国土交通省/国際海事機関、国際海運の温室効果ガス(GHG)削減戦略の検討本格開始 グリーン物流(環境) 2023.06.17 国際海事機関、国際海運の温室効果ガス(GHG)削減戦略の検討本格開始~ 国際海事機関第71回海洋環境保護委員会の審議結果について ~ 平成29年7月10日 国際海事機関(IMO)は、第71 回海洋環境保護委員会(MEPC71)を7月3日から7日まで英国ロンドンで開催し、 (1)国際海運における温室効果ガス削減戦略の策定に向けた審議を本格開始しました。 また、(2)現存船への バラスト水処理設備の設置期限を条約発効後7年以内とすることなどを最終決定しました。 今次会合の主要な審議事項は以下のとおりです。 1.国際海運からの温室効果ガス(GHG)削減戦略 IMOでは、2013年に船舶から排出されるGHG削減対策として、新造船のGHG排出性能を段階的に強化する規制を他の輸送モードに先だって導入しました。さらに、昨年10月の第70回海洋環境保護委員会(MEPC70)では、IMOにおけるGHG排出削減に向けた今後の取組を定めるGHG削減戦略を2018年のMEPC72で策定すること、そのための具体的な作業スケジュールを定めたロードマップを決定しました。 今次会合では、上記ロードマップに従い、IMOにおけるGHG削減戦略の策定に向けた審議が本格開始され、GHG削減目標や更なるGHG削減対策等を要素とする戦略骨子が、日本提案をもとに、以下の通り合意されました。 GHG削減戦略 骨子 1.序文/導入/背景(排出シナリオを含む)2.ビジョン3.目標レベル/基本指針4.短期・中期・長期における取組のリスト(スケジュールや各国への影響を含む)5.実施に当たっての障壁と支援策(人材育成、技術開発、研究開発)6.戦略改定に向けたフォローアップ7.戦略の定期的レビュー また、次回のMEPC72における同戦略の承認に向けて今後の作業を加速させるべく、本年10月及び来春に戦略案を検討し最終化するための会合を2回開催すること及び各会合で検討する議題が合意されました。 2.バラスト水処理設備の設置期限 船舶バラスト水規制管理条約※1の発効(本年9月8日)に伴い、規制対象船舶は、IMOにおいて定められた設置期限までにバラスト水処理設備を設置する必要が生じます※2。 今次会合では、当該設置期限について審議が行われ、現存船への設置期限を条約発効後7年以内(条約発効日から2年後(平成31年9月8日)以降最初の定期検査開始日)とすることが最終決定されました。 ※1 「2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」は、バラスト水に含まれる生物の排出に伴う環境への被害を防止するため、船舶に対してバラスト水の適切な管理を求めるものです。 ※2 規制対象船舶については、条約発効日以降、バラスト水処理設備を設置するまでの間は、代替措置として洋上でのバラスト水交換を実施する必要があります。また、条約発効日までに検査を受検し、国際水バラスト証書を船舶に備え置く必要があります。3.船舶からのSOx排出規制強化における不正防止対策 2020年から、船舶からの硫黄酸化物(SOx)排出規制が強化されます(船舶燃料油中の硫黄分濃度の規制値が3.5%以下から0.5%以下へ強化されます)。しかしながら、基準に適合しない安価な高硫黄燃料油を使用するなどの不正行為が横行すれば、公正な国際競争が求められる外航海運において、適正にルールを守る事業者との間で不当に競争条件が歪められることになります。 このため、今次会合では、この規制に違反する燃料油の不正使用の国際的な防止対策や規制適合油の国際規格化(ISO)などについて検討を開始することが合意されました。今後、IMOの汚染防止・対応小委員会(PPR)で具体的な検討が進められます。これに併せて、来年2月に開催予定の第5回PPR会合に加え、2018年後半にPPR中間会合を開催することも合意されました。 ※上記1.から3.の各事項の詳細については、別添[1]をご覧ください。 4.その他 第71回海洋環境保護委員会のその他の審議概要については別添[2]をご覧ください。 添付資料 報道発表資料(PDF形式:186KBKB) 別添[1]:GHG・バラスト・SOx概要(PDF形式:602KBKB) 別添[2]:その他議題(PDF形式:168KBKB)