商船三井/LNG燃料フェリー2隻を建造 グリーン物流(環境) 2023.06.17 最新鋭LNG燃料フェリー2隻の建造を決定~風を活かすスーパーECOフェリー誕生 加速するモーダルシフトへの対応~ 2022年02月17日 株式会社商船三井商船三井フェリー株式会社内海造船株式会社 株式会社商船三井(社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「商船三井」)とグループ会社である商船三井フェリー株式会社(社長:尾本 直俊、本社:東京都千代田区、以下「商船三井フェリー」)は、最新鋭LNG燃料フェリー2隻(以下「本船」)を建造します。 商船三井は内海造船株式会社(社長:原 耕作、本社:広島県尾道市、以下「内海造船」)と造船契約を締結しました。本船は2025年に竣工を予定し、商船三井フェリーが運航する大洗~苫小牧航路において既存船(註1)の代替として就航する予定です。 商船三井グループでは2023年に就航予定の日本初のLNG燃料フェリー2隻「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」(註2)を建造中ですが、今回の2隻を追加することによって、業界の環境対応をリードしていきます。 また、本船はLNG燃料に加え様々な最新技術を採用することにより、従来船に比べCO2の排出量を約35%抑えることが可能となり、次世代のスーパーECOフェリーの建造を実現します。 (内海造船作成本船イメージ) 本船の3大特長 LNG燃料を使用LNG燃料は、従来の燃料油に比べて、二酸化炭素(CO2)では約25%、硫黄酸化物(SOx)では100%、窒素酸化物(NOx)では約85%の排出削減効果が見込め、環境負荷を大幅に下げることが可能となります。 最新鋭の技術を搭載燃料消費量を抑えるべく、船首が丸みをおびた流線形の形状で、斜め向かい風を推進力として利用できる「ISHIN船型(註3)」を採用。また、推進効率を高めた高性能のエンジンを搭載しました。この他にも、内海造船が開発した省エネ装置などの新技術を取り入れ、さらなるCO2の削減を実現します。 モーダルシフト(註4)対応今後モーダルシフトの加速により有人トラックの乗船増が見込まれることから、トラックドライバーの方々にも快適に過ごしていただけるよう、客室は従来の大部屋を廃止し全室個室化します。間接的ではありますが、モーダルシフトをサポートすることによってCO2排出削減に貢献していきます。 商船三井グループは「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」(註5)において、2050年までにグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成を掲げました。国内外でのLNG燃料供給体制の整備推進を通してLNG燃料の普及を進めるとともに、クリーン代替燃料の導入戦略(図1)として2030年までにLNG燃料船を約90隻投入する予定です。本船の建造開発や運航を通じ、LNG燃料船の技術発展や安全運航を確立するとともに、引き続きLNG燃料の普及に積極的に取組んでいきます。今後もグループ一丸となってお客様や社会の環境負荷低減のニーズに応え、低・脱炭素化社会の実現に貢献していきます。 内海造船は本船に搭載予定の省エネ装置「ステップ(Spray Tearing Plate)」(註6)の開発を始め、以前から省エネ技術の向上に努めて来ました。今般、初めての受注となるLNG燃料フェリーの建造を通じ、LNG燃料を採用した低環境負荷型の内航フェリー・RORO船の生産拡大を目指し、高度な環境性能を備えた船舶の建造が可能な造船所として海上輸送に貢献していきます。 (図1) (註1)代替対象である既存船「さんふらわあ だいせつ」、および「さんふらわあ しれとこ」と、本船の比較は下表をご覧ください。 新造船(予定) 既存船 船名 今後決定します。 さんふらわあ だいせつさんふらわあ しれとこ 旅客定員 157名 154名 乗用車 50台 62台 トラック積載可能数(13m換算) 155台 135台 全長 199.4m 190.0m 総トン 約15,600トン 約11,400トン 主機 低速エンジン1基 中速エンジン2基 主な使用燃料 LNG(適合油での運航も可能) 適合油(C重油) (註2)「さんふらわあくれない」「さんふらわあむらさき」に関する過去リリースは以下をご参照ください。-2019年11月20日付リリース日本初のLNG燃料フェリー「さんふらわあくれない」「さんふらわあむらさき」2隻の建造を決定 ~最新技術による「環境負荷の低減」及び「モーダルシフトへの対応」の達成と「伝統の継承」を共立させた大型フェリー~ | 商船三井 (mol.co.jp)-2020年07月15日付リリースLNG燃料船「いしん」、「さんふらわあくれない」、「さんふらわあむらさき」、内航船省エネ格付け最高評価を取得 | 商船三井 (mol.co.jp) (註3)当社と商船三井テクノトレード株式会社、株式会社三井造船昭島研究所の3者で共同開発した船首・船側方向からの風圧を低減する形状とし、風の流れをスムーズにすることに加え、斜め向かい風から受ける揚力を推進力として利用する船型です。高速で航行するフェリーの特性を活かしたものです。 (註4)貨物トラックによる輸送を内航船による海上輸送や鉄道輸送に切り替えることを「モーダルシフト」と呼び、長距離トラックドライバーの不足、CO2排出量削減の解決策として昨今注目が集まっています。また、フェリー乗船中はゆったりと休息時間を過ごせる点もトラックドライバーおよび運送会社から好評を得ています。商船三井グループのフェリー・内航RORO船は定期運航であり便数も多いことから、陸上輸送時の道路渋滞、交通事故などのトラブルを回避し、計画的な輸送が可能です。 (註5)商船三井グループ環境ビジョン2.1商船三井グループ環境ビジョン2.1 | 環境 | サステナビリティ | 商船三井 (disclosure.site) (註6)「ステップ」は、内海造船と国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所と共同で特許を取得した、波浪(海面の波・うねり)による抵抗を抑制する矩形状の省エネ装置です。船首喫水上部に左右一組の小型構造物を取り付けることでその効果を発揮します。通常、船が航行すると船首部に当たる波が抵抗となって、船速の低下と燃費の悪化を引き起こしますが、「ステップ」は、この船首部の波を船体から剥離させることで、速力の低下を抑え、結果として燃費を向上させることを可能にしました。「ステップ」を装着した船は、燃費性能が実測値で約2%向上することが証明されており、運航コストの削減や、環境貢献など多方面から高い評価を受けています。