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ヤマトホールディングス/経常利益は前年比131・4%増(2021年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))

決算短信 2023.06.17

2021年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
単位・百万円  

       営業収益   営業利益   経常利益    当期純利益

2021年3月期 1,695,867 4.0  92,121 106.1  94,019 131.4   56,700 154.0

2020年3月期 1,630,146 0.3  44,701 △23.4  40,625 △25.1  22,324 △13.1

(注)包括利益 2021年3月期  73,292百万円 (324.0%) 2020年3月期  17,285百万円 (△36.0%)

(略)

(1)当期の経営成績の概況

当連結会計年度における経済環境は、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響で停滞していた経済活動が再開し たことに伴い、製造業を中心に景況感の改善がみられたものの、今後の感染状況や収束時期が不透明な中、国内外に おいて感染が再拡大するなど、依然として内外経済環境の回復が見通せない状況にあります。また、新型コロナウイ ルス感染症の影響により、テレワークの推進、診療や教育分野におけるサービスのオンライン化など、ライフスタイ ルやビジネス環境が変化し、全産業のEC化が加速しています。 このような状況下、ヤマトグループはお客様、社会のニーズに応える「新たな物流のエコシステム」を創出するこ とで、豊かな社会の創造に持続的な貢献を果たしていくため、中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革 プラン「YAMATO NEXT100」に基づき、2021年4月からの新たな経営体制に先んじてグループ経営資源を結集しなが ら、宅急便のデジタルトランスフォーメーション、ECエコシステムの確立、法人向け物流事業の強化の3つの事業 構造改革と、グループ経営体制の刷新、データ・ドリブン経営への転換、サステナビリティの取組みの3つの基盤構 造改革を推進しました。当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの今後の感染状況や収束時期が不透明な 中、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に取り組みました。その中で、ライ フスタイルやビジネス環境の変化によりお客様に生じる課題の把握に努め、加速する全産業のEC化に対応し、新配 送サービスの拡販とさらなる利便性の向上を推進しました。そして、グループ全体でアカウントマネジメントを強化 し、遠隔医療分野における遠隔処方領域やGIGAスクール構想を進める教育分野における新たなニーズへの対応、 店舗、EC双方における最適なサプライチェーンを構築するソリューションの提供などに取り組みました。また、デ ータ・ドリブン経営への転換を推進し、データ分析に基づく需要予測により経営資源を最適配置し、集配および幹線 輸送の効率化を図るとともに、配送パートナーとの連携のもと新たな配送ネットワークを構築することで、集配キャ パシティの拡大とコストの適正化を推進しました。 当連結会計年度の連結業績は以下のとおりとなりました。

上記のとおり営業収益は1兆6,958億67百万円となり、前連結会計年度に比べ657億20百万円の増収となりました。 これは主に、成長が加速するEC領域に対応した結果、荷物の取扱数量が増加したことによるものです。営業費用は 1兆6,037億45百万円となり、前連結会計年度に比べ183億円増加しました。これは主に、荷物の取扱数量が増加する 中、データ分析に基づく経営資源の最適配置による集配効率の向上や幹線輸送、仕分け作業の効率化推進により費用 の適正化に努めたことなどによるものです。 この結果、当連結会計年度の営業利益は921億21百万円となり、前連結会計年度に比べ474億20百万円の増益となり ました。

<ヤマトグループ全体としての取組み>

① 新型コロナウイルス感染症に対応し、お客様に安心して宅急便をご利用いただくため、社員の衛生管理に最大 限留意するとともに、非対面での荷物のお届けや接客時の感染防止対策の実施、ホームページなどを活用した 情報発信などに取り組み、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に取り組みました。

② 持続的に成長していくためのグループ経営構造改革を推進し、今後のヤマトグループにおける中長期の経営の グランドデザインとして策定した経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づき、2021年4月からの新たな 経営体制に先んじてグループ経営資源を結集しながら、3つの事業構造改革と3つの基盤構造改革に向けた取 組みを推進しました。

③ 社員がお客様にしっかりと向き合う「全員経営」を推進するため、デジタルトランスフォーメーションによる 物流オペレーションの効率化、標準化を推進するとともに、データ分析に基づく需要や業務量予測、経営資源 の最適配置など、客観的かつ科学的な意思決定を実現するデータ・ドリブン経営への転換に取り組みました。

