福岡造船/富士通、造船の生産性向上に向けAR技術を活用した船舶部品の 管理システムを運用開始 物流システム 2023.06.17 福岡造船と富士通、造船の生産性向上に向けAR技術を活用した船舶部品の管理システムを運用開始 福岡造船株式会社(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長:田中敬二、以下 福岡造船)は、富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中達也、以下 富士通)および株式会社富士通マーケティング(本社:東京都港区、代表取締役社長:藤田正美)とAR技術を活用した船舶部品の管理システムを共同で開発し、このたび運用を開始しました。 本システムは、1隻の化学薬品タンカーを建造する際に使用する配管約1万5千点以上の部品にARマーカーを貼り付け、現場作業員がマーカーをタブレットで読み取ることで、各部品の種類や取り付け位置などを瞬時に確認することができます。また、配管を製造する外注業者も本システムで納品予定の部品の情報を管理することで、福岡造船は外注業者の部品の製造状況や納品状況を一括で把握することができます。これにより、現場でこれまで紙ベースで行っていた部品ごとの図面の確認や、広大な資材置き場に置かれている部品の追跡が容易になるほか、造船の製造工程にあわせたタイミングで外注業者へ納品依頼をすることなどが可能になります。福岡造船では、本システムにより、外注業者による配管製造から造船への配管取り付けまでの作業工数について約35%の削減を目指します。 なお、本プロジェクトは、国土交通省が推進する、IoT技術やAIを活用し、造船の生産性向上のための技術開発支援を目的とする海事生産性革命(i-Shipping)の一環として行うものです。 本システムは、2018年4月11日(水曜日)から4月13日(金曜日)に東京ビッグサイト(場所:東京都江東区)で開催される「Sea Japan 2018」にて、両社それぞれのブースで展示いたします。 背景 福岡造船では、年間約8隻の化学薬品タンカーを建造し、1隻あたり約1万5千点におよぶ配管部品の組み立てを行っています。 日々、複数の外注業者から数多くの部品が届けられ、現場作業員は大量の紙の設計図面を見ながら、広大な資材置き場に置かれた部品を見つけています。そのため、図面との照らし合わせの負担や部品の選択ミス、置き場不明による混乱など、現場での作業工程における効率化が課題となっていました。 このような課題に対し、国土交通省が推進する海事生産性革命(i-Shipping)にて、「ARマーカーを用いた船舶部品情報の活用技術の開発」をテーマとした福岡造船の提案が採択され、富士通のAR技術により現場業務を支援するシステム「FUJITSU Manufacturing Industry Solution PLEMIA Maintenance Viewer(プレミア メンテナンスビューワ)」を活用し、共同で船舶部品の管理システムを開発しました。 写真1:複雑に交差する化学薬品タンカーの上甲板の配管 写真2:配管部品が積まれた資材置き場の様子 システム導入効果 現場の作業効率を向上 現場作業員は、1万5千点におよぶ配管部品に貼り付けられたARマーカーをタブレットで読み取ることで、部品の種類や取り付け位置、部品ごとの図面などの情報を入手することができます。また、配管の納品業者が入力した製造状況や納品状況も把握でき、資材置き場の部品在庫の有無がすぐに確認できるようになります。さらに、ARマーカーを読み取った際に、設計変更についての注意点を表示することができるため、設計変更の対象となった部品を取り付けしてしまうミスなどの後戻り工事を削減できると期待されています。 作業実績の見える化で管理精度を向上 配管取り付けの作業実績を、ARマーカーを読み取って表示される画面に入力することで、現場管理者は作業状況をリアルタイムに把握でき、空いた組み立て場所の有効活用や、現場作業員の最適配置が可能になります。 写真3:配管部品に貼り付けられたARマーカー 写真4:タブレットでスキャンされた画面イメージ 今後 福岡造船は、本システムを用いて製造現場での運用など実績を重ねると同時に、今後は現場の取り付け作業を視覚的に支援するなどAR技術の特徴を生かしたシステムの開発を富士通グループとともに進め、さらなる生産性の向上を目指します。 商標について 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。