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東京海上日動火災保険/外航貨物保険の保険金請求へのブロックチェーン技術適用に向けた実証実験を完了

物流システム 2023.06.17

外航貨物保険の保険金請求へのブロックチェーン技術適用に向けた実証実験の完了

東京海上日動火災保険株式会社(取締役社長 北沢 利文 以下:東京海上日動)と株式会社NTT データ(代表取締役社長 本間 洋 以下:NTTデータ)は、外航貨物海上保険における保険金請求 へのブロックチェーン技術適用に向けた実証実験※1 を完了しましたので、お知らせします。 外航貨物海上保険における保険金請求プロセスへのブロックチェーン技術の適用を、世界 8 拠点で 完了したのは国内で初めてであり※2、国際的にも先駆的な取り組みです。

※1 2017 年 10 月 31 日付ニュースリリース「外航貨物保険の保険金請求へのブロックチェーン技術適用に向けた実 証実験を開始」 http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/171031_01.pdf http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2017/103101.html ※2 東京海上日動ならびにNTTデータ調べ

1.背景

海外で貨物事故が発生した際に、主に事故対応を行う拠点(海外クレーム代理店)が保険金をお支 払いする際には、紙や PDF ファイル等で存在している事故報告書や貨物の損傷写真、Invoice(商業 送り状)等の貿易関連書類ならびに保険証券を収集する必要があり、さらに保険会社へ補償内容をメ ール等で確認する必要があります。また、海外クレーム代理店と鑑定会社との間で、事故の内容等に 関して情報共有も必要となります。 このため、海外クレーム代理店が、世界中に点在する貿易関連書類と最新の保険証券の収集、関係 者との情報共有をいかに迅速かつ正確に実施できるかが、迅速な保険金支払い手続きを実現する上で の課題となっています。 「ブロックチェーン」はデータの耐改ざん性を確保した状態でネットワーク参加者間での情報共有 が可能な分散ネットワーク技術であり、東京海上日動とNTTデータは 2017 年 11 月から、外航貨物 海上保険における保険金請求プロセスへのブロックチェーン技術適用に向けた共同実証実験を開始 しました。

2.実証実験概要

(1)内容

本実験では、事故報告書や貨物の損傷写真、Invoice(商業送り状)等の実際の保険金のお支払 い業務で利用したデータをブロックチェーン上に流通させて、欧州、米州、アジアの計 8 拠点の海 外クレーム代理店ならびに鑑定会社へ速やかに共有され、保険金のお支払いプロセスに利用できる かを検証しました。 技術面では、貨物の損傷写真やサーベイレポート(鑑定結果の報告書)などの大容量データを、 ブロックチェーン上で円滑に参加者間で共有できることが確認できています。また、適切なアクセ ス性能や業務効率性の観点からの検証も行いました。

【検証した海外の拠点】

・欧州 : ドイツ、オランダ

・米州 : 米国、チリ

・アジア: 中国、台湾、韓国、タイ

外航貨物保険・保険金支払い実証実験イメージ

(2)実施時期 2017 年 11 月~2018 年 8 月

(3)検証結果

本実験で実証できた主な結果は以下の通りです。

<確認された期待効果の例>

期待効果

被保険者(荷主等)

・保険金請求に必要な書類の用意や、提出にかかる業務の削減 ・保険金支払いの迅速化(最大 1 か月超が1週間程度まで短縮可能)

保険会社

・海外クレーム代理店への情報共有業務の削減

海外クレーム代理店

・保険金請求に必要な書類のご案内、取り付けにかかる業務の削減

・保険会社へ保険の契約内容を確認する業務の削減 (時差により確認作業が遅延する等の影響を極小化)

・鑑定会社への情報を連携する業務の削減

・保険情報を含む必要情報の即時入手による保険金支払いの迅速化 鑑定会社

・早期の書類取り付けによる鑑定作業の迅速化 ・保険の契約内容の即時入手による鑑定作業の品質向上

3.今後について

本実証実験を通じて、外航貨物海上保険の保険金請求プロセスへのブロックチェーン技術を適用す ることの有効性が確認できました。 東京海上日動とNTTデータは、本実証実験を通して得られた課題への対応を継続して検討し、 2019 年度中に一部を実用化することを目指して、取り組んでいきます。

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