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川崎汽船/次世代型環境対応 LNG 燃料自動車専用船CENTURY HIGHWAY GREENが竣工

グリーン物流(環境) 2023.06.17

次世代型環境対応 LNG 燃料自動車専用船”CENTURY HIGHWAY GREEN”が竣工

3月12日、今治造船グループの多度津造船株式会社で建造中であった液化天然ガス(LNG)を 燃料とする自動車専用船”CENTURY HIGHWAY GREEN”が竣工し、当社に引き渡されました。 本船は従来の重油燃料の船に比べ、温室効果ガス(GHG)である二酸化炭素(CO2)の排出を 25%~30%(注1)、大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOx)の排出をほぼ100%、LNG燃料の使用 に加えEGR(Exhaust Gas Recirculation)を使用することにより窒素酸化物(NOx)の排出は 80%~90%の削減を見込む次世代型環境対応船です。低環境負荷での輸送を実現する、当社運航 自動車専用船で初めてとなるLNG燃料船の就航は、当社が掲げる『”K” LINE 環境ビジョン 2050』の目標達成に向けた重要なマイルストーンとなります(注2)。 また、去る3月3日には、竣工に先立ちリモート形式による命名式が執り行われました。愛 知、香川、岡山、東京の4拠点をオンラインで結び、トヨタ自動車株式会社(本社 : 愛知県豊 田市、代表取締役社長 : 豊田 章男)の内山田竹志代表取締役会長ご夫妻、国土交通省海事局 の大坪新一郎局長、環境省中国四国地方環境事務所の上田健二所長、今治造船株式会社 檜垣幸 人代表取締役社長、ならびに当社代表取締役社長の明珍幸一らが出席しました。本船は、当社 自動車専用船で過去4隻に採用した伝統ある”CENTURY HIGHWAY”という船名に、地球や環境と の調和をイメージさせる”GREEN”を冠し、命名されました。 本船では、さまざまな環境対応策やデジタル技術を採用し、当社が重要課題としている安 全・環境・品質の向上を図っています。

◼ 本船概要

全長 : 199.98メートル

型幅 : 37.2メートル

最大積載自動車台数 : 7,080台

総トン数 : 73,515トン

LNG燃料タンク容量 : 2,439立方メートル

船籍 : 日本

◼ 本船の環境仕様

⚫ LNGとMGO(Marine Gas Oil)いずれの燃料でも運転可能な2元燃料焚き主機及び補機(発 電機、ボイラー)を採用。主機には高圧タイプのME-GIエンジンを採用し、GHGであるメタ ンスリップ(未燃ガス)の排出を低減しています。

⚫ 主機にEGR(Exhaust Gas Recirculation)、発電機にSCR(Selective Catalytic Reduction 選択触媒還元)を採用し、LNG、MGOのいずれの燃料の場合でもNOx Tier Ⅲ規 制をクリアしています。

⚫ 本船の建造にあたっては、環境省及び国土交通省の連携事業である「代替燃料活用による 船舶からのCO2排出削減対策モデル事業」の支援を受けています。

⚫ 本船の建造資金の一部は、国内初となるトランジションローンにより、株式会社みずほ銀 行と三井住友信託銀行株式会社より調達しています。<参考リンク参照>

⚫ LNG燃料船普及によるGHG削減促進のため、本船は教育訓練船仕様で建造されています。 LNG燃料船の拡大には、船長・機関長、並びに全機関士に求められるIGF(注3)甲種資格 の取得が課題です。その取得要件にはLNG燃料船での乗船訓練が含まれており、本船では 多くの船員が乗船訓練できるよう、設計段階から世界最大級となる最大搭載人員50名とし ました。

◼ 本船に搭載されたデジタル技術

⚫ 船内Wi-Fiの拡充 従来の居住区に加えて貨物デッキ、機関室、LNG燃料関連機器室にも設置し、船内の遠 隔監視など業務効率の改善を目指します。

⚫ 船内カメラの設置 貨物デッキ、機関室に複数台のWEBカメラを設置し、船内Wi-Fiを通じ、船内の各PCや 携帯情報端末でリアルタイムにモニターする事が可能となりました。録画も可能で、 陸上からもインターネット経由で船内状況を確認できるようになります。

⚫ 携帯情報端末の活用 船内Wi-Fiを利用して、複数のスマートフォンやスマートグラスによる音声、映像、テ キスト通信や電子ファイル等の共有が行え、業務の効率向上や負荷軽減、また乗組員 同士のコミュニケーション強化が図れます。これらの端末は船陸間の音声映像通信に も活用されます。

⚫ Dual Fuel 補機関の異常診断システム 異常診断技術を利用した状態監視メンテナンス支援システムとして「ClassNK-CMAXS」 を搭載しました。

(注 1) EEDI(エネルギー効率設計指標)ベースでは 2025 年以降の建造契約船に適用される Phase3(30%)を超える約 45%の CO2 排出量削減を見込んでおります。 EEDI について:https://www.kline.co.jp/ja/csr/environment/regulation.html

(注 2) 『”K”LINE 環境ビジョン 2050』は、2015 年に策定した環境に関わる長期指針。 2020 年 6 月の改訂により、国際海事機関(IMO)が定める 2030 年目標である「CO2 排出効率 2008 年比 40%改善」を上回る「同 50%改善」という目標を設定し、そのア クションプランとして「LNG 燃料船の導入」を掲げている。

(注 3) 国際海事機関(IMO)が定める「LNG 燃料などの低引火点燃料を使用する船舶に適用さ れる安全コード」(IGF コード)。

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