前年同期を大きく上回る水準で推移しましたが、1月以降は季節的調整局面に入り、前年同期並みの水準となりました。パナマックスサイズは、6月から7月にかけて天然ガス価格が石炭価格を上回ったため、石炭調達が活発化し、電力需要期を前に中国で石炭輸入が増加した結果、市況は10月にピークに達しました。その後、世界的な滞船が鎮静化するにつれ、市況は調整局面に入りましたが、1月以降はブラジル出し大豆の荷動きが例年より早く始まり、前年同期を上回る水準で推移しました。結果として、市況は前年同期を大きく上回る水準で推移しました。このような環境下、市況変動による収支影響を抑えるために先物取引を用いて収入を固定化するほか、長期契約獲得による収入の安定化と効率的な運航によるコスト削減に努めました。エネルギー輸送部門では、5月以降にOPECプラスの協調減産が段階的に縮小されたものの、船腹需給バランスの改善には至らず、VLCC(大型タンカー)と石油製品タンカーの市況は歴史的な低迷が続きました。2月下旬にはロシア・ウクライナ情勢の影響を受けて石油製品タンカーの市況は急騰したものの、VLCC(大型タンカー)の市況への影響は一時的となり、低迷が続きました。VLGC(大型LPGタンカー)は、6月以降、季節的な不需要期に入ったことに加え、米国出しLPG価格の高止まりにより、米国出しと中東出しのLPG価格差が縮小した結果、長距離輸送により輸送費が相対的に割高となる米国出しの取引が鈍化し、荷動きも減少したため、市況は低調に推移しました。9月以降は冬場の需要期に向けた荷動きに加えてパナマ運河の混雑により市況が高騰したものの、好市況だった前年同期を下回りました。タンカーは市況変動の影響を受ける短期契約の割合は小さいものの、前年同期比で市況の下落幅が非常に大きく、収支を悪化させる要因となりました。LNG船は安定的な収益を生む長期契約に支えられて順調に推移しました。また海洋事業はFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)、ドリルシップが順調に稼働しました。以上の結果、不定期専用船事業全体では前年度比で増収増益となりました。 <不動産業、その他の事業>不動産業は、当社子会社株式の一部譲渡に伴い、前年度比では減収減益となりました。またこの譲渡により、第2四半期において約230億円の特別利益を計上しました。その他の事業は、燃料油販売事業が好調に推移し、船用品・船用資材販売事業、および技術サービス業で復調が見られ、前年度を上回る業績となりました。客船事業は、乗船当日のPCR検査等新型コロナウイルス感染症対策を強化しながら、一部のクルーズを催行しました。また第4四半期では、1月からの定期入渠後に運航再開を予定していましたが、3月下旬に電気関係機器の不具合が発生し、運航休止となりました。これらにより、その他の事業では前年度比で増収となりましたが、損失を計上しました。 (略)