④ 社会のニーズに応え、ECの高い成長力を取り込むため、産業のEC化に特化した物流サービスの創出および ECエコシステムの確立に向けた取組みを推進しました。当連結会計年度においては、大手EC事業者様との 協業により、EC利用者様、EC事業者様、配送事業者の全てをデジタル情報でリアルタイムにつなぐこと で、購入、配送、受け取りの利便性と安全性、効率性を向上させる新配送サービス「EAZY(イージー)」 の拡販を推進しました。また、受け取りのさらなる利便性向上に向け、オートロックマンションにお住まいの お客様に自宅前などへの置き配を提供する、デジタルキーを活用した新しい機能の追加に取り組みました。オ ンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けては、受注から出荷・配送までの運 営にかかる業務の全体または一部機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組みました。 そして、デジタルテクノロジーを有するパートナーとの提携のもと、ECで購入した商品をスーパーやドラッ グストアなどお客様の生活導線上の店舗で受け取ることができるサービスの拡販を推進するとともに、新たな 「運創」モデルの構築に向けて、ライブ動画配信事業者様と連携し、ライブコマース機能を活用した生産者向 け販売支援の取組みを開始しました。

⑤ 法人向け物流事業の強化に向けて、グループ各社に点在する専門人材、流通機能や物流機能、物流拠点を結ぶ 幹線ネットワークなど法人向けの経営資源を結集し、お客様の課題解決に向けた取組みを推進するとともに、 精度の高いリアルタイムの情報を軸としたソリューションを提供するためのデータ基盤の構築などに取り組み ました。また、引き続き、海外事業のマネジメント強化を推進しました。当連結会計年度においては、ライフ スタイルやビジネス環境の変化によりお客様に生じる課題の把握に努め、遠隔医療分野における遠隔処方領域 やGIGAスクール構想を進める教育分野における新たなニーズへの対応、店舗、EC双方における最適なサ プライチェーンを構築するソリューションの提供などに取り組みました。また、個別化医療の進展を見据えた 物流課題の解決に向けた超低温帯での遺伝子検査用試薬の混載輸送を開始するとともに、社会インフラの一員 として接種体制の整備に貢献すべく、新型コロナウイルスワクチンのロジスティクスに取り組みました。

⑥ 持続的な成長と持続可能な社会の発展を両立するため、サステナビリティの取組みを推進し、環境と社会を組 み込んだ経営を実践すべく、「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」、「共創による、フェアで、”誰一人 取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンの下、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をよ り効率化させることで、環境や生活、経済によりよい物流の実現を目指し、特定した重要課題に対する取組み を推進しました。

⑦ お客様、社会のニーズに正面から向き合う経営をさらに強化するため、顧客セグメント単位の全体最適な組織 に変革し、経営のスピードをより速めるべくグループ経営体制の刷新に向けた取組みを推進しました。そし て、2021年4月より、連結子会社のヤマト運輸株式会社とグループ7社を統合し、純粋持株会社の当社のも と、リテール事業本部を統括するリテール部門、法人事業本部・グローバルSCM事業本部・EC事業本部を 統括する法人部門、機能本部およびコーポレート部門からなるグループ経営体制が始動しました。なお、この グループ経営体制の刷新に伴い、従来の6事業フォーメーションによるセグメントを、「リテール部門」と 「法人部門」の2事業によるセグメントに変更する予定です。

⑧ 経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づく取組みの進捗や成果を土台とし、生活様式や流通構造の急速 な変化により加速する全産業のEC化を踏まえ、2024年3月期を最終年度とするヤマトグループ中期経営計画 「Oneヤマト2023」を策定しました。本計画のもと当社グループは、名実ともに「Oneヤマト」に結集させた経 営資源を最大限に活用し、サプライヤー・メーカーから生活者までのサプライチェーン全体の変革を支援する ことで、個人、法人のお客様そして社会全体に対する価値提供を目指していきます。

<事業フォーメーション別の概況>

○デリバリー事業(略)

① デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便 を中心とした事業の展開に取り組んでいます。

② 当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの今後の感染状況や収束時期が不透明な中、お客様、社員の 安全を最優先に、宅急便ネットワークの安定稼働に取り組みました。また、物流全体におけるデジタル化の推 進による集配、作業、事務の効率化や、輸送効率を高めネットワーク全体を最適化するための幹線ネットワー クの構造改革を推進しました。

③ 成長が加速するEC領域に対し、大手EC事業者様との協業により、EC利用者様、EC事業者様、配送事業 者の全てをデジタル情報でリアルタイムにつなぐことで、購入、配送、受け取りの利便性と安全性、効率性を 向上させる新配送サービス「EAZY」の拡販を推進するとともに、受け取りのさらなる利便性向上に向け、 オートロックマンションにお住まいのお客様に自宅前などへの置き配を提供する、デジタルキーを活用した新 たな機能の追加に取り組みました。そして、デジタルテクノロジーを有するパートナーとの提携のもと、EC で購入した商品をスーパーやドラッグストアなどお客様の生活導線上の店舗で受け取ることができるサービス の拡販を推進しました。また、新たな「運創」モデルの構築に向けて、ライブ動画配信事業者様と連携し、ラ イブコマース機能を活用した生産者向け販売支援の取組みを開始しました。

④ 個人のお客様については、宅急便の発送手続きをスマートフォンで完結でき、オンライン決済や匿名配送など を利用できるサービスの提供により利便性の向上を図るとともに、キャッシュレス決済への対応によるさらな る利便性の向上に向けて、宅急便運賃の支払いなどについて、これまでの現金・電子マネー・オンライン決済 に加えて、新たに6種類のQRコード決済を導入する環境を整備しました。法人のお客様については、ビジネ ス環境の変化によりお客様に生じる課題の把握に努め、グループ連携のもとアカウントマネジメントを強化 し、遠隔処方領域において調剤薬局様に向けたソリューションを提供するなど、お客様の課題解決に当たる取 組みを推進しました。

⑤ 地域の課題解決に向けて、自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者の見守り支援など、住民への サービス向上に取り組みました。特に、地域社会における独居高齢者の増加や地域コミュニティの希薄化、地 域包括支援センターや民生委員など高齢者を見守る側の人材不足や高齢化、新型コロナウイルスの感染拡大に より離れた家族に気軽に会いに行けない状況など、新たな課題が顕在化している高齢者に対する、外部との通 信が可能なIoT電球とヤマト運輸の経営資源を活用した見守りサービスの提供地域を全国に拡大しました。 また、地域産品の販路拡大支援など、地元産業の活性化につながる取組みを推進しました。

⑥ 営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、荷物の取扱数量が増加したことなどにより1兆 4,189億93百万円となり、前連結会計年度に比べ8.3%増加しました。営業利益は、荷物の取扱数量が増加する 中、データ分析に基づく経営資源の最適配置により集配効率を向上させたことや幹線輸送、仕分け作業の効率 化を推進したことなどにより771億95百万円となり、前連結会計年度に比べ499億45百万円の増益となりまし た。

○BIZ-ロジ事業

① BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・ リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物 流システムを提供しています。

② 全産業のEC化が加速する中、ビジネス環境の変化により生じるお客様の課題に対応し、サプライチェーンの 変革を支援するトータル物流ソリューションを提供するため、グループ一体となりアカウントマネジメントを 推進しました。当連結会計年度においては、小売店舗を展開しながらEC領域の強化に取り組む事業者様に対 し、ヤマトグループの強みである全国の拠点ネットワークと輸配送ネットワークのシームレスな結合とデジタ ル情報の可視化を通じ、店舗、EC双方における在庫の適正化、スピード納品、輸配送コストの低減など経営 改善に資するサプライチェーン構築の最適化に取り組みました。そして、大手EC事業者様との連携のもと、 オンラインショッピングモールに出店するEC事業者様の物流最適化に向けて、受注から出荷・配送までの運 営にかかる業務の全体または一部機能を代行するサービスの拡販とさらなる利便性の向上に取り組みました。 また、個別化医療の進展を見据えた物流課題の解決に向けて、マイナス70度以下の超低温帯での遺伝子検査用 試薬の混載輸送を開始するとともに、社会インフラの一員として接種体制の整備に貢献すべく、新型コロナウ イルスワクチンのロジスティクスに取り組みました。

