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国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構/輸送機器の軽量化を目指す新材料の開発プロジェクトを拡大

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輸送機器の軽量化を目指す新材料の開発プロジェクトを拡大

―異種材料を適材適所に組み合わせる技術など、4テーマを追加―
2018年5月8日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭

NEDOは、自動車など輸送機器の軽量化を目指す新材料の研究開発プロジェクトで、4つの研究開発テーマを追加採択しました。マルチマテリアル設計と評価技術を確立し、新材料を適材適所に組み合わせる技術の実現を目指すことで、輸送機器を軽量化して燃費改善に貢献します。これまでプロジェクトで軽量化開発を進めてきた鋼板、アルミニウム材、チタン材、マグネシウム材、炭素繊維、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの実用化に向けて加速していきます。

  • 「革新的新構造材料等研究開発」プロジェクトの概要イメージ図
    図 「革新的新構造材料等研究開発」プロジェクトの概要

1.概要

自動車や鉄道、航空機などの輸送機器によるCO2排出量は国内総排出量の20%を占めており、排出量削減に向けて燃費改善効果の高い輸送機器の軽量化が重要課題の一つとなっています。

そこで、NEDOは、鋼板、アルミニウム材、チタン材、マグネシウム材、炭素繊維、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの革新的新材料を開発し、構造体の軽量化を目指すプロジェクトに取り組んでいます。これらの新材料を実用化するためには、設計や接合など、材料の特徴に合わせて適材適所に組み合わせるための異種材料の複合化(マルチマテリアル)設計技術と、信頼性に関する評価技術が一層重要となることから、今年度から新たに4つの研究開発テーマを採択しました。輸送機器の軽量化に資する新材料の確実な社会実装を目指します。

2.事業の内容

【1】事業名

革新的新構造材料等研究開発

【2】期間

研究開発テーマ1、2: 2018年度~2022年度
研究開発テーマ3、4: 2018年度~2020年度
(事業全体: 2014年度~2022年度)

【3】事業内容

研究開発テーマ1:「マルチマテリアル車体軽量化に関わる革新的設計技術の開発」
  • 委託予定先:新構造材料技術研究組合(ISMA)
  • 内容:

複数の材料を組み合わせるマルチマテリアル設計技術の開発です。レベルセット法※1を用いたトポロジー最適化※2を適用することで、構造部位の抜本的な軽量化を進めます。また、マルチマテリアルを実現するために、各材料および異種材料の接合部を対象に含めたシミュレーションの開発を行います。

研究開発テーマ2:「マグネシウム材の性能・寿命に関するマテリアルズ・インテグレーション(MI)活用技術の開発」
  • 委託予定先:新構造材料技術研究組合(ISMA)
  • 内容:

マグネシウム材の性能・寿命に関するマテリアルズ・インテグレーション(MI)※3活用技術の開発です。難燃性マグネシウム合金の疲労特性予測計算モジュールの開発と、難燃性マグネシウム合金の疲労特性・寿命などのデータベース構築に取り組みます。

研究開発テーマ3:「超高強度鋼板の腐食挙動解析技術の開発」
  • 委託予定先:新構造材料技術研究組合(ISMA)
  • 内容:

超高強度鋼板の腐食挙動解析技術の開発です。超高強度薄鋼板の腐食挙動をミクロ(μm以下)に観察・計測できる微小電気化学計測技術や局所構造解析技術などを開発します。

研究開発テーマ4:「超高強度薄鋼板の水素脆化挙動評価技術の開発」
  • 委託予定先:新構造材料技術研究組合(ISMA)
  • 内容:

超高強度薄鋼板の水素脆化挙動評価技術の開発です。超高強度薄鋼板の水素による強度低下の挙動に影響を及ぼす応力、ひずみ、水素濃度分布、ミクロ組織損傷を数百μmレベルで評価・解析し、実用化を考慮したさまざまな形状、加工形態に対する評価技術を開発します。

【注釈】

※1 レベルセット法
レベルセット法は、トポロジー最適化に用いられる計算手法の一つ。構造最適化対象となる物体の境界を明確にする事が出来るシミュレーション手法である。これに対し密度法では物体を密度の濃淡で定義するため、グレースケールと呼ばれる現実には作製できない構造がシミュレーションの結果として得られることがある。
※2 トポロジー最適化
形態の最適化のことであり、古くは寸法最適化、形状最適化等の技術がある。形態最適化の最大の特徴は、構造の穴の数と形状、材料分布問題の置き換えを取り扱うことができることである。
※3 マテリアルズ・インテグレーション(MI)
理論や経験則、数値モデリング、データベース、機械学習などを融合して材料の研究開発を支援するツール。 プロセス、組織、性質という従来の材料研究に加えて使用時のパフォーマンスを導入し、これらの関連性を予測することで研究開発時間の短縮に寄与するものである。
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