③ 営業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う移動の制限や美術展の開催中止により海外生活支援サー ビスや美術品輸送の取扱いが減少したものの、医療・衛生用品の緊急輸送や増加する越境ECの需要を取り込 んだことで貿易物流サービスの拡販が進んだことなどにより1,466億9百万円となり、前連結会計年度に比べ 1.9%増加しました。営業利益は51億8百万円となり、前連結会計年度に比べ2.7%増加しました。

○ホームコンビニエンス事業

① ホームコンビニエンス事業は、お客様の便利で快適な生活の実現に向けて、ヤマトグループの全国ネットワー クを活用し、生活支援事業に取り組んでいます。当連結会計年度においては、単身者向け引越サービス「わた しの引越」の提供エリアを全国に拡大し、拡販を推進しました。

② 営業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大などによる引越需要の減少や、「らくらく家財宅急便」のプラ イシング適正化による一部顧客の取扱い減少などにより268億47百万円となり、前連結会計年度に比べ3.4%減 少しました。利益面においては、営業損失が56億99百万円となりました。

○e-ビジネス事業

① e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、 決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に展開しています。また、グループ の事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進して います。

② お客様の業務効率化とエンドユーザーの利便性向上に向けたサービスとして、中古品の買取やECの返品にお ける企業から個人への支払いを、本人が希望する電子マネー等のキャッシュレス決済で支払うことができる 「マルチバリューチャージサービス」を提供しています。当連結会計年度においては、同サービスの導入を希 望する事業者様が、事前にシステム開発することなくスピーディーかつ安価にサービスを利用できる機能を付 加し、拡販を推進しました。 ③ 営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、商品の受注・出荷業務を支援する「Web出荷コン トロールサービス」の利用が拡大したものの、前期の軽減税率に対応したシステムサポートの反動減などによ り284億17百万円となり、前連結会計年度に比べ7.1%減少しました。営業利益は、利益率が高い既存サービス の取扱いが堅調に推移したことなどにより116億69百万円となり、前連結会計年度に比べ9.4%増加しました。

○フィナンシャル事業

① フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済など、お客様の様々なニーズにお応えする決済・ 金融サービスを展開しています。

② 決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス「ク ロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進していま す。当連結会計年度においては、ビジネス環境の変化により生じるお客様の課題に対応し、事業者様が新たに ECを開始するために必要となるショッピングカート機能、決済、配送をワンストップで支援する「らくうる カート」の拡販を推進しました。

③ 営業収益は、成長が加速するEC領域に対応したことで、「宅急便コレクト」や「クロネコwebコレクト」、 「クロネコ代金後払いサービス」の利用が増加したものの、リース事業を展開するヤマトリース株式会社株式 の一部譲渡に伴い連結範囲を変更したことなどにより396億71百万円となり、前連結会計年度に比べ48.5%減 少しました。営業利益は62億76百万円となり、前連結会計年度に比べ0.7%減少しました。

○オートワークス事業

① オートワークス事業は、複数拠点を保有する中規模運送事業者様の安全運行と車両稼働時間の拡大に資する、 稼働を止めない車両整備サービスを提供しています。また、「物流施設、設備機器の維持保全・職場環境改 善」やこれらの資産および社員を対象に「お客様のリスクマネジメントに繋がる最適な保険提案」という機能 を付加することで、お客様の資産稼働率を高めるサービスを展開しています。

② 当連結会計年度においては、作業効率を追求した整備工場「スーパーワークス」を新たに4拠点設置し、さら なるネットワーク強化を行うとともに、お客様との定期的なコミュニケーションによるメンテナンスサービス の拡販に取り組みました。

③ 営業収益は、燃料販売量が減少したことなどにより218億33百万円となり、前連結会計年度に比べ12.4%減少 しました。営業利益は36億円となり、前連結会計年度に比べ16.2%減少しました。

○その他

① 「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客 様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当連結会計年度においては、新型 コロナウイルスの今後の感染状況や収束時期が不透明な中、引き続き、サービスの拡販に取り組みました。

② 営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて14億95百万円 となり、前連結会計年度に比べ21%減少しました。

(略)

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